ドル円見通し ドル全面高で1月11日夜以降の下降チャンネルから上抜ける(21/1/28)

ドル円は27日深夜に104円台を回復、28日早朝には104.19円まで高値を切り上げて1月11日夜高値104.39円に迫っている。

ドル円見通し ドル全面高で1月11日夜以降の下降チャンネルから上抜ける(21/1/28)

ドル全面高で1月11日夜以降の下降チャンネルから上抜ける

〇ドル円27日深夜に104円台を回復、28日早朝に104.19まで高値を切り上げ1/11夜高値104.39円に迫る
〇NYダウ前日比633.87ドル安と5営業日続落、ナスダック総合指数も355.46ポイント安と大幅下落
〇27日発表の12月米耐久財受注は前月比0.2%増、市場予想の0.9%増を下回り11月の1.2%増から鈍化
〇米長期債利回り低下は為替市場ではドル売り要因だが株安によるリスク回避的な買い戻しでドル高反応に
〇FRBは26日-27日のFOMCで金融政策を現状維持、政策金利は年0.00〜0.25%で据え置きに
〇103.90以上で推移中は上向き、104.39を超える場合104.50円から104.75円にかけてのゾーンを試す
〇103.90を割れでも104円台へ切り返す場合上昇継続、103.90円割れから続落に入る場合103.55試し

【概況】

ドル円は27日深夜に104円台を回復、28日早朝には104.19円まで高値を切り上げて1月11日夜高値104.39円に迫っている。1月27日は欧州株が全面安、ダウ先物が下げる中で為替市場はリスク回避的な手仕舞い売りに見舞われてドルが買い戻された結果、ユーロや豪ドル、新興国通貨等が売られてほぼドルの全面高となりドル円も押し上げられた。
1月11日夜高値以降、ドル円は右肩下がりの展開で戻り高値は1月14日夜104.19円、19日夕104.08円、26日未明103.93円と切り下がってきたが、これら高値を結ぶ上値抵抗線を突破した。また1月8日夜の反落時安値と13日午前安値、21日夕安値がほぼ1直線だったが、その平行線を1月11日夜高値から描いた下降チャンネルの高値ラインも104円超えによって突破した。

【欧米株安、米長期債利回りは低下】

欧州株式市場は全面安となりで英FT100指数が1.30%安、独DAX指数が1.81%安と下落した。NYダウは前日比633.87ドル安(2.05%安)となり5営業日続落、ナスダック総合指数も355.46ポイント安(2.61%安)と大幅下落となった。バイデン米政権発足による1.9兆ドル規模の経済対策期待を背景にNYダウは1月21日に、ナスダック総合指数は1月25日に史上最高値を更新してきた。しかし足元の感染拡大がやまない状況の中での株高はやや過剰でありバブルではないかとの懸念も高まり、追加経済対策が米議会でまとまるにはまだ時間もかかることから新政権への期待相場もひとまず落ち着いて調整安に入った可能性がある。

1月27日に発表された12月の米耐久財受注は前月比0.2%増にとどまって市場予想の0.9%増を下回り11月の1.2%増から鈍化した。輸送機器を除く前月比は0.7%増で予想の0.5%増を上回ったが11月の0.8%増からは伸びが鈍化した。これらの数字はダウを大幅下落させるほどの悪い数字ではなかったが、ダウは一時700ドルを超える下落規模となり、前日比で600ドル安を超える下落規模としては10月26日の650.19ドル安、9月3日の807.77ドル安等に匹敵する下げ方となっている。
株安で債券は買われて米長期債利回りは低下した。10年債利回りは1月12日に1.19%へ急上昇した後は低下傾向に入ってからも高止まりしていたが、1月25日に高止まり水準から転落して27日は1.00%台まで低下している。
米長期債利回り低下は本来は為替市場にとってはドル売り要因になるが、それよりも株安によるリスク回避的な手仕舞い売り=ドルの買い戻しでドル高反応となった。

【FOMCは現状維持】

米連邦準備制度理事会(FRB)は1月26−27日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策を現状維持とした。決定は全会一致で政策金利は年0.00〜0.25%で据え置き、量的緩和での米国債などの購入規模を月額1200億ドルとする現行ペースを「雇用最大化と物価安定の目標へ一段と大きく前進するまで」継続するとした。
声明では感染再拡大により「この数か月の景気と雇用の回復ペースは緩やかになった」として景気判断を引き下げ、今後はワクチン接種の進捗などに影響されるとした。またパウエルFRB議長は会見で、ワクチンや昨年末に成立した9000億ドル規模の経済対策などにより「今年下半期には景気が力強くなる兆候がある」とした。

バイデン政権は1.9兆ドル規模の追加経済対策も掲げており、それらの効果を見定める姿勢と思われるが、状況が一段と悪化しない限りは追加緩和へ動く可能性は低い印象となった。ただ量的緩和の規模縮小に動くのではないかとの憶測に対しては「縮小議論は時期尚早」、「景気の完全回復は程遠い」として否定した。
概ね市場の予想通りとなったために声明発表を前後した動きは限定的なものにとどまったが、当面を現状維持とすれば、市場が追加緩和を催促するような株安・ドル高へ向かう可能性もあるのではないかと警戒される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月21日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして22日夜から26日夜にかけての間への上昇を想定していたが、1月26日深夜に103.55円まで下げて前回サイクルトップから5日を経過したために27日朝時点では1月25日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また安値形成期は26日夕から28日夜にかけての間と想定されるとし、103.80円超えからは強気転換注意として25日深夜高値試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りとした。
27日深夜への急伸で103.80円及び25日深夜高値を超えたため、26日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして28日夜から2月1日深夜にかけての間への上昇を想定する。103.90円以上での推移中は上昇余地ありとするが、乱高下も警戒されるため103.90円割れから続落の場合は弱気転換注意として26日深夜安値試しを想定する。

60分足の一目均衡表では27日夜の急騰で遅行スパンが好転、先行スパンも突破した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後の好転からは上昇再開とし、弱気転換は先行スパン転落からとする。
60分足の相対力指数は27日深夜への上昇で75ポイントを超えるところまで上昇した。乱高下により50ポイント台を試す可能性もあるが50ポイント以上での推移中はまだ上昇余地ありとするが、相場が高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生する場合は弱気転換注意とし、50ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、103.90円を下値支持線、1月11日夜高値104.39円を上値抵抗線とする。
(2)103.90円以上での推移中は上向きとして1月11日夜高値を超える場合は104.50円から104.75円にかけてのゾーンを試すとみる。104.75円以上は反落注意とみるが、104円台を維持しての推移なら29日も高値試しへ向かいやすいとみる。またドル全面高が勢いつく場合は105円試しへ上値目途を引き上げる。
(3)103.90円を割り込んでも早々に104円台へ切り返す場合は上昇継続とするが、103.90円割れから続落に入る場合は弱気転換注意として26日深夜安値103.55円試しへ向かうとみる。また103.75円以下での推移なら29日は安値試しへ向かいやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

1/28(木)
09:30 (豪) 10-12月期 輸入物価指数 前期比 (7−9月 -3.5%、予想 -1.0%)
19:00 (欧) 1月 経済信頼感 (12月 90.4、予想 89.5)
19:00 (欧) 1月 消費者信頼感確定値 (速報 -15.0、予想 -15.5)
22:00 (独) 1月 消費者物価指数速報値 前月比 (12月 0.5%、予想 0.4%)
22:00 (独) 1月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (12月 -0.3%、予想 0.7%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 90.0万件、予想 87.5万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 505.4万人)

22:30 (米) 10-12月期 GDP速報値 前期比年率 (7−9月 33.4%、予想 4.0%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (7−9月 41.0%、予想 3.1%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE速報値 前期比年率 (7−9月 3.4%、予想 1.5%)
24:00 (米) 12月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (11月 0.6%、予想 0.3%)
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (11月 84.1万件、予想 86.5万件)
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数 前月比 (11月 -11.0%、予想 1.9%)
26:15 (欧) シュナーベルECB理事、講演
27:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演

1/29(金)
08:30 (日) 1月 東京区部消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (12月 -0.9%、予想 -0.6%)
08:30 (日) 12月 失業率 (11月 2.9%、予想 3.0%)
08:50 (日) 12月 鉱工業生産速報値 前月比 (11月 -0.5%、予想 -1.5%)
08:50 (日) 12月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (11月 -3.9%、予想 -3.2%)
09:30 (豪) 10-12月期 生産者物価指数 前期比 (7−9月 0.4%)
09:30 (豪) 10-12月期 生産者物価指数 前年同期比 (7−9月 -0.4%)

14:00 (日) 12月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (11月 -3.7%、予想 -3.8%)
14:00 (日) 1月 消費者態度指数・一般世帯 (12月 31.8、予想 28.0)
16:00 (独) 10-12月期 GDP速報値 前期比 (7−9月 8.5%、予想 0.0%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP速報値・季調済 前年同期比 (7−9月 -4.0%、予想 -4.0%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP速報値・季調前 前年同期比 (7−9月 -3.9%、予想 -3.2%)
17:55 (独) 1月 失業者数 前月比 (12月 -3.70万人、予想 0.75万人)
17:55 (独) 1月 失業率 (12月 6.1%、予想 6.1%)
21:00 (メ) 10-12月期 GDP速報値 前期比 (7−9月 12.1%、予想 2.9%)
21:00 (メ) 10-12月期 GDP速報値 前年同期比 (7−9月 -8.6%、予想 -5.6%)

22:30 (米) 12月 個人所得 前月比 (11月 -1.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 12月 個人消費支出(PCE) 前月比 (11月 -0.4%、予想 -0.5%)
22:30 (米) 12月 PCEデフレーター 前年同月比 (11月 1.1%、予想 1.2%)
22:30 (米) 12月 PCEコアデフレーター 前月比 (11月 0.0%、予想 0.1%)
22:30 (米) 12月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (11月 1.4%、予想 1.3%)
22:30 (米) 10-12月期 雇用コスト指数 前期比 (7−9月 0.5%、予想 0.5%)
23:45 (米) 1月 シカゴ購買部景況指数 (12月 59.5、予想 58.0)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前月比 (11月 -2.6%)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前年同月比 (11月 16.0%)
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (12月 79.2、予想 79.2)

注:ポイント要約は編集部

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