年初来安値を大幅更新。来週はトルコ中銀会合がメインイベント
〇トルコ円ムーディーズによる格下げ、ギリシャとの地政学的リスクの高まりに史上最安値13.76まで急落
〇テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒される
〇トルコ中銀会合注視、据え置きの場合リラ売り再開、利上げの場合はリラのショートカバーが発生か
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.50ー14.10
今週のレビュー(9/14−9/18)
今週のトルコリラ円相場は、週初14.21円で寄り付いた後、@先週末に発表されたムーディーズによる格下げ(B1からB2)や、Aトルコ・ギリシャ間を巡る地政学的リスクの高まり、B対主要通貨での円買いムード(ドル円が7/31以来となる安値104.28まで急落)、C外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感(来週のトルコ中銀会合で通貨防衛を目的に利上げに踏み切るのではないかとの思惑→利上げに伴う景気悪化懸念→トルコ売り)が重石となり、週末にかけて、史上最安値となる13.76円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局13.82円前後での越週となっております。
来週の見通し(9/21−9/25)
トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、今週末にかけて史上最安値となる13.76円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転及びパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(通貨防衛を目的に9/24のトルコ中銀会合で利上げに踏み切るとの見方が燻る一方、エルドアン大統領は従来より利上げに反対の姿勢を示しており、不透明感が根強い)、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス幅拡大(インフレ高止まり)、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(着々と広がる反トルコ包囲網)、Eギリシャを巡る地政学的リスク、F米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、G新型コロナ感染再拡大懸念など、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。実質金利のマイナス幅拡大(実質金利マイナス→投資妙味減退→国内から国外への資本流出活発化)や、トルコ経済の先行き不安(脆弱なファンダメンタルズ)、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力が大幅に低下→リラ安基調止まらず)、ギリシャを巡る地政学的リスク(軍事衝突リスク)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(来週は9/24に発表されるトルコ中銀会合に注目。据え置かれた場合はリラ安防衛能力への不信感からリラ売り再開、一方利上げに踏み切った場合は一時的にリラのショートカバーが発生する可能性がありますが、一巡後は、景気低迷下での利上げを嫌気する形でトルコ株安→トルコリラ売りに繋がると予想)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.50ー14.10
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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