ドル円見通し 1月4日夕安値を割り込んで下値を更新(21/1/6)

5日昼過ぎからはドル安感が強まる中で下落再開に入り、5日深夜には102.60円まで下げて4日夕安値を割り込む一段安となった。

ドル円見通し 1月4日夕安値を割り込んで下値を更新(21/1/6)

1月4日夕安値を割り込んで下値を更新

〇ドル円、5日昼過ぎから下落再開、深夜に102.60まで下げ4日夕安値102.71を割り込む
〇NYダウは前日比167.71ドル高と上昇、ナスダック総合指数も120.51ポイント高と上昇した
〇米ISM12月製造業景況指数は60.7で11月から大幅上昇、市場予想も上回り2018年8月以来の高水準に
〇1/4にドル指数は89.42まで下落し昨年3/20以降の最安値を更新
〇103円以下で推移中は一段安警戒、102.50割れから102円試しを想定
〇103円超えから続伸なら103.25試し、103.25超えから反騰期とみて103.50前後試しへ

【概況】

ドル円は1月4日夕刻に102.71円まで下落して12月17日安値102.86円を割り込んだところから103円台序盤まで戻していたが、5日昼過ぎからはドル安感が強まる中で下落再開に入り、5日深夜には102.60円まで下げて4日夕安値を割り込む一段安となった。
5日はNYダウが反騰、リスク選好で為替市場はドル全面安の様相となり、ドル円としては本邦での緊急事態宣言情勢を踏まえたリスク回避的な円高感と共にドル全面安による売り圧力で安値を更新したという印象だ。

【NYダウ反騰、感染急増でもリスクオン優先の市場心理】

1月5日の欧州株式市場は英FT100指数がプラスだったものの独DAXや仏CAC指数は下落するなどまちまちだったが、NYダウが前日比167.71ドル高と上昇、ナスダック総合指数も120.51ポイント高と上昇した。ダウは年明け1月4日に史上最高値を更新してから700ドル安を超える急落が発生するなど波乱含みの開始だったが、5日はISM製造業景況指数が強かったことや原油相場の大幅上昇等で持ち直して株高基調健在を示した。
OPECとロシア等によるOPECプラスが1月5日の閣僚級会合において2月からわずかずつ減産規模を縮小すると発表したものの、サウジアラビアが2月と3月には自主的に日量100万バレルの追加減産を行うと表明したことでNY原油期近が50ドル台に到達して昨年4月暴落以降の最高値を更新、前日比では5%を超える大幅上昇となった。原油高によりエネルギー株が上昇した。また米ISMの12月製造業景況指数は60.7で11月の57.5から大幅上昇、市場予想の56.6を上回り2018年8月以来の高水準となった。

英国型や南ア型等の変異種による感染急増が深刻であり、英国では5万人を超える新規感染者の発生が続いていたが1月5日は6万人を超えて過去最多を更新している。ドイツでは12月半ばから実施してきたロックダウン期限を当初予定の1月10日から1月31日まで延長した。米国の感染者累計は2151万人を超え死者も36万人を超えた。日本も1月7日には緊急事態宣言が発出される見込みであり、パンデミックは一向に終息の兆しが見えない。しかしワクチン普及期待、いずれは終息して景気回復へ向かう、実質ゼロ金利と量的緩和の長期化による資産インフレに加え、財政出動の活発化でモノのインフレも進むという楽観的な投資家心理が足元の不安を脇に置いて株高を演出している。年初のダウ急落で不安もよぎったが5日の反騰でリスク選好感を継続するという市場心理が再確認された印象だ。

【メジャー通貨ではドル全面安】

NYダウを先導役として為替市場は昨年3月のコロナショック暴落から出直り大上昇を続けてきたが、年明けもこの基調を維持してスタートした。ユーロドルは12月30日に1.2309ドルまで高値を更新した後に31日は大きく反落したものの4日には30日高値に迫り、5日も高値圏を維持している。ポンド/ドルも1月4日夜に昨年3月以降の最高値を更新してからは下げたが、5日未明安値から持ち直している。豪ドル米ドルとNZドル米ドルは6日未明に12月31日高値を上抜いて昨年3月以降の最高値を更新している。ただし南アランドは対ドルで急落している。南ア型の変異種は米ファイザー等の実用に入ったワクチンが効かないとの報道もあり売られている。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は1月4日に89.42まで下落して昨年3月20日以降の最安値を更新したが5日も新たな安値更新には至らなかったが終値ベースではこの間の最安値を更新している。ドル円もメジャー通貨全般におけるドル安を背景に安値更新を続けており、昨年3月24日の戻り天井以降の下降トレンドを継続している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月4日夕刻への一段安とその後の反騰を踏まえて4日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとしていたが、5日深夜に4日夕安値を割り込む一段安となったため、4日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日午後から11日夕にかけての間への下落を想定する。103円手前を上値抵抗とし、強気転換は4日深夜高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では5日の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。強気転換には先行スパンを上抜き返す必要があると思われる。
60分足の相対力指数は40ポイント以下での推移となっている。50ポイント以下での推移中は20ポイント割れを伴う下落余地ありとし、強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、102円を下値支持線、103円を上値抵抗線とする。
(2)103円以下での推移中は一段安警戒とし、102.50円割れからは102円前後試しを想定する。102円到達ではいったん買いも入りやすいとみるが、102.75円以下での推移なら7日も安値試しを続けやすいとみる。また下げ足が早まる場合は101円台後半へ下値目途を引き下げる。
(3)103円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、103円超えから続伸の場合は4日深夜高値103.25円試しとし、103.25円超えからはいったん反騰期に入るとみて103.50円前後試しへ向かうとみる。

【当面の主な予定】

1/6(水)
米大統領選 上下両院合同会議が選挙人投票を集計し次期大統領が正式に決定
10:45 (中) 12月 財新サービス業PMI (11月 57.8、予想 58.0)
14:00 (日) 12月 消費者態度指数・一般世帯 (11月 33.7、予想 32.3)
17:50 (仏) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 49.2、予想 49.2)
17:55 (独) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 47.7、予想 47.7)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 47.3、予想 47.3)
18:30 (英) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 49.9、予想 49.9)

19:00 (欧) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.4%、予想 0.1%)
19:00 (欧) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 -2.0%、予想 -2.1%)
22:00 (独) 12月 消費者物価指数速報値 前月比 (11月 -0.8%、予想 0.6%)
22:00 (独) 12月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (11月 -0.3%、予想 -0.2%)
22:15 (米) 12月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (11月 30.7万人、予想 8.8万人)
23:45 (米) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 55.3、予想 55.2)
24:00 (米) 11月 製造業新規受注 前月比] (10月 1.0%、予想 0.7%)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

1/7(木)
09:30 (豪) 11月 住宅建設許可件数 前月比 (10月 3.8%、予想 1.8%)
09:30 (豪) 11月 貿易収支 (10月 74.56億豪ドル、予想 64.50億豪ドル)
16:00 (独) 11月 製造業新規受注 前月比 (10月 2.9%、予想 -1.2%)
16:00 (独) 11月 製造業新規受注 前年同月比 (10月 1.8%、予想 2.5%)
19:00 (欧) 12月 経済信頼感 (11月 87.6、予想 89.5)
19:00 (欧) 12月 消費者信頼感確定値 (速報 -13.9)
19:00 (欧) 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.5%、予想 -3.4%)
19:00 (欧) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 4.3%、予想 1.0%)

19:00 (欧) 12月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (11月 -0.3%、予想 -0.2%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (11月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 貿易収支 (10月 -631億ドル、予想 -672億ドル)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 78.7万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 521.9万人)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
24:00 (米) 12月 ISM非製造業景況指数 (11月 55.9、予想 54.5)
26:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
27:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、Q&A参加

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