『200日線を試す展開。来週はインフレ指標がメインイベント』
〇トルコリラ円エルドアン大統領の高金利政策否定に週前半に13.94まで下落
〇その後はギリシャとの領海問題協議再開や中銀総裁のタカ派発言に14.39まで上昇14.34レベルで越週
〇トルコ円200日線付近で頭を抑えられここからの上昇は容易でない
〇世界的なリスク回避ムードの広がりも懸念材料
〇トルコリラ円反落をメインシナリオとして予想、来週の予想レンジ(TRYJPY):13.95ー14.55
今週のレビュー(1/25−1/29)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初14.00円で寄り付いた後、@エルドアン大統領による高金利政策に否定的な発言(1/22)を背景に、翌1/26に、週間安値13.94円まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンドに続落を阻まれると、A東地中海における領海問題を巡り、ギリシャと5年ぶりに協議が再開されたこと(両国関係の改善期待)や、BIMF(国際通貨基金)によるトルコ経済見通しの大幅上方修正、Cトルコ中銀アーバル総裁によるタカ派的な発言(インフレ目標である5%を達成するまで金融引き締めスタンスを断固として維持すると表明→エルドアン大統領の利下げ圧力に屈しない姿勢を市場参加者が評価)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値14.39円(昨年9/3以来、約5カ月ぶり高値圏)まで上昇しました。もっとも、200日移動平均線をバックに戻り売りが強まると、引けにかけて小反落し、結局14.34円前後での越週となっております。
来週の見通し(2/1−2/5)
トルコリラの対円相場は、週末にかけて、約5カ月ぶり高値となる14.39円まで急伸しました。しかし、同水準には、多くの市場参加者が注目する200日移動平均線が控えている為、ここからの更なる続伸は容易では無いと考えられます(テクニカル的に戻り売りが出易いチャート形状。余程強いリラ買い材料が出てこない限り、200日移動平均線の突破は困難→来週は反落リスクに警戒)。
ファンダメンタルズ的に見ると、@トルコ中銀による金融引き締めスタンスの継続(アーバル総裁はインフレ低下が見られるまで引き締めスタンスを継続する旨強調)や、A地政学的リスクの後退(ギリシャを含むEU諸国との関係修復期待)など、トルコリラ買いを想起させる材料が残っていますが、B足元で広がるリスク回避ムード再燃への警戒感(米ゲームストップ株の乱高下に端を発した株式市場の不安定化→株式市場や商品市況に下押し圧力→リスク回避ムード再燃→ドルや円が安全通貨として選好される一方、トルコリラを含む新興国通貨に下落圧力が加わる恐れ)を考慮すれば、来週はややダウンサイドリスクに注意が必要と考えられます。
以上を踏まえ、当方ではトルコリラ円相場の反落を来週のメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は2/3に発表されるトルコ1月消費者物価指数及び、トルコ1月生産者物価指数に注目が集まります。市場予想を下回る結果となれば(インフレ率の低下が確認されれば)、足元で広がるトルコ中銀による追加利上げ観測が後退し、トルコリラに下落圧力が加わる恐れもあり注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.95ー14.55
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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