トルコリラ円見通し 当面の強気材料消化で調整安続く(21/2/25)

トルコリラ円は2月24日夜安値で14.60円まで下落した。

トルコリラ円見通し 当面の強気材料消化で調整安続く(21/2/25)

当面の強気材料消化で調整安続く

〇トルコリラ円、戻り高値を切り下げつつ24日深夜14.60まで下落
〇メキシコペソや南アランドの上昇と対照的に対ドル及び対円でトルコリラ下落
〇右肩下がりからの脱却には24日午後高値14.90超えが必要
〇トルコ中銀の2会合連続追加利上げ見送りで当面の買い材料出尽くし感か
〇そろそろ上昇一巡でいったん仕切り直しの調整期に入る可能性も
〇イスタンブール100株価指数は22日、23日に続き24日も2.30%安と大幅続落
〇14.70割れからは下げ再開とみて14.60試し
○14.90超えからは反騰入りの可能性あり、15円手前は戻り売りに注意

【概況】

トルコリラ円は2月24日夜安値で14.60円まで下落した。
2月16日に15.26円まで上昇したが、2月18日のトルコ中銀金融政策発表直後に同値まで戻したところでダブルトップ形成となり、その後は当面の買い材料出尽くし感から軟調な推移となり、22日深夜にかけての下落で15円を割り込み、その後も戻り高値を切り下げつつ24日深夜への一段安へ進んだ。深夜安値から25日早朝には14.80円まで戻しているものの、メキシコペソや南アランドなどが上昇したことと対照的に対ドル及び対円での下落が目立っている。
対ドルでのトルコリラは2月16日に6.88リラへ上昇して昨年11月6日安値8.57リラ以降の最高値を更新したが24日深夜には7.24リラへ下落した。その後は7.14リラまで小反発したものの7.15リラ近辺での横ばい推移にとどまっている。

【買い材料一巡でいったん調整安に入るところか】

トルコリラ円の日足は2月18日から2月24日まで5日連続の陰線引けとなった。2月24日は長い下ヒゲを付けており連日の下落に対する突っ込み警戒感も出やすいところだが、戻り高値は2月16日と2月18日のダブルトップ形成以降も切り下がりが続いており、2月23日高値14.99円から24日午後高値14.90円と切り下がってきているので、右肩下がりの下落パターンから脱却するにはまず2月24日午後高値14.90円を超える必要があり、できないうちは戻り一巡後の下げ再開から安値更新へ向かいかねないところだ。

2月24日はNYダウが前日比424.51ドル高(1.35%高)と大幅上昇して終値ベースの史上最高値を5日ぶりに更新、取引時間中の最高値も更新した。世界的な新型コロナウイルス感染者増加ペースの鈍化とワクチン普及、コロナ対策としての大規模な財政出動や金融緩和の長期化が株高を推し進め、為替市場も株高によるリスク選好感優先でポンド、豪ドル等が2月24日には急伸した。南アランドが対ドルで2月24日には昨年4月来の最高値を更新している。アジア通貨やメキシコペソは上げ渋りにあるが高値圏を維持して確りした状況ともいえる。
そうした中でトルコリラ円及び対ドルでのトルコリラの下落が目立ち始めていることは、トルコ中銀が2会合連続で追加利上げを見送り、当面の買い材料の出尽くし感もあるのだろうと思われる。

【歴史的安値からの反騰16週経過の鬼門、トルコ株価指数の反落】

トルコリラ円の上昇も11月6日安値から2月16日高値まで数えて16週を経過した。2018年8月13日底への通貨危機的急落からの反騰は同年11月29日高値まで16週の上昇で一巡している。また2014年1月27日からの反騰も最終的には同年12月5日まで続いたのだが当初は安値から16週目となる5月14日高値で上昇一巡となり10月まで調整期間を要している。今回もそれらと同様に史上最安値を更新し続けた状況から中銀総裁交代をきっかけとした金融政策正常化期待で反騰してきたもののそろそろ上昇一巡でいったん仕切り直しの調整期に入る可能性とともに、戻り一巡から今度は弱気材料を追いかけて下げ再開に入る可能性も考えておく必要があるのではないかと思われる。

トルコのイスタンブール100株価指数は2月22日に前日比0.62%安、23日に同2.11%安、24日も2.30%安と大幅続落していることも気がかりだ。海外勢のトルコ株投資が後退しているとの報道もあるが、1月21日に昨年来最高値を更新した後に2月16日高値では高値更新に失敗してダブルトップ型を形成してからの失速であり、世界的な株高基調継続の中での行き詰まり感はトルコリラにとっても圧迫要因となりつつある印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月16日夕高値と18日夜高値によりダブルトップを形成して下落期に入ったが、17日夕安値から3日目となる22日深夜安値からいったん戻してから一段安したために2月24日午前時点では直近のサイクルボトムを22日深夜安値としてすでに底割れから新たな下落期に入っているとし安値形成期を25日夜から3月1日夜にかけての間と想定した。24日深夜へ一段安してから戻しているものの戻り高値切り下がりの範囲にあるのでまだ一段安余地ありとし、強気転換は24日午後高値14.90円超えからとする。

60分足の一目均衡表では22日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。24日深夜からの反発で遅行スパンは好転しやすくなっているが、先行スパンを超えないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化からは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は22日深夜安値から24日深夜への一段安に際して指数のボトムがほぼフラットな強気逆行の気配を見せているが50ポイント前後が抵抗となっている。50ポイント超えからさらに続伸するようなら反騰を継続する可能性があるとみるが、50ポイントを超えても維持できずに40ポイントを割り込む場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14.60円を下値支持線、14.90円を上値抵抗線とする。
(2)14.90円以下での推移中は一段安警戒とし、14.70円割れからは下げ再開とみて14.60円試しとし、さらに安値更新へ進む場合は14.40円台前半への下落を想定する。14.45円以下は反騰注意とするが14.75円以下での推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.90円超えからは反騰入りの可能性ありとみるが15円手前は戻り売りにつかまりやすいとみてその後の14.80円割れからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

2月25日
 16:00 2月経済信頼感指数 (1月 96.2、予想 97.0)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
2月26日
 16:00 1月貿易収支 (12月 -45.3億ドル、予想 -47.0億ドル)
3月1日
 16:00 10-12月期GDP前期比 (7-9月期 15.6%、予想 2.2%)
 16:00 10-12月期GDP前年同期比 (7-9月期 6.7%)
 16:00 2月イスタンブール製造業PMI (1月 54.4)
3月3日
 16:00 2月消費者物価 前年同月比 (1月 14.97%)
 16:00 2月消費者物価 前月比 (1月 1.68%)
 16:00 2月生産者物価 前年同月比 (1月 26.16%)
 16:00 2月消費者物価 前月比 (1月 2.66%)

注:ポイント要約は編集部

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