豪州中銀議事要旨(2019年5月21日公表)

5月7日開催された金融政策決定会合の議事要旨が公表されました。

豪州中銀議事要旨(2019年5月21日公表)

豪州中銀議事要旨(2019年5月21日公表:理事会は5月7日開催分)

今回の議事要旨は金利据え置きした場合の状況と、下げた場合の状況は労働市場改善の影響が違うと議論しています。既に利下げを視野に入れて、次回以降の金融政策に臨む方向性がでています。

以下は豪州中銀の金融政策の議事要旨の抜粋です。

(議事要旨)
@豪州との貿易相手国の成長の伸びは2019年、2020年共により遅いペースで続くことが予想される。
A委員達は中国が世界経済成長に対して著しく不確実であることを確認した。
これは米中の貿易問題が再びエスカレートし、緊張が高まったことである。
B世界の金融は今年に入ってから一層緩和的になった。
C最近の中国の鉱工業生産指数、固定投資、社会資本は増加した。
これは中国当局の緩和的姿勢に反応したものである。
但し、最近の世界貿易の急激な落ち込みは中国の成長鈍化に関連していることを委員達は確認した。
D中国の成長は2021年央まで伸びが緩やかに鈍化していくと予想している。
E国内経済に目を向ければ、2019年3月末期は消費の減速、新規住宅建設が依然弱いことを示している。
2019年通しては、輸出の伸びや新たな鉱山開発投資計画の発表でこれらのマイナス要因を相殺している。

F中銀は2019年末と2020年末のGDPは2.75%になると予想している。
(これは5月の四半期経済報告と同じ伸びで、下方修正はしていません)
G家計消費の減速が響いているが、これはまだ不確実であり、成長改善見通しは消費の伸びに掛かっている。
H企業活動の状況は3月と4月に幾分改善している。これは平均以上であるが、2018年通しての高水準からは低い。鉱山関連投資は2018年12月末期に減速したが、2019年に入り緩やかに上昇している。
資源輸出は伸びている。
I公共投資は引き続き堅調で、経済を下支えしている。
労働市場もフルタイムの労働者が増え、失業率は5%前後で推移し、2018年央以降強いペースで拡大している。暫くは5%前後の失業率であるが、2021年には4.75%まで下がると予想している。
(これも今までと同じ予想)
Jインフレは予想より低下した。昨年末のインフレは1.3%だったが、年初の豪ドル安と干ばつの影響で、3月末期の小売関連インフレは上昇した。
しかしながら、これらの上げ要因もCPIを構成している他品目のインフレ低下で相殺されている。

K為替市場ではボラティリティは依然低くいが、一部の新興国ではリスクが高くなっている。
例えば、トルコ、アルゼンチンなどある。
L豪州ドルは予想よりは少し安くなった。それでも全般的にはほとんど変わっていない。
ここ2〜3年、狭いレンジで推移している。
M住宅金利は安定的に推移している。主要銀行の借入コストは、ここ最近下がってきた。
低借入コストにも関わらず、2019年の銀行債発行は、最近までここ数年間の平均よりも少ない。
他の企業債や住宅関連債券の発行はほぼ平均的である。
N3月末CPIの発表ベースにした3ヶ月先の金利は、25ベーシス下がると資本市場参加者の市場予想になっている。
O低金利は国内の経済活動や失業率低下を支えてきたが、家計収入とインフレは依然として低いままである。インフレ圧力は以前と比較して下がっている。
P新しいデータを含めて、中銀の見通しシナリオは失業率低下とインフレ目標値という中銀目標に沿っているが、以前の見通しよりは伸びが一層緩やかになっている。

Q次の6ヶ月で市場金利は下がると予想している状況では、もし次の6ヶ月で政策金利の下げが無いなら、成長やインフレは中銀シナリオよりは好ましさが減ることが予想される。
R世界経済の伸びは下方リスクが残り、世界貿易は不確実性が高まっている。国内的には家計消費の伸びが不確実である。上方リスクとしては、今まで緩和状態の継続の結果、豪州貿易の伸び、新たな鉱山関連投資、これによる可処分所得の伸びが期待できる。
S失業率の一層の改善は、中銀の中期インフレ目標を達成する上で一貫していることで委員達は合意した。このままでは先々の労働市場の一層の改善がないと思われ、キャッシュレートの下げが適切であるとの環境を認めている。
今回は金利を据え置きにしたが、労働市場の進展、持続可能な成長を支えるだけの金融政策にすることやインフレ目標を達成することに一層の注意を払うことが重要であることを確認した。
以上(出所:豪州中銀HPから)

(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

相場は発表前に0.6920〜22米ドル付近で推移していましたが、発表後に0.69米ドル絡みまで下がり、その後は時間経過で豪ドル売りとなり、14時現在で0.6880〜810米ドルで推移しています。中銀は5月7日の金融政策では据え置きにしましたが、議事要旨では先々の緩和姿勢を打ち出しており、これが豪ドル売りに繋がっています。既に下抜け寸前だった週初の0.6915〜0.7165米ドルの豪ドル安トレンドは抜けを確認しており、当面は先週の底値0.6860米ドルのサポートを試すところまできています。ここを割ると0.6830、0.6750米ドルが次のポイントになります。一方で上値は0.6930米ドル以上で終わることが重要で、この場合は今回の下げがヒゲだけになります。
(2019年5月21日14時15分、1豪ドル=0.6877米ドル)

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