トルコリラ円見通し 株安ドル高によるリラ安と円安の板挟みで揉み合いだが14円台を維持(21/1/28)

1月26日夜に14.12円まで上昇して1月18日夕安値13.74円以降の高値を更新した後は14円台を維持しつつも新たな高値更新へ進めずに持ち合いとなっている。

トルコリラ円見通し 株安ドル高によるリラ安と円安の板挟みで揉み合いだが14円台を維持(21/1/28)

株安ドル高によるリラ安と円安の板挟みで揉み合いだが14円台を維持

〇トルコリラ円、26日夜に14.12まで上昇し18日夕安値13.74円以降の高値を更新
〇米国株が調整期に入ると為替市場でリスク回避的ドル買い戻しにより新興国通貨も下げやすくなると警戒
〇IMFは26日の世界経済見通し改定版で2020年トルコGDP伸び率をー5.0%から+1.2%へ大幅修正
〇14.00以上で推移か一時的に割り込んでも回復するうちは高値更新から14.10台後半を目指す
〇14.00前後は押し目買いされやすく、14円割れから続落に入る場合13.93試しへ

【概況】

トルコリラ円は1月26日夜に14.12円まで上昇して1月18日夕安値13.74円以降の高値を更新した後は14円台を維持しつつも新たな高値更新へ進めずに持ち合いとなっている。
1月27日は欧米株式市場が全面安となり、リスク回避的なドル買い戻しの動きからユーロ、ポンド、豪ドル等と共に新興国通貨も売られ、対ドルでのトルコリラも27日朝高値7.32リラから27日深夜には7.40リラへ下落したが、一方ではドル円が104円台序盤へ急伸したためにトルコリラ円はドル高と円安に挟まれて小動きにとどまった。

【株安ドル高続くか】

1月27日はNYダウが前日比633.87ドル安(2.05%安)、ナスダック総合指数が355.46ポイント安(2.61%安)と大幅下落した。NYダウは1月21日に、ナスダック総合指数は1月25日にそれぞれ史上最高値を更新したばかりだが、バイデン政権発足と大規模経済対策期待による上昇もやや過熱し過ぎとしてNYダウは5日続落となっており、1日の下落規模としては昨年10月12日高値からの下落途中の10月26日に650.19ドル安となったところ、昨年9月3日高値から急落した時の807.77ドル安等に匹敵するものであり、ナスダック総合指数の下落規模も昨年9月2日高値の直後だった9月3日の598.34ポイント安以来の下げ幅となっている。
昨年3月のコロナショック暴落から出直りに入り年明けまでの株高や投機通貨高を先導してきたのが米国株高であり、米国株が大きな調整期に入るようだと為替市場でのリスク回避的な手仕舞い、ドル買い戻しにより新興国通貨も下げやすくなると警戒される。

【IMFのトルコ成長見通し大幅上方修正】

国際通貨基金(IMF)は1月26日の世界経済見通し改定版で2020年のトルコGDP伸び率を昨年10月の前回予想のマイナス5.0%からプラス1.2%へ大幅上方修正した。第3四半期が予想以上の伸びとなったことを繁栄した。また2021年についても前回予想の5.0%から6.0%へ上方修正したが、2022年については前回予想の4.0%から3.5%へ下方修正した。
トルコの国家統計局によるGDP伸び率は前期比で2020年4−6月期にマイナス10.8%へ悪化した後の7−9月期にプラス15.6%へ急回復した。前年同期比では4−6月期にマイナス9.9%だったところから7−9月期に6.7%へ回復している。

2020年10-12月期のGDP伸び率の発表は3月1日に予定されている。
トルコ経済指標では製造業を中心にコロナ不況からの回復基調にある。感染拡大の第二波も落ち着いており徐々に回復ペースも上がってくると思われるが、世界的なパンデミックが収束しないことには輸出や観光の回復が遅れるため、観光収入が重要なトルコ経済にとっては先行きの見通しが必ずしも明るいとは限らないが、IMFによる成長見通しの上方修正は歴史的暴落から抜け出してきたトルコリラにとってはプラス要因だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月25日夜高値から26日夕刻へ下げてから一段高に入ったため、27日午前時点では21日午後安値から3日目となる26日夕安値を起点とした上昇期入りとした。また高値形成期は28日夜から2月1日夜にかけての間と想定した。26日夜高値の後は新たな高値更新へ進めずにいるものの14円台を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、14円割れからは弱気転換注意とし、1月26日夕安値13.93円割れからは下落期入りとして1月29日午後から2月2日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、27日深夜の下落で遅行スパンが悪化した。先行スパンを一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転からは上昇再開とみるが、先行スパンから転落してさらに続落に入る場合はいったん調整安に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は26日深夜に70ポイントに到達してから下落基調となり50ポイントを割り込んでいる。50ポイント台回復からは上昇再開とみて60ポイントを超えるところからは70ポイントへ迫る可能性があるが、50ポイント以下での推移が続くうちは下向きとし、40ポイント割れからは30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14.00円を下値支持線、26日夜高値14.12円を値抵抗線とする。
(2)14.00円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは高値更新から14.10円台後半を目指すとみる。14.17円以上は反落注意とするが、14.05円以上での推移なら29日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.00円前後は押し目買いされやすいとみるが、14円割れから続落に入る場合は26日夕安値13.93円試しへ向かうとみる。13.95円以下は反騰注意とするが、14.02円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月28日
 16:00 1月経済信頼感 (12月 86.4、予想 82.2)
 20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨
 20:30 週次外貨準備高 1/22時点 (1/15時点 486.8億ドル)
1月29日
 16:00 12月貿易収支 (11月 -50.3億ドル)
 16:00 10−12月期観光収入 (7−9月期 40.4億ドル、予想 36.0億ドル)
 17:00 12月観光客数 前年比 (11月 -61.93%、予想 -67.0%)
2月1日
 16:00 1月イスタンブール製造業PMI (12月 50.8、予想 51.2)
2月3日
 16:00 1月消費者物価 前年同月比 (12月 14.6%、予想 13.8%)
 16:00 1月消費者物価 前月比 (12月 1.25%、予想 0.6%)
 16:00 1月生産者物価 前年同月比 (12月 25.15%、予想 24.4%)

注:ポイント要約は編集部

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