ドル円見通し クロス円全面高と米長期債利回り上昇による円安で、2月17日高値に迫る(21/2/25)

ドル円は2月24日深夜に106.10円まで上昇、2月17日午前に付けた高値106.21円に迫った。

ドル円見通し クロス円全面高と米長期債利回り上昇による円安で、2月17日高値に迫る(21/2/25)

クロス円全面高と米長期債利回り上昇による円安で、2月17日高値に迫る

〇ドル円24日深夜に106.10まで上昇、上昇チャンネル形成し反騰入り
〇NYダウは一時3万2000ドルを超え取引時間中の最高値更新
〇ナスダックも132.77ポイント高、23日から連騰の陽線で上昇再開感強まる
〇バイデン政権の1.9兆ドル追加経済対策は3月中旬にも成立する見込み
〇米の景気対策、ワクチン、経済指標改善、金融緩和長期継続が株高進行要因に
〇米10年債利回りが一時1.40%を超え昨年8月以降の上昇基調がさらに加速
〇105.50以上での推移中は一段高へ進む可能性
〇105.75割れからは弱気転換注意、105.50割れからはいったん下落期に入る

【概況】

ドル円は2月24日深夜に106.10円まで上昇、2月17日午前に付けた高値106.21円に迫った。深夜以降は小反落して106円台を維持できずにいるが、2月17日から2月22日まで4日連続陰線で下落したところから持ち直し、2月23日と24日を連続陽線で切り返してきた。為替市場では株高によるリスク選好感の強まりで米長期債利回りの上昇が続く中でもドルストレートではほぼドル安の展開となり、クロス円も全面高、米長期債利回り上昇による日米金利差拡大でドル円も上昇という構図となっている。
2月17日午前高値106.21円から23日午前安値104.91円までの下げ幅は1.30円安だが、2月5日夜高値105.76円から2月10日夕安値104.40円までの下げ幅1.36円とほぼ同じであり、2月5日高値と2月17日高値を結ぶ上値抵抗線との平行線を2月10日安値から描くとちょうど2月23日安値を下支えており、上昇チャンネルを形成しての反騰入りと思われる。

【米長期金利上昇でもドル安続く、ポンドと豪ドルの騰勢顕著】

2月24日のNYダウは前日比424.51ドル高と大幅高となり終値ベースでの史上最高値を5日ぶりに更新し、高値で3万2009.64ドルを付けて取引時間中の最高値も更新した。ハイテク株中心のナスダック総合指数も132.77ポイント高と上昇した。株高基調がややバブル的に継続する中での米長期債利回り上昇がダウに先行して大上昇してきたナスダックにとってはリスクとなっており2月22日に341.41ポイント安と大幅下落するなど高値不安も強まっているのだが、2月23日に一時500ポイント以上の大幅続落となっていたところから前日比67.85ドル安まで戻して23日の日足は長い下ヒゲを付けた陽線となったが、24日に連騰の陽線としたことで上昇再開感が強まっている。

バイデン政権が掲げる1.9兆ドルの追加経済対策について、米下院は週内にも関連法案を可決して上院に送付し、3月中旬にも成立する見込みが出てきている。感染拡大ペースが大幅に鈍化してきている中、米食品医薬品局(FDA)は2月24日に米ジョンソン・エンド・ジョンソンの開発するワクチンについて有効性や安全性に問題がないとの資料を公表して近く緊急使用の許可を出す見込みと報じられた。これらのアフターコロナ復興期待材料に加え、米FRBのパウエル議長が半期に一度の米下院金融サービス委員会公聴会での議会証言で「2%のインフレ目標達成には3年以上かかるかもしれない」と述べて金融緩和を長期間継続する姿勢を強調したことも株高要因となった。米経済指標の良好な数字が続いているが、2月24日に発表された1月の米新築住宅販売件数も年率換算で前月比4.3%増の92.3万件となり市場予想の2.1%増を上回った。景気対策、ワクチン、経済指標改善、金融緩和長期継続が株高をさらに進行させている状況だ。

株高によるリスク選好感の強まりと昨年からのコロナ対策で米国債の大量発行が続いていることにより米長期債利回りは上昇基調を続けており、2月24日には10年債利回りが一時1.40%を超えた。昨年8月以降の上昇基調が年明けからさらに加速している状況にある。

為替市場にとっては株高=リスクオンによる投機通貨買いでドル安反応となりやすい一方、米長期債利回り上昇はドル高要因となる。強弱双方の材料に囲まれているものの、2月24日午前にはポンド/ドルが1.42ドルを超える急伸となり2018年4月天井1.4375ドルに迫り、豪ドル米ドルも0.7972ドルへ上昇して2018年1月天井0.8135ドル以来の高値水準に達するなどドルストレートではドル安が進んでいる。一方でクロス円は全面高であり、米長期債利回り上昇によるドル高圧力でドル円も上昇している。本邦投資家にとっても株高継続はリスク選好でクロス円への投資意欲を刺激し、クロス円由来での円安へ傾斜しやすいところに米長期債利回り上昇でのドル買い円売りもあり、両面からドル円が上昇基調を継続しやすい環境といえるが、当面はこの流れが続きやすいのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月17日午前高値と17日深夜高値をダブルトップとして下落期に入り、2月22日夕高値で105.84円までいったん戻してから23日午前安値104.91円まで一段安したために24日朝時点では19日夜安値を直近のサイクルボトムとしてすでに底割れにより新たな下落期に入っている可能性があるとしたが、2月16日夜安値から4日半となる2月23日午前安値でボトムを付けて反騰入りする可能性も残るとし、105.50円を超える場合は23日午前安値を起点とした反騰期入りとした。

2月24日深夜へ106円台に到達するところまで戻したため、現状は2月23日午前安値を起点とした強気サイクルにあると思われる。高値形成期は2月17日のダブルトップを基準とすれば24日の日中から25日にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるが高値形成期の延長入りによる上昇余地もあるので105.50円以上での推移中は一段高へ進む可能性があるとみる。105.75円割れからは弱気転換注意とし、105.50円割れからはいったん下落期に入るとみて26日朝から3月2日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月23日午前安値からの反発で遅行スパンが好転し、24日午前には先行スパンも上抜いた。その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下げ再開警戒、先行スパン転落からはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月24日深夜高値時に80ポイントに到達してから反落したが50ポイント台は維持しているのでまだ上昇余地ありとみる。ただし相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とする。

【当面の主な予定】

2/25(木)
09:30 (豪) 10-12月期 民間設備投資 前期比 (7-9月期 -3.0%、予想 1.0%)
14:00 (日) 12月 景気先行指数(CI)・改定値 (速報 94.9)
14:00 (日) 12月 景気一致指数(CI)・改定値 (速報 87.8)
16:00 (独) 3月 GFK消費者信頼感 (2月 -15.6、予想 -14.3)
19:00 (欧) 2月 経済信頼感 (1月 91.5、予想 92.0、予想 92.0)
19:00 (欧) 2月 消費者信頼感確定値 (速報 -14.8、予想 -14.8)

22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 86.1万件、予想 83.8万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 449.4万人、予想 446.7万人)
22:30 (米) 10-12月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 4.0%、予想 4.2%)
22:30 (米) 10-12月期 個人消費改定値 前期比年率 (速報 2.5%、予想 2.5%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 1.4%、予想 1.4%)
22:30 (米) 1月 耐久財受注 前月比 (12月 0.2%、予想 1.1%)
22:30 (米) 1月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (12月 0.7%、予想 0.7%)

24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前月比 (12月 -0.3%、予想 0.0%)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前年同月比 (12月 22.8%)
24:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
29:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、バーチャル討論会

2/26(金)
06:45 (NZ) 1月 貿易収支 (12月 0.17億NZドル、予想 -6.29億NZドル)
08:30 (日) 2月 東京消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (1月 -0.4%、予想 -0.4%)
08:50 (日) 1月 鉱工業生産速報値 前月比 (12月 -1.0%、予想 3.9%)
08:50 (日) 1月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (12月 -2.6%、予想-5.4%)
08:50 (日) 1月 小売業販売額 前年同月比 (12月 -0.3%、予想 -2.6%)
14:00 (日) 1月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (12月 -9.0%、予想 -1.9%)
16:45 (仏) 10-12月期 GDP改定値 前期比 (速報 -1.3%、予想 -1.3%)

17:30 (欧) シュナーベルECB理事、講演
21:30 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
22:30 (米) 1月 個人所得 前月比 (12月 0.6%、予想 9.5%)
22:30 (米) 1月 個人消費・PCE 前月比 (12月 -0.2%、予想 2.2%)
22:30 (米) 1月 PCEデフレーター 前年同月比 (12月 1.3%、予想 1.4%)
22:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前月比 (12月 0.3%、予想 0.1%)
22:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (12月 1.5%、予想 1.4%)
23:45 (米) 2月 シカゴ購買部景況指数 (1月 63.8、予想 61.0)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 76.2、予想 76.4)

注:ポイント要約は編集部

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