調整続く見込みだが、下値も堅くレンジか
〇ドル円、104.50-70ときわめて狭い揉み合いをたどりレンジ取引から脱却できず欧米時間を迎える
〇日米豪印による対中包囲網の動きが活発に、日豪外相と米印首脳が電話会談を行う
〇新型コロナ関連ではスペインで累計感染者数が300万人を超え、ドイツはロックダウンを月末まで維持か
〇英国では国内で新たに2種類の変異株が認識され、欧州では依然として厳しい状況
〇本日発表の米1月消費者物価指数や12月卸売在庫などの経済指標に注視
〇欧米の中銀総裁らの発言や特にパウエルFRB議長の講演に注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ104.10-105.00
<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場はレンジ取引。104円半ばから後半の20ポイント程度の小動きで、明確な方向性はうかがえなかった。
ドル/円は104.60円レベルで寄り付いたものの、終日を通して動意が乏しい。104.50-70円といったきわめて狭い揉み合いをたどっている。中国の物価指標発表や、中村日銀審議委員の発言なども伝えられたが影響は限定的。レンジ取引から脱却することはできなかった。16時現在では104.55-60円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「強まる対中包囲網」と「新型コロナ」について。
前者は、日米豪印による通称「クワッド」と言われる対中包囲網をめぐる動きがここ最近は活発。実際、昨日も「日豪外相」、「米印首脳」がそれぞれ電話会談を行ったほか、後者の米印については「米国務長官とインド外相」も別途電話会談を実施したという。なお、それぞれの枠組みのなかで、連携強化などが改めて再確認されたもようだ。また、それとは別にフランスのパルリ国防相が、「仏海軍の攻撃型原子力潜水艦と支援船が南シナ海を巡回した」ことを明らかにし、一部で話題となっていた。
対して後者は、一時期2000人を超える新規感染者も確認された日本(東京)だったが、10日は4日連続で500人を下回る491人に。いわゆる第3波もピークアウトした感があるものの海外、とくに欧州は依然として厳しい状況だ。事実、スペインでは「累計感染者数が300万人を超えた」との発表がなされたうえ、ロイターはドイツの「メルケル首相がロックダウン措置を月末まで維持する必要があるとの認識を示した」と報じている。そうしたなか、英国の科学諮問委員会が、「国内で新たに2種類の変異株が確認された」ことを明らかにしており、新たな不安要因として物議を醸していた。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末に示現した105.76円を目先高値に、ドル/円は調整色の強い展開。昨日一時104.50円と、トータル1円を超える下落をたどったが、そののち本日東京時間にかけてはやや下げ渋りの様相を呈している。起点をどこからとるのかによるが、仮に年初来安値102.60円をスタートとすると、上昇幅のフィボナッチ38.2%押し(104.55円)を達成しており、短期的には下げも取り敢えず一息か。104円台を中心に、次の動意に向けた時間調整の色彩を強める可能性も否定できない。
依然として米株や金利の動きが注視されるも、前者については昨日値動きマチマチ。ナスダックはプラス圏で引けたものの、NYダウなどは小反落で取引を終えている。ただ、ザラ場ベースでは史上最高値を更新する局面もあるなど、基調は依然として強く、大きな流れも依然として上方向を見込む向きが大勢だ。バイデン新政権が誕生し、経済対策をめぐりやや期待が先走っている感があるだけに、発表される経済指標などをにらみつつ、整合性を図りたいとの指摘も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円は105.60円前後に位置する移動平均の200日線に上値を阻まれて軟落。昨日から本日東京にかけて104円半ばまで値を崩してきた。104.30円前後には移動平均の21日線や90日線が位置しているほか、その少し下には一目均衡表の先行帯の雲の上限も横たわる。すなわち、かなり底堅い雰囲気だが、逆にそれらをしっかり下回れば一気に103円台突入といった展開も否定できなくなりそうだ。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種など」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、1月の消費者物価指数や12月の卸売在庫といった米経済指標が発表されるほか、米財務省による10年債の入札などが予定されている。そのほか、欧米の中銀総裁らの発言機会が多く目につくなか、パウエルFRB議長の講演にはとくに注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは104.10-105.00円。時間足など、ごく短期をみると104.70-80円が弱いながらもすでに抵抗となっている感。ただ上抜ければ再び105円台乗せも。
対するドル安・円高方向は、同じく短期的に見た場合104円半ばがなかなか強いサポートに。まずはその攻防が注視されそうだ。下回ると、移動平均や一目均衡表などのテクニカルサポートが集中する104.10-30円レベルを目指す。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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