RBNZ会合は大幅利下げを織り込む、声明内容や円の動向に注目
今週のNZドルは、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)会合を前に上値は重くなったが、円が主要通貨に対して売られたことなどを背景にしっかりとした推移となった。
2日、前日1日に首班指名されたばかりの石破首相が植田日銀総裁と異例の早期会談を実施。植田総裁は記者団に対して「石破総理大臣には、日銀の金融政策について極めて緩和的な状態でしっかり経済を支えていく状態にあること。また、日銀の見通しどおりに経済が動いていけば金融緩和の度合いを調整していくことになるが、本当にそうかどうかを見極めるための時間は十分あると考えていて、丁寧に見ていきたいということを申し上げた」と述べた。
石破首相は「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない。『これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展し、デフレの脱却に向けて推移していくことを期待している』と植田総裁に申し上げた」と記者団に述べた。この石破首相の発言を受けて、早期の追加利上げ観測が後退し、円は主要通貨に対して売り優勢の展開に。
NZドルは、日足の一目均衡表の雲上限水準でのもみ合いとなったが、円安を支援材料に91円前後でのしっかりとした推移が見られた。
NZドル・円(東京時間:9月30日―10月4日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値: 90円31銭
高値: 91円93銭
安値: 89円85銭
終値: 91円12銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
9月30日
9時00分、9月ANZ企業信頼感、前回:50.6、結果:60.9
10月1日
6時45分、8月住宅建設許可(前月比)、前回:26.4%、市場予想:−5.3%
10月9日
10時00分、NZ中銀政策金利、前回:5.25%、市場予想:4.75%
10月11日
6時30分、9月製造業PMI、前回:45.8
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、9日のRBNZ会合に注目となる。RBNZは、既に前回の8月会合で政策金利を引き下げており、今回のRBNZ会合にて0.50%の大幅利下げを実施する公算が大きい。今年最後の11月27日のRBNZ会合でも0.25%利下げ実施が織り込まれており、年内0.75%利下げを市場は織り込みつつある。
足元の弱い経済指標を考慮すると利下げ実施に伴う経済回復を市場はポジティブに捉えている様子だ。RBNZが声明で「ハト派」姿勢を強めることは想定線だが、年内0.75%の大幅利下げ実施を示唆する内容が出た場合、瞬間的にNZドル売り圧力が強まるかもしれないが、雲下限水準の89円が下値支持として意識されよう。
一方、円の動向次第では89円水準を下回る可能性はある。円は就任したばかりの石破首相の言動に振らされやすくなっている。一週間前の9月27日「高市トレード」によって対ドルで146円台まで円は売られたが、石破氏が自民党総裁に決まった瞬間、円高に振れ30日には141円台まで円は急騰。その後、石破首相が「早期の追加利下げに消極的」の考えを持っていることが判明すると10月3日に147円台まで円安が進行した。さすがに、月末に衆議院選挙、11月5日に米大統領選挙をそれぞれ控えていることから、この水準からの一段の円安は想定しにくい。衆議院選挙の公約次第では再び140円台前半まで円が買われる可能性もあり方向感はつかみにくい。
日足の一目均衡表では、雲上限91円34銭を挟んでのもみ合いが続いている。三役好転のためトレンドは強まりそうな状況だが、RBNZ会合を前に上値は重い。RBNZ声明が伝わった直後は上下に振れそうだ。雲下限から雲上限のレンジ内の動きを想定するが、円の動向次第ではこのレンジを超えるだろう。
NZドル円日足
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