ショートカバー主導のリラ買いは一服。来週は反落リスクに要警戒
今週のレビュー(5/25−5/29)
今週のトルコリラ円相場は、週初(断食明けの祝日)15.78円で寄り付いた後、@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和および本邦における緊急事態宣言解除)を受けた楽観ムードの広がりや、A株高・原油高を受けた投資家心理の改善期待を背景に、5/26に一時16.07円まで上昇しました(4/13以来の高値)。しかし、一目均衡表雲下限をバックに伸び悩むと、B米中対立激化を嫌気したリスク回避ムードの再燃や、Cリビアを巡る地政学的リスクの高まり(トルコvsロシアの構図)、Dトルコ第1四半期GDP(結果4.5%、予想4.9%)の冴えない結果、Eトルコ4月貿易収支(45.6億ドルの赤字、予想39.6億ドルの赤字)の市場予想を上回る赤字幅が重石となり、週末にかけて、一時15.66円まで下げ幅を広げる展開となりました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局15.80円での越週となっております。
来週の見通し(6/1−6/5)
トルコリラの対円相場は、5/26に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.07円をトップに反落に転じると、週末にかけて15.66円まで下げ幅を広げました。この間、一目均衡表雲下限トライに失敗した他、一目均衡表転換線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(一目均衡表雲が覆い被さる形状となっており上値は重たい)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大(9会合連続利下げで計1575bpの利下げ幅)、C経済的な結び付きの強いユーロ圏経済の先行き悪化懸念、D中東を巡る地政学的リスク、E米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念、F米中対立激化を受けたリスク回避の再来懸念など、トルコリラ売りを想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。5/7以降、ショートカバー主導でリラの買戻しが急速に進んできましたが、今週はこうした動きに一服感が見られました(ここから先は一巡後の反落に要警戒)。新型コロナウイルスの感染拡大に端を発したトルコ経済への下押し圧力や、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による連続利下げ)を受けた資本流出圧力の高まり、外貨準備急減を受けた介入余力への不信感が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(※来週は6/1に予定されているトルコ5月製造業PMIや、6/3のトルコ5月消費者物価指数に注目)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):15.40ー16.00
トルコリラ円日足
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