ユーロ、ドイツ総選挙後の不安定な動き続く
メルケル首相への絶対的な信頼感からまず無風と考えられていた週末のドイツの総選挙で、歴史的な極右政党の議席獲得と予想外の与党の苦戦、第二党の社会民主党の連立拒絶と、一部は予想されていた内容ながらユーロにとっての悪材料が重なり、ユーロは夕刻まで不安定な取引が続いています。
ユーロドルは投票後の出口調査での与党苦戦と極右台頭が伝えられた今朝方、前週末のNY終値1.1951から大きく値を飛ばして1.1915で取引を開始、アジア時間早朝には一時1.1897と1.1900を割り込む動きとなりました。その後東京時間には結局は与党とメルケル首相の政権が維持されることから選挙結果の影響の一過性の部分に目が行き、1.19台前半を徐々に底値を切り上げる展開となりました。しかしながら、夕刻欧州勢参入とともに再びユーロ売りが強まり東京時間18:00過ぎには再びユーロドルは1.19割れを示現、18:45現在は安値を1.1880まで広げています。
第三党となった極右政党「ドイツのための選択肢」は数十議席を獲得するものと見られており、ナチスの再台頭を阻み極右アレルギーの強いはずのドイツでの極右躍進は欧州の政治にとっても戦後最大の衝撃となりました。
メルケル首相は結局は連立政権樹立に成功するものと思われますが、「極右の台頭に対抗するために」前回連立を組んだ中道左派社会民主党は連立を拒絶、より少数派の自由民主党、緑の党との連立に時間を要することや、連立の条件に譲歩を迫られる可能性があることから、先行きの政局運営に不透明感は否めない状況です。
結局は政治の話で、好調な欧州経済への短期的な影響は小さく、ユーロに対する売り圧力は時間とともに軽減される可能性は高いと考えられますが、今年のユーロの大幅上昇の起点にはオランダとフランスの極右台頭の押さえ込みの成功による「安堵感」があったことは事実であり、今回のドイツの選挙結果は現在の大局的ユーロ相場の基盤の一部を揺るがすものとして無視はできません
ユーロドルの本日の高値1.1937は本日現在の21日移動平均線とほぼ一致していて頭を抑えられた形になっており、次第に上昇して来ている中期上昇トレンドの下限1.1875に接近、ここを割り込んだ場合には、ユーロ売りが加速する恐れがあります。
市場が落ち着きを取り戻すまでにはやや時間を要するものと思われることから今後の値動きには注意が必要です。とりあえず今晩は上記の二つのポイントとの位置関係と終値までの推移を注視。割り込んだ場合には1.1850、1.1823等が弱いサポート、現在のレンジ相場起点の1.1799は比較的強いサポートと考えられます。
また、相場観が短期に一方向に傾いたことから、反動の上昇も考えられますがレンジが下押ししている状況下では1.20までの回復が限界でしょうか。
先ほど17:00に発表されたドイツの9月IFO 景況指数は期待、現況ともに軒並み予想を下回り、ユーロの下落に拍車をかけました。
選挙でかすんでしまいましたが、本日は22:30から前週より注目されていたECBドラギ総裁の欧州議会での議会証言がある他、米国でもNY連銀、シカゴ連銀の総裁発言が予定されています。
オーダー/ポジション状況
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