トルコリラ円見通し 14円を挟んだ持ち合い続く(21/1/25)

トルコリラ円は、22日深夜に14.04円まで戻してからまた13.90円台へ下落するなど、やや乱調気味に14円を挟んだ騰落を繰り返した。

トルコリラ円見通し 14円を挟んだ持ち合い続く(21/1/25)

14円を挟んだ持ち合い続く

〇トルコリラ円、22日はやや乱調気味に14円を挟んだ騰落繰り返す
〇対ドルでは、22日朝高値7.33を超えればリラ高が勢いつく可能性
〇次週2/3に1月消費者物価上昇率発表、昨年4月以降生産者物価上昇率と共に上昇基調続く
〇消費者物価上昇率が15%を超えるなら中銀への追加利上げ催促感増す
〇米国株高=リスク選好でのドル安=新興国通貨買い優勢なら1月後半へ高値を伸ばす可能性
〇14円台を維持してジリ高に入れば14.10超え試し
〇13.90割れからは18日夕安値13.74試しへ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円は1月15日から18日にかけてのドル高局面で対ドルでのトルコリラ安やエルドアン大統領による高金利批判により1月14日深夜高値14.10円から18日夕安値13.74円まで下落したが、その後はドル安感がやや持ち直したことで戻しに入ってきた。
1月21日にはトルコ中銀の金融政策決定会合があり、政策金利は17%に据え置かれたが、インフレ進行等により必要になれば追加利上げもあり得るとしたことで21日深夜には14.04円まで上昇、22日も午後に14.05円まで若干高値を伸ばしたところから夕刻に13.91円まで反落、深夜に14.04円まで戻してからまた13.90円台へ下落するなど、やや乱調気味に14円を挟んだ騰落を繰り返した。

【年末からは14円を挟んだ持ち合いの範囲】

トルコリラ円は11月6日の史上最安値11.99円から1月7日夕高値14.25円まで上昇してきた後は14円を挟んだ持ち合いの範囲での推移となっている。年末以降の安値は12月31日の13.70円、1月18日夕の13.74円であり、13.80円割れは買い戻されている。高値は1月7日高値14.25円を挟んで12月30日夕高値14.14円と1月14日深夜高値14.10円が対となって三尊天井型の両肩という印象も強まったが、18日夕以降のジリ高基調が続いたために三尊型というよりも14円を中心に13.70円台を下値支持線、14.10円から14.25円までを上値抵抗帯としたボックス型の持ち合いという様相となってきている。

対ドルにおけるトルコリラも、1月11日深夜安値7.51リラと1月18日夕安値7.53リラがダブル底型となる一方、1月15日朝高値7.35リラと1月22日朝高値7.33リラがダブルトップ型となり、これらに挟まれて7.30リラ台前半を上値抵抗線、7.51リラ前後が下値支持線となるボックス型持ち合いの様相となっている。1月18日安値7.53リラを割り込んでくるとリラ安ドル高感が強まり、1月22日朝高値を超えればリラ高が勢いつく可能性が高まるというところだ。

【インフレ動向を見ながら中銀の引き締めスタンスを維持できるかどうか見定めに入る】

トルコ中銀は1月21日の金融政策決定会合で主要政策金利の1週間物レポレートを市場予想通り17%に据え置いた。声明では「インフレ率の持続的な低下が示されるまで長期にわたり引き締めスタンスを断固維持する」「必要に応じて追加利上げを実施する」とした。二度の利上げ効果を見定めたいという姿勢だが、エルドアン大統領が中銀金融政策発表を前後して高金利政策を批判していることもあり、中銀の独立性と健全性が保たれるのかどうか試されてゆく。
次週の2月3日には1月の消費者物価上昇率の発表がある。12月は前年比14.6%で11月の14.03%から上昇、4月以降の上昇基調が続いている。消費者物価に先行する生産者物価上昇率は12月に25.2%へ上昇しており5月の5.5%からの急上昇基調が続いている。
政策金利の二度の引き上げで実質マイナス金利状態からは脱却しているものの、消費者物価上昇率が15%を超えてくる場合には中銀への追加利上げ催促感も増すと思われる。

14円を挟んだ持ち合い続く

トルコ中銀政策金利

【40週周期の底打ちサイクルの戻り一巡にも注意】

【40週周期の底打ちサイクルの戻り一巡にも注意】

トルコリラ円は週足ベースでみれば概ね40週前後の底打ちサイクルで推移している。2018年8月の通貨危機的暴落時からは39週目の2019年5月9日、36週目の2020年1月8日、44週目の2020年11月6日と底打ちしてきた。一方でこのサイクルのピークは2018年1月5日高値、2018年11月29日と2019年1月28日のダブルトップ、2020年1月17日高値と1月に付けるパターンが続いている。今回も1月7日高値でやや行き詰まりも出ているため、米国株高=リスク選好でのドル安=新興国通貨買い優勢の展開になれば1月後半へ高値を伸ばす可能性が考えられるものの、リスク回避的なドル高が進んで新興国通貨安が顕著になる場合は1月ピークからの下落期入りという可能性もある局面と注意したい。

【当面のポイント】

(1)当面、1月18日夕安値13.74円を下値支持線、1月14日深夜高値14.10円を上値抵抗線とみておく。
(2)14円を挟んだ持ち合いのため、14円台を維持してジリ高に入れば14.10円超えを試し、14.10円超えからは1月7日高値14.25円試しへ向かうとみるが、ドル全面安による上昇や新たなトルコリラ独自の強気材料が伴わない場合は14.10円以上は反落警戒圏とみる。
(3)13.90円割れからは18日夕安値13.74円試しへ向かうとみる。13.74円割れの場合は12月31日安値13.70円まで下値目途を引き下げるが、13.70円台を維持して13.80円以上へ戻すところからは持ち合いの維持として再び14円を目指すとみる。ただしドル全面高による新興国通貨売りが勢いつく場合は13.60円台への下落もあり得るところと注意する。

【当面の主な予定】

1月25日
 16:00 1月製造業景況感 (12月 106.8、予想 100.9)
 16:00 1月設備稼働率 (12月 75.6%、予想 75.7)
1月28日
 16:00 1月経済信頼感 (12月 86.4、予想 82.2)
 20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨
 20:30 週次外貨準備高 1/22時点 (1/15時点 479億ドル)

1月29日
 16:00 12月貿易収支 (11月 -50.3億ドル)
 16:00 10−12月期観光収入 (7−9月期 40.4億ドル、予想 36.0億ドル)
 17:00 12月観光客数 前年比 (11月 -61.93%、予想 -67.0%)
2月1日
 16:00 1月イスタンブール製造業PMI (12月 50.8、予想 51.2)
2月3日
 16:00 1月消費者物価 前年同月比 (12月 14.6%、予想 13.8%)
 16:00 1月消費者物価 前月比 (12月 1.25%、予想 0.6%)
 16:00 1月生産者物価 前年同月比 (12月 25.15%、予想 24.4%)

注:ポイント要約は編集部

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