荒れる1月相場、今週も乱高下などに注意
〇ドル円、週の半ばにかけ値を崩すも週末はドル反騰高で104.09まで伸ばし103.95レベルで越週
〇米南部ジョージア州の連邦議会上院決選投票は民主党が制しトリプルブルーが実現
〇その結果に不満を抱くトランプ氏支持者が米議会に侵入、数人の死者も発生するなど大混乱に
〇ビットコインは3万ドル台から初めて4万ドル台へ、1ヵ月足らずの間に資産価値が2倍に
〇今週は米政治情勢とビットコインやNYダウなどの市場の動きに注意
〇今週発表の米12月消費者物価やミシガン大消費者信頼感指数などに注意
〇今週のドル/円予想レンジ102.80-105.30
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが小高い。ザラ場ベースでは一時102.60円まで下落したものの、週末にかけては逆に反騰高。週間高値104.09円を示現するなど、1円以上の戻りをたどっていた。
年末年始を含めた週末、暗号資産(仮想通貨)ビットコインが史上初めて3万ドル台に乗せただけでなく、その勢いを借りて34700ドル台まで急騰。一方、新型コロナに関しては、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計結果で、米国の感染者が2000万人を超えたと発表されている。
そうした状況を踏まえて取引が始まったドル/円は103.10円前後でオープン後、下値をジリジリと切り下げる展開。週の半ばにかけて、週間安値102.60円まで値を崩している。形成していたレンジの下限を割り込み、テクニカルにも下方向へのリスクが取り沙汰されるなか、週末にかけては逆にドル反騰高の様相。103円半ばでストップロスを巻き込むと、104.09円まで上値を伸ばし、そのままドルの高値圏、103.95円レベルで取引を終え越週している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米政治情勢」と「ビットコイン」について。
前者は、金融市場のみならず関心の高かった「米南部ジョージア州における連邦議会上院の決選投票」は大接戦の末、民主党が2議席とも制し、大統領ならびに上下院のすべてで勝利を収める「トリプルブルー」の完成実現したことが明らかとなった。しかし、そうした一連の選挙結果に不満を抱く「トランプ氏支持者が米議会に侵入」。賊と警備員のあいだで銃撃戦が繰り広げられたうえ、数人の死者も発生するなど一時大混乱に陥っている。また、「トランプ氏がツイッターなどで騒動を煽った」との声も多く、週末にかけては民主党だけでなく共和党内でもトランプ氏罷免の動きが急速に広まっていた。
対して後者は、NYダウも連日のように史上最高値を更新する展開をたどったものの、ビットコインの激しい騰勢の前に値動き霞む。実際、ビットコインは前述したような3万ドル台乗せに続き、7日には初めて4万ドル台へ。つまり、わずか1週間強で1万ドルもの上昇、また、初めて2万ドルを超えたのは昨年12月16日であり、1ヵ月足らずのあいだに資産価値が2倍に達した計算になる。なお、そうしたなか日経新聞では週末8日、「ビットコイン急騰にかすむ金、投機マネーがシフト」−−といった記事を配信していたようだ。
<< 今週の見通し >>
先週は1週間を通して材料目白押し。前述した以外でも、「新型コロナの感染拡大とワクチン接種」や「雇用統計を中心に重要な米経済指標が連日発表された」こと、二転三転した「NY証取による中国通信3社の上場廃止」について−−などが折につけ市場で話題となっていた。そうした様々な材料に振り回され、ドル/円も過去2週間程度推移していたレンジの下限割れをトライ後、今度は上限超えの様相を呈するなど、なかなかの荒れ相場を記録している。話を為替、ドル/円だけに限っても、ここ数年の1月相場はかなり激しい変動をたどることが少なくないだけに、今週以降もその変動には注意を払いたい。
材料的に注意すべき要因は依然として数多いが、とくにとなると、先で取り上げた「米政治情勢」と「ビットコインやNYダウなどほかの金融市場の動き」になる。とくに前者は、黙っていてもトランプ政権はあと10日程度で幕を下ろすにもかかわらず、罷免の動きが活発していることは気掛かり。また、ペロシ米下院議長は「錯乱したトランプ氏が、核発射ボタンを押す」可能性に言及、そして実際に米国防総省のミリー統合参謀本部議長と協議を行ったことを明らかにするという出来事も観測されていた。引き続き予断を許さない。
テクニカルに見た場合、過去2週間程度推移していた102.90-103.90円という1円レンジの下限を一時下回ったものの、それは結局ダマシに。そののち、今度は逆にレンジ上限を超えるという展開をたどっている。なかなか激しい上下動だ。ともかく、ドルの下値トライが失敗に終わった感を否めないなか、一部からはドル続伸リスクも取り沙汰され始めているようだ。移動平均では、過去半年以上もしっかりと上回ったことがない90日線をめぐる攻防にまずは要注意。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発・接種」、「バイデン次期米大統領による政権運営とトランプ政権末期の動静」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、12月の消費者物価や1月のミシガン大消費者信頼感指数といった注目度の高い米経済指標が発表される予定となっているほか、FRB議長や米地区連銀総裁らによる講演なども連日のように実施される見込みだが、最大の材料はやはり「米政治情勢」ということになりそうだ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、102.80-105.30円。ドル高・円安については、週間を通して104円半ばに位置する移動平均の90日線をめぐる攻防にまずは注目。超えれば105円台回復がいよいよ現実のものに。
対するドル安・円高方向は、先週末にかけてしっかりと上回ってきた21日線が最初のサポートか。ちなみに、週初は103円半ばに位置し、緩やかな右肩下がりをたどる見通しだ。それを下回ると103円前後がターゲットとなる。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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