ドル円見通し 米長期債利回りは再び上昇、ドル円は104円台では上値重い(21/1/15)

NYダウが序盤に史上最高値を更新してから上げ幅を削ってマイナス圏に沈む中でドル売りとなり15日未明には103.56円まで下げた。

ドル円見通し 米長期債利回りは再び上昇、ドル円は104円台では上値重い(21/1/15)

ドル円見通し 米長期債利回りは再び上昇、ドル円は104円台では上値重い

〇ドル円、1/14午前104.19まで戻し夜まで104円を挟んだ揉み合いだったが、1/15未明103.56に下げる
〇バイデン次期政権の追加経済対策が2兆ドル規模との報道、米長期債利回り再び上昇気配、ドル円上昇
〇NYダウ・ナスダックともに取引時間中の史上最高値を更新したが前日比安で終了
〇株高基調とバイデン政権による財政出動拡大見込みで、米長期債利回り高止まりの様相
〇パウエル米連銀議長、出口戦略時期尚早を示す
〇103.52割れ回避のうちは上昇再開余地あり、104.19超えからは104.39試しへ向かうとみる
〇103.52割れからは11日夜高値104.39からの下落が二段下げに入るため、103円前後への下落を想定

【概況】

ドル円は米長期債利回り上昇を背景に1月6日午前安値102.59円から上昇に転じて1月11日夜には104.39円まで高値を切り上げてきたが、米長期債利回り上昇が一服したことで13日昼には103.52円まで下げた。しかし米長期債利回りは10年債で見れば1%台を維持する高水準のままとなり、14日午前にはバイデン次期政権による追加経済対策が2兆ドル規模になるとのメディア報道から米長期債利回りが再び上昇するとドル円も104.19円まで戻した。
14日夜までは104円を挟んだ揉み合いとなっていたが、NYダウが序盤に史上最高値を更新してから上げ幅を削ってマイナス圏に沈む中でドル売りとなり15日未明には103.56円まで下げた。だが米長期債利回りの上昇もあり15日朝時点では13日昼安値割れには至らずにいる。

米労働省が発表した1月9日までの週間新規失業保険申請は前週比18万1000件増の96万5000件となり2週連続で悪化、昨年8月の101万件以来の高水準で市場予想の79万5000件を上回った。失業保険受給者総数は1月2日までの週間で19万9000人の増の527万1000人で5週ぶりに増加した。
米労働省が発表した12月の輸入物価指数は前月比0.9%上昇して市場予想の0.7%上昇を上回り11月の0.2%上昇から加速した。

【米10年債利回りは高止まり】

米上院議員決選投票で民主党が2議席を獲得して米上下院のねじれが解消、バイデン次期政権が上下院を制することとなったために選挙公約で打ち出していた財政出動の拡大を伴う追加経済対策が株高基調を継続させるとの思惑と共に債券需給を緩和させるとして株買い債券売りにより米長期債利回りが急上昇したことが1月6日から11日にかけてのドル高円安の背景であった。
14日午前には米CNNがバイデン次期政権の追加経済対策が2兆ドル規模になるとの報道から米長期債利回りが再び上昇気配となったところではドル円が上昇するなど、米長期債利回り動向を注視した展開が続いている。米10年債利回りは1月4日に0.90%台だったところから米10年債の大量入札を控えた1月12日には1.18%台へ急上昇した。大量入札を無難に通過したことで1月13日には1.07%まで低下したのだが、14日は1.13%台へ再び上昇している。

NYダウは取引序盤に31233.78ドルまで上昇して史上最高値を更新してから上げ幅を削って前日比68.95ドル安で終了したが、ナスダック総合指数も前日比16.31ポイント安の終了だったが取引序盤には13220.16まで史上最高値を更新した。株高基調とバイデン政権による財政出動拡大見込みで米長期債利回りは高止まりの様相になっている。
昨年3月のコロナショック以降、アフターコロナの復興期待でNYダウを先導役としてユーロ、ポンド、豪ドル等が大上昇してきた。この流れはまだ継続しており、米長期債利回り上昇によるドル買い圧力も発生しているもの、昨年来のドル安基調を揺るがすほどになるとまでは言えないと思う。1月15日午前にはバイデン氏によるコロナ対策・追加経済対策に関する演説も予定されているので、そのあたりを見ながら為替市場が米長期債利回り上昇を気にしてドル高へいったん舵を切るのか、リスクオンによるドル安基調継続を再確認するのか試されると思う。

【パウエル米連銀議長は出口戦略時期尚早を示す】

米連銀(FRB)のパウエル議長は1月14日の講演で、「米経済が新型コロナウイルス危機から立ち直るまでには時間がかかるため利上げは当面ない」と述べた。インフレ率は昨年春のコロナショック時の落ち込みに対する反動で上昇圧力が強まるとしたものの、「最大雇用へは長い道のり」「景気の本格回復による持続的な物価上昇にはならない」と述べた。また量的緩和での資産買い入れについても購入規模の縮小=テーパリングに言及するのは時期尚早として「出口の話をする段階にない」とも述べた。
米連銀は1月26−17日に次回のFOMCを開催するが、追加の量的緩和拡大等はないと思われるものの現行のゼロ金利と月額1200億ドル規模の資産買い入れペースを長期的に続ける姿勢を再確認すると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月11日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日夜から15日夜にかけての間への下落を想定していたが、短期的な下落にとどまって反騰入りする可能性もあるとして104円超えを強気転換注意とし、1月13日夜の反騰では104円にせまったために14日朝時点では13日昼安値を割り込む場合は新たな下落期入りとするのを妥当とみて13日昼安値を直近のサイクルボトムとした。
1月14日昼に104円を超える上昇となったものの深夜の反落で13日昼安値に迫っている。13日昼安値割れ回避のうちは104円超えから上昇再開の可能性もあるが、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして18日昼から20日昼にかけての間への下落で103円割れを目指すとみる。 

60分足の一目均衡表では14日深夜の反落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。13日昼安値割れ回避のうちは先行スパンを上抜き返すところからの上昇再開余地ありとみるが、13日昼安値割れからは新たな下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は14日深夜の反落で30ポイント台序盤まで低下した。その後も50ポイントを超えずにいるのでもう一段安余地ありとみる。上昇再開は50ポイント超えから続伸する展開が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月13日昼安値103.52を下値支持線、1月14日昼高値104.19円を上値抵抗線とする。
(2)13日昼安値割れ回避のうちは上昇再開余地ありとし、14日昼高値超えからは11日夜高値104.39円試しへ向かうとみるが104.30円以上は反落注意とし、その後に103.80円を割り込むところからは下げ再開を疑う。
(3)13日昼安値割れからは11日夜高値からの下落が二段下げに入るため、103円前後への下落を想定する。103円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、円高が加速する場合は1月6日午前安値102.59円まで下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

1/15(金)
13:30 (日) 11月 第三次産業活動指数 前月比 (10月 1.0%、予想 0.3%)
16:00 (英) 11月 月次GDP 前月比 (10月 0.4%、予想 -5.7%)
16:00 (英) 11月 鉱工業生産指数 前月比 (10月 1.3%、予想 0.5%)
16:00 (英) 11月 鉱工業生産指数 前年同月比 (10月 -5.5%、予想 -4.2%)
16:00 (英) 11月 製造業生産指数 前月比 (10月 1.7%、予想 1.0%)
16:00 (英) 11月 貿易収支・商品 (10月 -119.99億ポンド、予想 -101.75億ポンド)
16:00 (英) 11月 貿易収支・全体 (10月 -17.38億ポンド、予想 -17.00億ポンド)
19:00 (欧) 11月 貿易収支・季調済 (10月 259億ユーロ、予想 220億ユーロ)
19:00 (欧) 11月 貿易収支・季調前 (10月 300億ユーロ、予想 260億ユーロ)

22:30 (米) 12月 小売売上高 前月比 (11月 -1.1%、予想 0.0%)
22:30 (米) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 -0.9%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 0.1%、予想 0.4%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数 前年同月比 (11月 0.8%、予想 0.8%)
22:30 (米) 12月 生産者物価コア指数 前月比 (11月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 生産者物価コア指数 前年同月比 (11月 1.4%、予想 1.3%)
22:30 (米) 1月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (12月 4.9、予想 6.0)
23:15 (米) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 0.4%、予想 0.5%)
23:15 (米) 12月 設備稼働率 (11月 73.3%、予想 73.6%)
24:00 (米) 11月 企業在庫 前月比 (10月 0.7%、予想 0.5%)
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報 (12月 80.7、予想 80.0)

1/18(月)
休場、米国(キング牧師生誕日)



注:ポイント要約は編集部

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