ドル円、リスク回避ムード継続。新型コロナ第2波リスクが相場の重石
〇ドル円106円台後半で推移107円台の滞空時間短く頭は重い
〇昨晩の米指標は好悪混在株価の軟調続く
〇ユーロドルはMPC通過後のポンド下落に一時1.1186まで下げ幅を広げる場面も
〇ドル円は、テクニカル、ファンダメンタルズとも下落リスクが警戒される
〇ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ106.40ー107.10
海外時間の為替概況
18日(木)の海外市場でドル円は上値の重い展開。@米FRBによる相次ぐ景気対策(セカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティ=SMCCFや総額1兆ドル規模のインフラ投資)、A米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果27.5、予想▲23.0)および、B米5月景気先行指数(結果2.8%、予想2.3%)の良好な結果、C中国政府による「米中両国は対話を続けることで合意」との発言(米中対立懸念の後退)等が支援材料となり、米国時間朝方には、一時107.00まで上昇しました。
しかし、欧州時間朝方に記録した高値107.14をバックに伸び悩むと、D新型コロナ第2波リスクへの警戒感や、E米新規失業保険申請件数(結果150.8万件、予想130.0万件)が予想ほど改善しなかったこと(米雇用回復期待の後退)、F米株および原油先物価格の軟調な動きが重石となり、米国時間には一時106.67まで下げ幅を広げる場面も見られました。もっとも、6/11安値106.57や、6/12安値106.58近辺で押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、引けにかけて再び反発。本稿執筆時点(日本時間4時20分現在)では、106.84近辺で推移しております。
18日(木)のユーロドル相場は軟調推移。@米FRBによる相次ぐ景気対策(セカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティ=SMCCFや総額1兆ドル規模のインフラ投資)や、A6/18−6/19に予定されているEU首脳会議(EU復興基金に進展が見られるか否か)への期待感、B米長期金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、欧州時間朝方には、一時1.1262まで上昇しました。しかし、C新型コロナ第2波リスクへの警戒感や、D上記Cを受けたリスク回避のドル買い圧力、E英ポンドの冴えない動き(MPC通過後に英ポンド急反落→ユーロドル連れ安)が重石となると、米国時間には、約2週間ぶり安値となる1.1186まで下げ幅を広げる場面も見られました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時20分現在)では、1.1209近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、6/5に記録した約2カ月半ぶり高値109.86をトップに反落に転じると、6/11には一時106.57まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線を下抜けした他、バンドウォーク(ボリンジャーバンド上限に沿って上昇を続ける状態)や一目均衡表三役好転も終了するなど、テクニカル的にみて、「地合いの悪さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(昨日は一時106.67まで下落する等、直近安値を試す展開)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新規失業保険申請件数が冴えなかったことで米雇用不安が再燃)、B米中対立激化懸念(昨日は対話継続が示されたことで改善の兆しが見られたものの状況は尚流動的)、C朝鮮半島や中東、中印、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナの第2波リスク(米テキサス州や中国北京で感染拡大の兆候)、E日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)、F全米各地で続く人種差別抗議デモなど、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。世界的な外出規制の緩和や各国中銀による景気対策は既に織り込み済みであり、ここから先は、新型コロナ第2波リスク到来に伴うリスクオンの巻き戻し(リスクオフ)に引き続き注意が必要でしょう。欧米株や米長期金利の動向や、新型コロナウイルスを巡るヘッドライン(第2波リスク)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(直近安値106.57や、日足一目均衡表雲下限106.45を試す展開を想定)。
本日の予想レンジ:106.40ー107.10
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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