トルコリラ円レポート月曜版
〇トルコリラ円ムーディーズの格下げ、円高進行に下げ加速、安値13.75を記録
〇ギリシャとの対立がEUによる制裁に繋がるリスクもリラの重石
〇トルコ中銀の政策金利は現状維持がコンセンサス、少数ながら利上げの可能性も
〇本邦個人投資家のトルコリラ買いポジション荷動きが無いことも懸念要因
〇今週は13.45レベルをサポートに13.90レベルをレジスタンスとする流れか
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが「史上最安値更新を継続しやすい流れにあり、大台14.00レベルをサポートに、前週高値圏14.30レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が13.75レベル、高値が14.19レベルとなり、大台14円を割り込み一気にトルコリラ安が進んだ一週間となりました。
先週のトルコリラは、週初こそムーディーズの格付け引き下げの影響は見られなかったものの時間をやや置いて月曜NY市場で改めて悪材料とされたこと、そしてドル円での急速な円高が先週は進んだことがトルコリラ円の水準を下げる要因でしたが、木曜まで比較的落ち着いていたドルトルコリラが7.50を抜け対ドルでのトルコリラ安が進んだこともトルコリラ円の下げを加速させることとなりました。
材料的にはこれまでと大きな変化はありませんが、国内的にはムーディーズの格付け引き下げが示すように経済的に問題があること、そして8月以降緩やかな増加に転じた新型コロナ感染者数も懸念材料となっています。また対外的には東地中海におけるギリシャとの対立がEUによる制裁に繋がるリスクがあり、このこともトルコリラ売りに繋がっています。
今週は週初にEU外相会議が開かれますが、ここでも別件でトルコ制裁の話が出ています。これは国連が定めたリビアへの武器禁輸措置にトルコが反したというもので、フランスが中心となりEU外相会議で武器輸出に関係したトルコの企業に対して制裁を加えるというものです。これは、21日中にも決議される予定で、制裁が決まれば該当トルコ企業のEU内での資産凍結が行われます。
また今週木曜からはEUサミットが行われますが、EUサミットではギリシャとの東地中海問題に対しての制裁も検討されています。こちらもフランスは制裁に積極的ですが、他国はそこまで制裁に対して積極的ではないこと、またトルコもEUサミット前に対話をする姿勢をちらつかせていることから、週初の段階では制裁はされない可能性も高いという印象です。
そして、大きな注目材料としてはトルコ中銀の政策金利が木曜に発表されます。現状8.25%の政策金利を維持するという見方がコンセンサスとなっていますが、先週のトルコリラ安の影響を受けて利上げを行うのではないかという見方もあります。この見方は少数派で8:2程度で現状維持が見込まれていますが、仮に利上げを行ったとしてもトルコ経済にとっては悪影響と考えられる可能性があり、現状維持でも利上げでも今のトルコリラ安は簡単に止めることは出来ないでしょう。
そして本邦個人投資家のトルコリラ買いポジションも気になります。先週のトルコリラ円は円高とトルコリラ安とのダブルパンチで連日のトルコリラ安となっていましたが、買いポジションは全く変化が見られません。9月に入ってからはほとんど変わらないままではありますが、ここに来てトルコリラ安が進んでいるにも関わらず変化が無いということは、今後の動き次第では年に1、2回見られるトルコリラ円のフラッシュクラッシュを招く潜在的リスクがあるということになります。
次にテクニカルな観点ですがまずトルコリラ円の日足チャートをご覧ください。
基本的に下げ続けているため、下降の波動の起点を決めるのが難しいのですが、最近の動きの中では以前も示した3月下旬の戻り高値は起点のひとつと考えられます。するとそこから5月安値までの下げ、6月高値への戻しを3点とした逆N波動(ピンク)を想定し、フィボナッチエクスパンションを計算すると、100%エクスパンションが13.44となっていることがわかります。
この13.44を今回の下げにおけるターゲットと考え、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
日足チャートで計算した13.44をピンクの水平線で引いてありますが、先週のような下げが起これば今週中に到達しても不思議ではありません。14円の大台を下抜けたことで戻りも限定的となってくるでしょうし、EU外相会議、EUサミット、トルコ中銀会合とイベントが多くトルコリラにとって悪材料となりやすい週だけに注意です。
今週は上記ターゲットを参考に13.45レベルをサポートに13.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
注:ポイント要約は編集部
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