トリプルブルーでドル高加速。トレンド転換に要注意
〇ドル円本邦緊急事態宣言、米民主党が上下院を制したことによる増税規制強化を嫌気し102.58まで下落
〇ブルーウェーブ確定後は早期財政出動期待で株高、長期金利上昇に転じドル円も104.09まで急伸
〇雇用統計は昨年4月以来のマイナスなるも市場は反応薄
〇ユーロドルリスク選好が先行1.2350まで上昇するも指標不冴え米長期金利上昇で1.22割れまで反落
〇ドル円テクニカルには下落から上昇への短期的トレンド転換意識
〇ファンダメンタルズもブルーウェーブのいいとこどり相場でドル高円安が並走する展開
〇ドル円見通しを下落から上昇に変更
〇来週の予想レンジ(USDJPY):103.00ー105.50、(EURUSD):1.2075−1.2325
<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初103.32で寄り付いた後、@日本政府による緊急事態宣言の発令(日本経済の先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高の波及経路)や、A欧米株の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力、B米ジョージア州の上院決選投票にてブルーウェーブ(大統領、上院、下院が民主党)の確率が上昇したこと(早期増税及び規制強化を嫌気)、Cクリーブランド連銀メスター総裁による「金融政策は過去よりも緩和的であることが必要」とのハト派的な発言が重石となり、週央にかけて、昨年3/10以来、約10ヵ月ぶり安値となる102.58まで下落しました。
しかし、Dブルーウェーブ確定後の市場が株高・米長期金利急上昇(早期財政出動期待)で反応すると(当初市場が想定していた動きと異なると)、E米主要経済指標(米新規失業保険申請件数や米12月ISM非製造業景況指数など)の良好な結果や、Fドルショートの巻き戻しが支援材料となり、週末にかけては、昨年12/15以来、約3週間ぶり高値となる104.09まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局103.95近辺での越週となっております。尚、週末に発表された米12月雇用統計では非農業部門雇用者数が昨年4月以来となるマイナス圏に沈む結果(結果▲14.0万人、予想7.1万人)となりましたが、ドル売りでの反応は限定的となっております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.2231で寄り付いた後、@欧米株の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力や、Aドイツ11月小売売上高(結果5.6%、予想4.0%)及び、Bドイツ12月失業者数(結果▲3.7万人、予想1.0万人)の良好な結果、Cこれまでレジスタンスとして機能してきた1.2310を上抜けたことに伴う短期筋のロスカットが支援材料となり、週央にかけて、2018年4月以来、約2年9ヵ月ぶり高値となる1.2350まで上昇しました。
しかし、D欧州全域で広がる新型コロナウイルスの感染拡大が続伸を阻むと、Eドイツ12月消費者物価指数(結果▲0.3%、予想▲0.2%)の伸び悩みや、Fユーロ圏11月小売売上高(結果▲2.9%、予想0.8%)の冴えない結果、G欧州当局者によるユーロ高牽制の思惑、H米ブルーウェーブ実現に伴う米長期金利の急上昇が重石となり、週末にかけては、昨年12/28以来、約2週間ぶり安値となる1.2192まで急落する展開となりました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局1.2220近辺での越週となっております。
来週の見通し(1/11−1/15)
<ドル円相場>
ドル円は週央にかけて約10ヵ月ぶり安値102.58まで下げ幅を広げるも、その後一転して力強く上昇する展開となりました(週末にかけて高値104.09を示現)。これまでレジスタンスとして機能していた一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを全て上抜けするなど、テクニカル的に見て、短期的なトレンド転換(下落→上昇)が意識されます(来週は一目均衡表雲下限104.32や、90日移動平均線104.57を試すシナリオを想定)。
ファンダメンタルズ的に見ても、当初は「増税+規制強化→株安要因」と捉えられていたブルーウェーブの実現が、結果として「早期財政出動期待+増税や規制強化は後回し」といった良いとこ取り相場に転じたことで、来週も米株高・米長期金利上昇のリスクオン相場が続く可能性があり、外国為替市場では米長期金利上昇に伴うドル高と、リスク選好の円売りが並走する展開が予想されます(週末に発表された米雇用統計が冴えない数字となったにも係わらず米ドルが底堅く推移した点からも、ドル買い圧力の強さを確認)。
以上を踏まえ、当方では、ドル円相場の見通しを従来までの「下落」から「上昇」に変更いたします。昨年来続くドル独歩安の影響でドルショートポジションは相当数溜まっていると想定される為、暫くはドルショートの解消に伴うドル高基調が続くと予想いたします。尚、来週は、米主要経済指標(12月消費者物価指数、12月生産者物価指数、12月小売売上高など)が複数発表される他、パウエル議長やクラリダ副議長をはじめ当局者講演も相次ぐことから、週を通してボラティリティの高い相場展開が見込まれます。
来週の予想レンジ(USDJPY):103.00ー105.50
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、週央にかけて、約2年9ヵ月ぶり高値圏(1.2350)へと急伸するも、週末にかけて1.21台へ反落する冴えない動きとなりました。1.23台での滞空時間は極めて短く、上値の重さを再確認する結果となっております。この間、日足ローソク足が一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、11月以降続いた上昇トレンドに息切れ感が見えつつあります。
ファンダメンタルズ的に見ても、欧州全域における新型コロナウイルスの感染拡大(含む変異種)や、それに伴う欧州経済の下振れリスク(外出制限の長期化懸念)、ECBによる根強い追加緩和観測(次回ECB理事会は1/21)、欧州当局者によるユーロ高牽制の思惑(今週発表されたドイツのインフレ指標が冴えなかったことで、欧州当局者によるユーロ高牽制は一段と強まる公算大)、米議会のブルーウェーブ確定を受けた米長期金利の上昇など、ユーロドルの下落を想起させる材料が増えつつあります。
以上の通り、ユーロドル相場はテクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。新型コロナウイルスの感染拡大状況や、欧州圏の主要経済イベント(ユーロ圏11月鉱工業生産や、ユーロ圏11月貿易収支、スロベニア中銀バスレ総裁講演、フランス中銀ビルロワドガロー総裁講演)、米長期金利の動向(ドル高地合いが続くか否か)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(目先は12/21に記録した安値1.2129や、12/9に記録した安値1.2059を試すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.2075−1.2325
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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