年内利下げ観測がより後退、中東情勢を横目にじり高の展開は継続へ
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、トルコ中央銀行(トルコ中銀)が政策金利50.00%の据え置きと利下げ開始時期の後ずれを公表したことで、堅調推移となった。
17日、トルコ中銀は政策金利50.00%に据え置くことを決めたほか、足元の物価上振れを受けて、利下げ開始時期が来年にずれ込む可能性を示唆した。トルコ中銀は「9月の基調的な物価上昇率のトレンドはやや上向いた」「直近データに照らすと物価情勢改善に関する不確実が高まっており、予想物価と価格決定行動はディスインフレの過程にリスクをもたらし続けている」「月次インフレの基調に顕著かつ持続的な低下が観察され、インフレ期待が予測された予想範囲に収束するまで、金融引き締めの姿勢は維持」などと指摘した。
トルコ中銀は9月、声明文から追加利上げの可能性についての言及を削除し、今後の利下げに向けた地ならしに動いたが、今回はそれ以上踏み込んだ表現は盛り込まれなかった。金利据え置きは想定線だったが、利下げ開始時期の後ずれを示唆したことから、年内利下げ観測はより後退。トルコリラは堅調推移で8月16日以来の4.4円台まで上昇した。
トルコリラ・円(東京時間:10月14日―10月18日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.3481円
高値:4.4149円
安値:4.3253円
終値:4.3469円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
10月17日
20時00分、トルコ中銀政策金利、前回:50.00%、市場予想:50.00%、結果:50.00%
10月23日
16時00分、10月消費者信頼感指数、前回:78.20
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、10月消費者信頼感指数などの経済指標が予定されているが、年内利下げ実施観測の後退を原動力に堅調な地合いが続きそうだ。
今会合のトルコ中銀金融政策会議での「タカ派」な声明内容は、10月上旬のカラハン・トルコ中銀総裁が示した内容とほぼ同じである。今後は11月4日に発表される10月消費者物価指数(CPI)に関心が向かおう。9月CPI上昇率は、前年同月比49.38%と8月の同51.97%から低下したが、市場予想を上回ったことで足元のインフレ継続が強く意識され、今会合の「タカ派」声明につながった。
仮に10月CPIが鈍化しても、11月23日に開催される会合では政策金利据え置きとなろう。会合後に予定されている11月30日の第3四半期GDP、そして、12月上旬の11月CPIの結果を見た上で、12月21日に開催される年内最後の会合で利下げの可能性を示唆し、年明けに利下げ開始というシナリオかもしれない。もっとも高い政策金利維持は経済にネガティブな影響を与えるので、高いインフレ期間の長期化は、結果としてトルコリラ安を招く可能性があることは意識しておきたい。
一方、テクニカルは引き続き良好だ。日足の一目均衡表では、4.2円水準まで切り下がる雲下限に沿った動きとなる可能性もあったが、足元転換線をサポートにじりじりと上昇している。4.4円水準で位置している75日移動平均線にいったんは頭を押さえられたが、突破を試しそうな勢いだ。中東情勢の緊迫化は引き続き重しとなるが、トレンドの強さからじり高の展開に期待したい。
トルコリラ円日足
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