『トリプルレッド成立で南アランドが大幅安。続落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、週初の高値8.74から週末にかけ一時8.47まで下落
〇トランプトレード本格化による新興通貨安、関税引き上げ懸念、金・プラチナ価格の暴落等が背景
〇南ア円、日足が主要テクニカルポイント下抜け、買いシグナルも消失、テクニカルの地合い悪化
〇ファンダメンタルズもトランプトレード本格化、南ア中銀利下げ観測、西側諸国との対立検討が重石に
〇南アランド円相場に対する見通しを、ブル(強気)からベア(弱気)へと変更
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.35ー8.65
今週のレビュー(11/11−11/15)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.67円で寄り付いた後、早々に週間高値8.74円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トリプルレッド成立に端を発したトランプ・トレードの本格スタート(共和党がホワイトハウスのみならず上下両院でも多数派を占めることが確実となったことで、トランプ氏が掲げる公約の実現性が一段と上昇→米インフレリスクを織り込む形で米金利上昇・米ドル買いが活発化→新興国通貨に下押し圧力)や、(2)トランプ氏による関税引き上げリスク(南アフリカがアフリカ成長機会法=African Growth and Opportunity Actから除外されるとの警戒感)、
(3)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の大幅下落、(4)南ア9月製造業生産(結果▲0.8%、予想+0.7%)の市場予想を下回る結果が重石となり、週後半にかけて、週間安値8.47円まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/16午前1時00分現在)では、8.49円前後で推移しております。尚、今週発表された南ア7ー9月期失業率(結果32.1%、予想32.8%)は良好な結果となりましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(11/18−11/22)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、一時8.47円(10/21以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、一目均衡表転換線、基準線、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を強く印象付けるチャート形状となりつつあります(対ドル相場も大幅下落)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トリプルレッド成立に伴うトランプ・トレードの本格スタート(トランプ氏による財政出動・大幅減税・規制緩和は、インフレリスクと財政悪化を引き起こすことから、米長期金利に上昇圧力→新興国通貨の下押し要因)や、(2)トランプ氏による南アフリカに対する関税引き上げリスク(南アフリカが特恵関税制度のAGOAから除外されるとの警戒感)、(3)南ア中銀による追加利下げ観測(南ア中銀は来週予定されている金融政策決定会合で25bpの追加利下げに踏み切る公算大→南アランドと日本円の金利差縮小)、(4)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の大幅下落(米金利上昇・米ドル買いは商品市況に下押し圧力→交易条件悪化懸念)、
(5)西側諸国との対立懸念(ラマポーザ大統領は10/22にプーチン大統領と会談の上「われわれは今後もロシアを大切な同盟国と見なしアパルトヘイトとの闘いの時代からわれわれを支えてくれた大切な友人と見なす」と表明)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。来週予定されている南ア10月消費者物価指数や、南ア9月小売売上高が市場予想を下回る場合や、南ア中銀が追加利下げに踏み切る場合には、南アランドにもう一段強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では、南アランド円相場に対する見通しを、ブル(強気)からベア(弱気)へと変更いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.35ー8.65
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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