ドル円 月間変動まだ2円以下、巻き返しなるか注目(週報1月第4週)

先週のドル/円相場は、小動き。週間を通した変動はわずか75銭にとどまり、今年の週間最小変動幅を記録している。

ドル円 月間変動まだ2円以下、巻き返しなるか注目(週報1月第4週)

月間変動まだ2円以下、巻き返しなるか注目

〇ドル円、週間高値104.08まで上がるもその後じり安推移、ただ下値も堅く103.30台への下落にとどまる
〇イエレン新財務長官候補の為替介入に対しての踏み込んだ発言も話題に
〇FOMCの結果や議長発言などが注視
〇このほか、今週は米1月消費者信頼感指数や10-12月期のGDPなど注目材料多数
〇今週のドル/円予想レンジ102.60-104.70

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、小動き。週間を通した変動はわずか75銭にとどまり、今年の週間最小変動幅を記録している。

前週末には、英政府が「議長国を務める2021年のG7サミットを、6月11-13日に英南西部コーンウォールで開く」と発表し話題に。2年ぶりの対面開催になる。また、米紙が「バイデン氏、就任初日に『パリ協定』復帰など十数本の大統領令署名」と報じ、20日を境に大きな政策転換の行われる公算が大きいとの思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況を踏まえ、ドル/円は103.80円前後で寄り付いたのち、揉み合いながらも上値を伸ばすと一時104円台を回復。104.08円の週間高値を示現したものの買いは続かず、その後は逆にドルのじり安推移となった。しかしドルの下値も堅く、103.30円台までの下落が精々。結果として、103.33-104.08円というレンジを形成し、そのなかでの一進一退に終始している。週末NYは103.80円前後で取引を終え、越週に。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「一連の米政治情勢」について。
現地時間6日に発生した「トランプ氏支持者の米議会侵入」もあり、2万5000人もの州兵が導入されるなど厳戒態勢で実施された20日のバイデン氏の新米大統領就任式は、なんとか無事に終了。第46代大統領に正式就任となった。そして就任後スグ、補佐官に「WHOの脱退取り下げを命じた」とされるなど、十数本の大統領令を一気に発令し、「トランプ路線」からの転換を鮮明にさせている。今後の動きにも注目だ。

また、ほぼ同じタイミングでイエレン新財務長官候補の上院指名承認公聴会が実施されると、それらにおける為替絡みの発言も話題に。事前には「競争優位性のため弱いドルを目指すことはしないと明らかにする見通し」とされたが、実際には「米国は競争的な通貨切り下げを志向しない。他国の為替操作にも反対する」などと述べ、為替介入に対しても一歩踏み込んだコメントが発せられていた。
なお、それ以外ではイエレン氏のほか承認指名公聴会に参加した何人かの人物から、現在関係の悪化している中国に対して厳しいコメントが発せられており、そちらも別途話題に。たとえば、次期国務長官に指名されたブリンケン氏は「中国は最重要課題だ。強い立場で向き合う」と述べたうえで、「中国を打ち負かせる」と発言していたという。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は、75銭レンジとやや狭いが、「上かと思うと下、下かと思うと上に動く」天邪鬼相場。いわゆる順張りをすると潰されるという、かなり悪辣な値動きだった。今週も、まずは103円台を中心とした方向性の乏しい展開が続くものと予想され、また仮に上下どちらかに抜けても、ここ最近の相場はダマシが非常に多いことから、追随することにも十分な注意を払って臨みたい。なお、再三再四報じているように、過去の1月相場はかなり激しい変動をたどることが少なくないのだが、今年の月間レンジはここまで2円にもとどいておらず、まったくの期待外れだ。1月最終週に一気に動く可能性もありうるか。

一方、今週も週間を通して注目材料が少なくない。たとえば、重要な米経済指標の発表が相次ぐほか、FOMCの結果ならびに議長の発言なども注視されている。また、それ以外では引き続きバイデン新米大統領による様々な政策、なかでも国内景気対策および、対中を中心とした対外政策の変化や転換が懸念されているようだ。具体的なスケジュールとしては聞かれていないが、日欧など各国首脳と積極的な電話会談が実施されるとの見方もあり、そちらも別途要注意かもしれない。

テクニカルに見た場合、過去の1月相場はかなり激しい変動をたどることが少なくないのだが、前述したように今年はここまで2円以下の変動、具体的には1.80円しか動いていない(ドル高値104.40円、同安値102.60円)。
ちなみに、昨年の月間変動ではもっとも動かなかったのは12月で、その変動は1.87円だったのだが、足もとはそれをもわずかに下回る計算だ。今年の1月相場は、期待を裏切る「予想外の小動き」で果たして終わってしまうのだろうか?

材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種など」、「バイデン新米大統領による政権運営」などが注視されている。
そうしたなか今週は、1月の消費者信頼感指数や10-12月期のGDPといった非常に重要な米経済指標が発表される予定となっているほか、前述した米FOMC、さらにはマイクロソフトやアップル、フェイスブックなどの決算発表も実施される見込みだ。ただ逆に材料が多過ぎて、焦点が絞りきれないことを懸念する声も聞かれていた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、102.60-104.70円。ドル高・円安については、今週もまずは週初の段階で104円半ばに位置する移動平均の90日線をめぐる攻防に注目。超えれば104円台後半が次のターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末段階で21日線を上回ってはいるものの、基盤はやや脆弱。引き続きサポートとなるかが依然として注視されている。それを下回ると先週安値の103.33円、103円前後、月間安値102.60円などが意識されそうだ。

月間変動まだ2円以下、巻き返しなるか注目

ドル円日足

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