トルコリラ円見通し 円高に押されて6月12日安値に迫るが底割れは回避中(20/6/19)

18日深夜にはドル円が6月12日安値に迫る中で15.53円まで安値を切り下げた。19日朝は新たな安値更新を回避してやや戻している。

トルコリラ円見通し 円高に押されて6月12日安値に迫るが底割れは回避中(20/6/19)

トルコリラ円見通し 円高に押されて6月12日安値に迫るが底割れは回避中

〇トルコリラ円、ドル円続落で18日深夜に一時15.53まで安値切り下げ
〇ドルトルコは18日まで四日連続終値での安値を更新
〇昨晩ブラジルレアルが続落、5/8同様レアル安が進行国通貨安を主導する恐れがあり要注意
〇感染者が再び増加に転じる中、トルコ政府は外国人の入出国制限を解除
〇15.53を割り込まないうちは上昇余地あり、15.65超えからは15.70円前後への上昇を想定
〇15.53割れからは一段安入りとして15.40円台への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は6月8日からのドル円急落により6月12日朝に15.48円の安値を付けたもののその後のドル円の持ち直しにより6月12日夜に15.74円まで戻した。12日夜以降は新たな高値更新へ進めず、ドル円が107円台前半を中心とした持ち合いに留まったためにトルコリラ円も15.70円を挟んだ持ち合いにとどまっていた。
6月17日に15.62円まで下げて6月16日未明安値15.63円をわずかに割り込み、18日午前に15.54円へ続落して持ち合いから転落となり、18日深夜にはドル円が6月12日安値に迫る中で15.53円まで安値を切り下げた。19日朝は新たな安値更新を回避してやや戻している。

ドル円は6月5日深夜高値109.84円から下落に転じて株安と同調しつつ12日午前安値106.55円まで大幅続落したが、その後は下げ一服となり17日夜までは107円台前半を中心とした持ち合いで推移していた。しかしNYダウが17日から18日へと反落する中で下落して18日深夜には106.65円を付けて12日安値に迫った。底割れは回避して19日朝はやや戻しているが、アフターコロナの復興期待による株高が続かずに世界的なパンデミックが継続し、米国の経済活動再開地域での感染増も続いている中で為替市場全般もリスク回避感が優勢となりつつある。目先は底割れ回避で戻りを試す可能性があるが、6月16日高値を超えない範囲に留まれば、次の下落局面で6月12日安値を割り込んで一段と円高ドル安が進む可能性も警戒されるところだ。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラの史上最安値まで下落してからの揺れ返し上昇で6月3日には6.68リラまで戻したが、その後はドル高リラ安がぶり返している。6月15日に6.86リラまで下落した後は新たな安値更新を回避しているものの、終値ベースでは6月15日から18日まで4日連続のドル高リラ安での推移となっている。トルコリラ円としては円高傾向と対ドルでのリラ安がじわじわと続いていることが売り圧力となっている。

【ブラジル・レアル急落の影響を警戒】

ブラジル・レアルは6月18日に対ドルで前日比2.85%安と下落した。5月8日に対ドルでの史上最安値5.992レアルを付けた後は新興国通貨売り一巡で反騰に入って6月8日高値4.81レアルへ上昇していた。しかし南米の感染爆発が深刻化する中で下落再開となり6月9日から16日まで続落した。17日は下げ一服だったが18日は同国GDPの先行指標であるブラジル中銀の経済活動指数が4月に9.7%低下して2006年10月以来の最低となったことも影響して急落となった。
ブラジル中銀はコロナ不況対策として6月17日に政策金利を0.75%引き下げて過去最低の2.25%とした事は市場の予想通りだったが、景気悪化が進む中での利下げが先行きのレアル売り基調を強めている印象だ。
6月18日はメキシコペソやチリペソも前日比で2%の下落となる等南米通貨安が目立った。
トルコリラが対ドルで5月7日に史上最安値を更新した流れとブラジル・レアルが対ドルでの史上最安値を更新する流れは同調したものだったが、レアル安が主導して新興国通貨売りが加速すればトルコリラへの売り圧力も強まると引き続き警戒される。

【トルコは経済活動再開で感染者再び増加傾向に】

新型コロナウイルスの感染拡大は続いている。
6月18日時点の世界の感染者数は856.5万人に達したが、17日には前日比14.6万人増で最高記録となり、18日も13.6万人増となっている。米国は感染者226万人(前日比2万6264人増)、ブラジルは98.3万人(同2万3050人増)となった。ロシアやインドの増加も目立つが、ペルーが24.4万人となり世界7位に、チリが22.5万人で世界9位に、メキシコが15.9万人で14位となっており南米の爆発傾向が続いている。

トルコの感染者数は6月18日時点で18万4031人で前日から1304人増、死者4882人で前日から21人増えた。5月30日から続いていた感染増加数千人以下は6月12日の1195人増から崩れて18日まで7日連続で千人超えとなている。経済活動再開と共に感染者も再び増加するという典型的な状況に陥っている。
トルコ日本大使館によると、トルコ政府は外国人の入出国に関する新型コロナウイルス関連の制限を一定の条件のもとに解除した。6月16日時点では入国者に対して14日間の自宅隔離措置の義務は適用されず奨励のみとなった。入国者は情報フォームの記入と空港到着時にサーマル・カメラのチェックを受ける。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月12日朝安値をサイクルボトムとして12日夜から15日朝にかけての間への上昇を想定していたが、新たな高値更新へ進めずにいたために16日朝時点では12日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして17日朝から19日朝にかけての間への下落を想定した。
18日深夜へ安値を切り下げたが12日朝安値割れを回避してその後はやや戻している。すでに前回ボトムから5日を経過したため、18日深夜安値を直近のサイクルボトムと仮定する。底割れ回避のうちは16日昼高値を基準として19日の日中から23日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして23日夜から25日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月17日夕刻の下落で先行スパンから転落して遅行スパンの悪化も続いてきたが、18日深夜からの下げ渋りで遅行スパンは好転しやすい位置にある。遅行スパン好転からは高値試し優先とするが先行スパンが抵抗帯となってくると思われる。また18日深夜安値割れからは一段安入りとなるため遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は18日朝から深夜への安値切り下げに対して指数のボトムがフラットとなる強気逆行型を見せているので40ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月18日深夜安値15.53円を下値支持線、15.70円を上値抵抗線とする。
(2)15.53円を割り込まないうちは上昇余地ありとし、15.65円超えからは15.70円前後への上昇を想定する。15.70円以上は反落注意とするが、15.60円以上での推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。
(3)15.53円割れからは一段安入りとして15.40円台への下落を想定する。15.45円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、15.53円を割り込んだ水準での推移なら週明けもさらに安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月22日
16:00 6月消費者信頼感指数 (5月 59.5、予想 65.0)
16:00 5月観光客数 前年比 (4月 -99.26%、予想 -85.0%)
6月24日
16:00 6月景況感 (5月 76.9、予想 80.0)
16:00 6月設備稼働率 (5月 62.6%、予想 65.0%)
6月25日
20:00 トルコ中銀金融政策会合(TCMB)政策金利 (現行 8.25%、予想 7.25%)
6月29日
16:00 6月経済信頼感 (5月 61.7、予想 71.0)
6月30日
16:00 5月貿易収支 (4月 −45.6億ドル、予想 -18.0億ドル)

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