ユーロドル ユーロは売りの流れは継続(週報1月第3週)

先週のユーロは、前週からの米金利上昇によるドル買いにロックダウンの長期化を懸念したユーロ売りが加わりました。

ユーロドル ユーロは売りの流れは継続(週報1月第3週)

ユーロは売りの流れは継続

〇先週のユーロ、米金利上昇や欧州各国のコロナ感染者拡大でユーロ売りの流れ
〇今週木曜のECB理事会、ユーロ水準に言及するようであれば注意したいところ
〇イタリア、オランダの政局不安、今後の動きに注意
〇米金利の調整でドル円も上値が重たくなる中、ユーロ円も先週木曜以降に大きく下げる
〇今週もユーロ売りの流れ継続、1.2000レベルをサポートに1.2125レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、前週からの米金利上昇によるドル買い(ユーロ売り)に加え、欧州各国の新型コロナ感染者拡大が英国やドイツを中心に収まらず、ロックダウンの長期化を懸念したユーロ売りが加わりました。さらにイタリアのレンツィ元首相の連立離脱でイタリアの政局が流動的となっていたところにオランダでも内閣総辞職と政局不安が続いたこともユーロ売りに繋がったといえます。

新型コロナに関しては、英国で感染力が強い変異型が見つかって以降は改めて欧州の主要国で感染拡大が懸念されていますが、先週はスペインで感染者の拡大ペースが増えるなど、欧州の第2波、第3波が収まる気配が見られません。英国ではワクチン接種を今後1か月で1500万人に拡大するとジョンソン首相が発表しました。大規模なワクチン接種によって感染拡大を食い止められるかどうか世界中の注目が集まっていますが、効果が出ることを祈るしかないでしょう。

そして今週ですが、連日欧州主要国の経済指標の発表、そして木曜にはECB理事会の開催があります。ラガルドECB総裁は先週もユーロの水準を注視しているという発言を行いましたが、一時期に比べるとユーロもだいぶ水準を下げてきたこともあり、理事会後の会見で質問が無ければあえてユーロの水準には触れない可能性が高そうですが、現在の水準でも言及するようであれば注意したいところです。米国も来週のFOMCに向けて長期金利が目先はピークアウトしたと見られ、併せて見ていきたいところです。

そしてイタリアの政局不安ですが、レンツィ元首相が政党イタリア・ビバの閣僚を引き上げたことで現与党は過半数割れとなり、最悪解散総選挙の可能性もあります。また現与党は首相にドラギ前ECB総裁を担ぐといった案も出ているようで、まさかここでドラギ前総裁の名前が出てくるとは思いませんでしたが、与党内で何らかの動きが出てくるであろう点には注意です。

オランダのルッテ内閣総辞職は意外なタイミングで出てきましたが、元々は過去の児童手当を税務当局が受給者に返還させたことの責任を取っての総辞職です。しかし、オランダでは今年3月に総選挙が予定されているため、それまではルッテ首相が暫定内閣を運営した上で総選挙という流れになるようです。そうであるならば、オランダの政局問題は3月に先送りという見方でよさそうです。

次にテクニカルです。日足チャートをご覧ください。

ユーロは売りの流れは継続

既に前週末時点で12月上旬以降のピンクの平行線で示した上昇チャンネルを下抜け、11月安値と先週高値の38.2%押しの1.2062にほぼ到達しています。短期的なターゲットは達成しましたがユーロを取り囲む環境を考えると引き続き上値の重たい展開を続けやすく、やや角度が急ではあるものの青の平行線で示した下降チャンネルに沿った動きになってきていると言えます。

今後のターゲットは半値押しの1.1975レベルと言えますが、その手前に大台の1.20がありますので、今週は大台を視野に入れた動きになってくると見ています。今週もユーロ売りの流れが継続すると見て、1.2000レベルをサポートに1.2125レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円のチャートを見てみましょう。

今週のコラム

米金利の調整によりドル円も上値が重たくなっている中でユーロドルだけでなくユーロ円も先週木曜以降に大きく下げてきています。これまではピンクのサポートラインが効いていましたが、サポートを下抜けたことで10月安値と1月高値の38.2%押し125.24を達成しています。

値幅観測的にはユーロドルと似ていて、次のターゲットは半値押しの124.54となります。引き続きユーロドルの上値が重くドル円も上値が重いかもみあいという動きであれば週内にも次のターゲットを試す動きが出てくるのではないかと見ています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月18日(月)
**:** 米国市場休場
22:30 英中銀総裁講演
**:** ユーロ圏財務相会合

1月19日(火)
09:01 英国1月住宅価格
16:00 ドイツ12月CPI
18:00 ユーロ圏11月経常収支
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感
19:00 ドイツ1月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏11月建設支出
**:** EU財務相会合

1月20日(水)
16:00 英国12月CPI・PPI
19:00 ユーロ圏12月CPI

1月21日(木)
16:45 フランス1月企業景況感
21:45 ECB理事会
22:30 ラガルドECB総裁会見
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値

1月22日(金)
09:01 英国1月消費者信頼感
16:00 英国12月小売売上高
17:15 フランス1月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ1月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏1月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国1月製造業・サービス業PMI速報値

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月11日(月)
ユーロドルは若干の上下を挟みながらもユーロ売りの流れが続き、NY市場前場には1.2132レベルまで水準を切り下げました。その後1.21台後半へと戻しを試す動きも見られましたが上値も重く、1.21台半ばでもみあっての引けとなりました。

1月12日(火)
ユーロドルはNY後場までは安値圏で底固めをしていましたが、ポンドが終日強かった動きに追随しユーロも遅れて買いが強まりました。ポンド買いの要因は英中銀総裁がマイナス金利を否定したことがショートカバーを強めました。ユーロドルとドル円はドル安のスピードがほぼ同じだったことからユーロ円は全く動きの無い一日となりました。

1月13日(水)
ユーロドルは東京市場では底堅く高値圏でのもみあいを継続していましたが、新型コロナのロックダウン長期化による景気減速懸念、ラガルドECB総裁による為替市場を注視しているとの発言、レンツィ伊元首相の連立離脱などユーロ売りにつながる材料ばかりが目立ったことで、ユーロは対ドル、対円で水準を切り下げユーロドルは前日安値圏に近づいての引けとなりました。

1月14日(木)
ユーロドルは1.21台半ばでのもみあいをNY市場まで続けていました。NY市場に入り前日から続くイタリアの政局が流動的となってきたことを改めて材料視した売りも入りましたが、全般的なドル売りの動きで買い戻され方向感がはっきりしないままでの引けとなりました。

1月15日(金)
ユーロドルは終日売りが目立ちましたが、引き続き欧州での感染者拡大によるロックダウン延長を嫌気した動きと、水曜以降流動的となったイタリア政治に加え、オランダでも内閣総辞職が起きユーロ安の要因となりました。テクニカルにも安値を切り下げ1.2075の安値をつけ安値引けとなりました。

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