トルコリラ円見通し ドル高リラ安の一服でリラ円も上昇、14円台を回復
〇トルコリラ円、1/14夕刻に13.91まで小反落したが、深夜に14.10まで戻り高値を切り上げる
〇対ドル、米長期債利回り上昇落ち着き1/11深夜以降ドル安ぶり返す、トルコリラも1/15朝7.33に戻す
〇トルコリラ対ドルが1/11夜安値からの上昇基調継続により、トルコリラ円も支えられる
〇リスク選好的ドル安基調健在か、トルコリラも他の新興国通貨動向と同調しつつ上昇基調維持の印象
〇1/21トルコ中銀金融政策決定会合開催、今回は現状維持との予想
〇14円以上での推移のうちは上昇余地あり、14.10超えからは14.20を目指すとみる
〇14円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、13.91割れからは下落期に入るとみて13.83試しとみる
【概況】
トルコリラ円は1月7日夕刻に14.25円まで上昇して11月6日以降の高値を更新したところから下落に転じ、13日午前には13.83円まで安値を切り下げてきたが、その後は持ち直しに入り、13日はトルコ鉱工業生産や小売売上高が市場予想を上回ったこと等に支えられて戻り高値を切り上げて14日早朝には14.03円まで戻した。
14日夕刻にかけては13.91円までいったん小反落したものの押し目買いされて14日深夜には14.10円まで戻り高値を切り上げてきている。
対ドルでのトルコリラが11日夜安値からの上昇基調を継続していることでトルコリラ円も支えられている。
【対ドルでのリラ反騰続く、11日への下落幅の過半を解消】
対ドルでのトルコリラは米長期債利回り急上昇によるドル高局面で1月7日夕高値7.23リラから11日夜安値7.51リラまで反落していたが、米長期債利回り上昇が落ち着いたことで11日深夜以降はドル安がぶり返しており、トルコリラも15日朝には7.33リラへ戻しており、7日以降の下落幅を解消しつつある。
1月14日午前にはバイデン米次期政権による追加経済対策が2兆ドル規模となるとの報道で米長期債利回りが上昇してドル高反応となる局面もあり、トルコリラも一時的に売られたが早々に持ち直している。
メジャー通貨ではポンド/ドルが15日未明への上昇で昨年3月以降の最高値を更新、豪ドル米ドルも11日深夜安園からの持ち直しを継続、メキシコペソもトルコリラに近い動きで7日未明から11日夜へ下落していたところから持ち直してその間の下げ幅をほぼ解消するところへ戻している。米長期債利回り上昇によるドル買い圧力はまだ背後にあるものの、昨年3月以降続いてきた株高によるリスク選好的なドル安基調もまだ健在と思われ、トルコリラも大幅利上げにより歴史的なリラ安が一服した状況の中で他の新興国通貨動向と同調しつつ上昇基調を維持している印象だ。
【東地中海問題】
トルコとギリシャ間の東地中海での領有権やキプロス問題等に関する対立解消のための予備的協議の61回目が1月25日にイスタンブールで行われる予定だ。両国の対立を収めるための協議は2002年3月12日にトルコの首都アンカラで始まり現在まで継続している。
昨年のトルコによる海軍艦艇を伴ったガス田探査強行により両国間の対立が悪化、EUがトルコへの制裁を協議するなどトルコとEUの関係も悪化してきたが、ドイツによるとりなしで制裁発動は回避されてEUとも対話継続となっており、1月9日にはエルドアン大統領と欧州委員会のフォンデアライエン委員長がビデオ会議で会談している。エルドアン大統領の外交姿勢はナゴルノ紛争介入やリビア反体制派支援、NATO加盟国でありながらロシア製ミサイルシステムを導入するなどの混乱をもたらしてきたが、年明けも独自路線の継続を主張するスタンスは変わっていない。ひとまずトルコを巡る地政学的リスクへの市場の関心は後退しているものの、最近はシリア領域への制圧エリアを拡大するなど、再びきな臭さを醸し出していることは念頭に入れておきたい。
【14円を挟んだ高値圏での推移、21日の中銀金利発表も迫る】
トルコ中銀の総裁交代と新総裁による11月19日、12月24日の連続利上げを好感してトルコリラ円は上昇してきた。1月7日高値14.25円から1月13日安値13.83円まで反落したものの12月31日安値13.70円からは底上げをして14円台を回復してきた。このため12月11日以降の上昇トレンドは継続しているものの、12月30日以降はやや上下の振れ幅も大きい騰落が続いている。
1月21日に次回のトルコ中銀金融政策決定会合があり、2会合連続での大幅利上げとリラの上昇により今回は現状維持との予想となっているが、これまでの利上げによるリラの押し上げ効果が継続できるかどうか、試されるところと思われる。
1月7日高値を上抜けば上昇基調に弾みも付くが、高値更新に失敗した状況で21日の中銀現状維持から下落という展開になると、4時間足レベルでは三尊天井の右肩形成に終わる可能性もある。来週は中銀の金融政策姿勢を市場がどう予想して結果を受け止めるのか、重要な局面となりそうだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月13日午前に11日夕安値を割り込んだもののその後の反騰で12日夕高値を上抜き返したため、14日午前時点では13日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして15日夕から19日夕にかけての間への上昇を想定した。14日夕刻の小反落を切り返して高値を切り上げているので引き続きトップ形成中とみるが、14円割れからは弱気転換注意とし、14日夕安値13.91円割れからは弱気サイクル入りとして18日夕から20日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では1月14日未明への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、14日夕刻の反落を切り返して両スパン揃っての好転を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下げ再開を警戒し、先行スパン転落からは下げ再開とみて13日夕安値を割り込む下落期入りと考える。
60分足の相対力指数は14日未明高値から14日深夜高値への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がっているため弱気逆行の気配となっている。50ポイント以上を維持するうちは上昇継続性ありとみるが、50ポイント割れから続落の場合はいったん調整安に入るとみて30ポイント前後を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月14日夕安値13.91円を下値支持線、14.10円を上値抵抗線とする。
(2)14円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、14.10円超えからは14.20円を目指すとみる。14.15円以上は反落注意とするが14円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、14日夕安値割れからは下落期に入るとみて13日午前安値13.83円試しとみる。13.80円台前半は買い戻しも入りやすいとみるが、13.95円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な経済指標等の予定】
1月15日
17:00 12月財政収支 (11月 134.3億リラ)
1月20日
23:30 12月中央政府債務 (11月 187.2億リラ)
1月21日
16:00 1月消費者信頼感指数 (12月 80.1)
20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 17.0%、予想 17.0%)
20:30 週次外貨準備高 1/15時点
注:ポイント要約は編集部
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13日午前には13.83円まで下げてこの間の安値を若干切り下げたものの13.80円台序盤では買い戻されえて午後には13.90円台を回復、14日早朝には14.03円まで戻した。
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