ドル円見通し 15日安値に迫り、ダブル底で踏み留まるか一段安入りするか重要な岐路(20/6/19)

6月17日に反落したダウが18日も続落したことでドル円もやや悲観先行となって12日の安値に迫ったという状況だ。

ドル円見通し 15日安値に迫り、ダブル底で踏み留まるか一段安入りするか重要な岐路(20/6/19)

ドル円見通し 15日安値に迫り、ダブル底で踏み留まるか一段安入りするか重要な岐路

〇ドル円は18日深夜に106.65まで下げる、安値更新は回避するも戻りは鈍い
〇NYダウが2日続落したことでドル円もやや悲観先行
〇米指標は景況感が改善する一方で雇用は悪化したままの状況を示し、不況長期化懸念につながりやすいか
〇株価下落は感染再発が目立ち始めていることが楽観的な復興期待を抑えている印象
〇107.30以下での推移中は一段安警戒、106.65割れからは105円台後半を目指す下落を想定
〇107.30超えからはいったん強気サイクル入り

【概況】

ドル円は6月5日の米雇用統計発表後に付けた高値109.84円から6月12日午前安値106.55円まで3.29円の下落となったが、下げ一服で買い戻されてからは107円台前半を中心とした持ち合いで推移してきた。
6月17日夜にはNYダウが感染拡大懸念を背景に4日ぶりに反落したために18日早朝には再び107円を割り込み、18日深夜には106.65円まで安値を切り下げて6月5日安値に迫った。安値更新は回避したがその後の戻りも鈍く、19日朝は107円を若干割り込んだところにある。
6月5日の米雇用統計が予想外に大幅改善したところをアフターコロナの復興期待による楽観のピークとし、6月8日からは感染拡大への懸念が再燃して株安となる中で円高ドル安となった。6月12日からはNYダウが持ち直したことでドル円も下げ一服となっていたが下げ渋りの持ち合い程度の動きにとどまってきた。6月17日に反落したダウが18日も続落したことでドル円もやや悲観先行となって12日の安値に迫ったという状況だ。

【NYダウ続落でリスク選好もやや後退】

6月18日に発表された6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数はプラス27.5となり前月のマイナス43.1から改善し、市場予想のマイナス23.0を大幅に上回った。米コンファレンスボードによる5月の景気先行指数は前月比2.8%上昇となり4月の6.1%低下から改善して市場予想の2.3%上昇を上回った。
米労働省が発表した週間の新規失業保険申請件数は6月13日までの1週間で150万8000件となり前週から5万8000件減少したが、市場予想の130万件を上回った。また6月6日までの週間失業保険受給者総数は2054万4000人となり前週から6万2000人減少したが、市場予想の1980万人を上回った。
経済活動再開により景況感は改善しているが、失業状態は悪化したまま横ばいであり、不況の長期化への懸念もぶり返しやすい状況といえる。

6月18日のNYダウは前日比39.51ドル安と下落して17日の同170.37ドル安から続落となった。6月11日に1861.82ドル安と大幅下落した後は12日から16日まで3連騰で戻してきたが、テキサスやフロリダ等の感染拡大、南米での感染爆発の継続、北京でのクラスター発生とロックダウン地域の拡大、ドイツの食肉加工場での大規模クラスター発生等、経済活動再開地域での感染再発も目立ち始めていることが楽観的な復興期待を抑えている印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月12日午後安値を直近のサイクルボトムとしたが、その後は持ち合い状態が続いて6月16日昼高値の後は新たな高値更新へ進めずにいたために、6月17日朝時点では6月15日安値割れからは弱気サイクル入りとし、18日早朝への下落で15日安値を割り込んだために18日朝時点では16日昼高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして17日午後から19日午後にかけての間への下落を想定した。18日深夜へ続落してからも戻りがまだ鈍いため、もう一段安の可能性が残る。107.30円超えからはいったん強気サイクル入りと仮定して19日昼から23日昼にかけての間への上昇と16日昼高値試しを想定するが、いったん強気サイクル入りした後の反落で安値を更新するところからは新たな弱気サイクル入りにより23日夜から25日深夜にかけての間への下落が想定される。

60分足の一目均衡表では6月18日深夜安値からの下げ渋りで遅行スパンは好転しやすい位置にある。先行スパンを上抜き返すところからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、両スパンそろって好転した後に再びそろって悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は18日午前から18日深夜への安値切り下げに対して指数のボトムが切り上がる強気逆行型が見られるため、40ポイント以上での推移中は高値試しへ進みやすいとみる。ただし40ポイント割れからは下げ再開と一段安を警戒する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月18日深夜安値106.65を下値支持線、107.30円を上値抵抗線とする。
(2)107.30円以下での推移中は一段安警戒とし、18日深夜安値割れからは105円台後半を目指す下落を想定する。107円以下での推移が続くうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)107円台序盤では戻り売りも出やすいとみるが、107.30円超えからはいったん強気サイクル入りとみて16日昼高値107.63円前後を目指す上昇を想定する。107.50円以上は反落注意とし、107.30円を超えた後に再び107円を割り込むところからは下げ再開を疑う。

【当面の主な予定】

6/19(金)
15:00 (英) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -18.1%、予想 5.7%)
15:00 (英) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 -22.6%、予想 -17.1%)
15:00 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 -15.2%、予想 4.5%)
15:00 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (4月 -18.4%、予想 -14.4%)
15:00 (独) 5月 生産者物価指数 前月比 (4月 -0.7%、予想 -0.3%)
17:00 (欧) 4月 経常収支・季調済 (3月 274億ユーロ)
17:00 (欧) 4月 経常収支・季調前 (3月 407億ユーロ)
21:30 (米) 1-3月期 経常収支 (前期 -1098億ドル、予想 -1030億ドル)
23:15 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、オンラインセミナー
26:00 (米) パウエルFRB議長とメスター・クリーブランド連銀総裁、ビデオ会議

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