ドル円の一段高で9月16日以降の高値更新
〇昨日のトルコ円、ドル円一段高を追いかけ、4.41まで高値を伸ばす
〇対ドル、昨日は概ね34.28から33.84の取引レンジ、ドル全面高により5日ぶりのドル高リラ安
〇低成長やトルコ株安等で、リラ高への本格的な回帰は難しい印象
〇4.41超えからは4.42、4.43を順次試して行く上昇を想定
〇4.38割れを弱気転換注意とし、4.37割れからは4.36前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の10月21日は概ね4.41円から4.34円の取引レンジ、22日早朝の終値は4.40円で先週末終値4.35円から0.05円の円安リラ高だった。
21日は為替市場がドル全面高となり、ドル/トルコリラは5日ぶりのドル高リラ安となったが、ドル円が18日早朝高値を超えて一段高に入ったことでトルコリラ円は4.41円まで高値を伸ばして9月16日に付けた史上最安値4.11円(ベンダーによっては4.10円や4.05円等もある)以降の高値を更新した。
ドル円は日銀の年内追加利上げ予想が後退する中、米国の連続大幅利下げ見通しが後退したことで米長期債利回りが上昇に転じたこと、9月後半までのドル安からドル高へ流れが変わったことにより9月27日の石破ショック安を超えて9月16日安値139.57円以降の高値を更新してきたが、18日早朝に150.32円を付けてから21日午前安値149.08円までいったん下げたものの22日早朝に150.88円へ一段高した。
150円台へ再び乗せたことで政府高官らの円安けん制発言も出やすい状況だが、ユーロや豪ドル等が対ドルで9月後半以降の最安値を更新し、米大統領選挙も迫ってきたことでドル高感が強まっているため、ドル円の上昇も継続しやすい状況と思われる。
ドル円が上昇トレンドを継続する中、ドル/トルコリラは8月28日から9月16日までの高安レンジ内での持ち合いで推移しているため、トルコリラ円はドル円の騰落を追いかけやすい。ドル円が150円到達後の反落を消化して一段高したように、トルコリラ円も4.40円到達後の調整安を消化して一段高してきたため、当面は4.43円、4.45円等を順次試して行く可能性が高まっていると考える。
【ドル/トルコリラは5日ぶりにドル高リラ安】
ドル/トルコリラの10月21日は概ね34.28リラから33.84リラの取引レンジ、22日早朝の終値は34.09リラで先週末終値の33.99リラから0.10リラのドル高リラ安だった。
8月28日の取引時間中史上最安値34.41リラから9月16日高値33.58リラへ上昇してからリラ安を再開して10月11日に34.35リラを付けて8月28日以来の安値とし、14日終値34.26リラで終値ベースの史上最安値としたが、トルコ中銀の年内利下げ期待が後退する中でリラ買い戻し優勢となり、15日から18日まで4営業日連続のドル安リラ高で推移し、18日終値は9月16日以来の33リラ台とした。
しかし週明けの21日はユーロ、ポンド、豪ドル、メキシコペソ等が下落してドル円も一段高となり、ドル全面高の様相でトルコリラも対ドルで売られたために5日ぶりのドル高リラ安となった。22日午前は34.26リラから34.07リラのレンジで推移してリラ安のぶり返し感がみられる。
10月21日に発表された9月トルコ中央政府債務残は8兆6493億リラとなり8月の8兆3388億リラから増加して過去最大となった。トルコ政府は増税や緊縮財政政策を進めており、9月の経常収支は海外観光収入増により3か月連続で黒字だったものの、2021年末に2兆7千億リラ規模だったところからほぼ毎月の増加を続けている。
トルコ中銀の年内利下げ開始見通しが後退したことや外貨準備高増強がリラ高要因ではあるが、低成長が続いていることやトルコ株安等もあり、リラ高への本格的な回帰は難しい印象だ。イスタンブール100株価指数は先週末1.58%安で18日の2.32%安から続落している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月19日未明への下落で弱気転換目安とした4.35円へ下落したために21日朝時点では18日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を19日未明から22日夕にかけての間として4.39円超えからは新たな強気サイクル入りとした。
21日午前へ続落してからの反騰で4.39円及び18日早朝高値4.40円を超えたため、21日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして23日未明から25日早朝にかけての間への上昇を想定し、上値目途を4.42円から4.43円試しとする。
ただし、18日早朝高値とのダブルトップに終わる可能性もあるので4.38円割れからは弱気転換注意として4.36円前後への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では22日早朝への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は22日早朝への上昇で70ポイントを超えた後も60ポイント台を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落注意とし、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.38円を下値支持線、4.41円を上値抵抗線とする。
(2)4.38円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、4.41円超えからは4.42円、4.43円を順次試して行く上昇を想定する。4.43円以上は反落注意とするが、4.38円を上回っての推移なら23日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.38円割れを弱気転換注意とし、4.37円割れからは4.36円前後への下落を想定する。4.36円前後は買われやすいとみるが、4.37円以下での推移なら23日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
10月23日
16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 78.2)
10月24日
20:30 週次 外貨準備高・グロス 10月18日時点 (10月11日時点 936.4億ドル)
20:30 週次 外貨準備高・ネット 10月18日時点 (10月11日時点 583.1億ドル)
10月25日
16:00 10月 製造業信頼感指数 (9月 98.8)
16:00 10月 設備稼働率 (9月 74.9)
10月30日
16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 95)
10月31日
16:30 トルコ中銀 四半期インフレ報告 年末インフレ率 (前期 38.0%)
注:ポイント要約は編集部
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