円買いに押されるも底堅い展開、第2四半期GDPに注目
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、目立った経済指標の発表が無かったなか、日銀審議委員の発言に伴う追加利上げ観測の高まり受けた円買いに押され、8月7日以来の86円台まで下落した。
11日、中川順子日銀審議委員が、秋田市で開催された金融経済懇談会で、経済・物価が見通しに沿って推移すれば「金融緩和の度合いを調整していくことになる」などと話した。9月5日、高田創審議委員が金沢市での金融経済懇談会で講演し「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それに応じて(金融緩和の度合いを)段階的に調整していく」との基本姿勢を強調していたことから、中川審議委員は高田審議委員の流れをほぼ踏襲した結果となったが、市場は「利上げに前向き」と捉え、追加の利上げ観測が強まり円は主要通貨に対して、全面高の展開となった。
NZドルは11日に8月7日以来となる86円台まで下落したが、来週の日米中銀会合開催などが意識されて下げ渋り、週末は87円台半ばまで値を戻した。
NZドル・円(東京時間:9月9日―9月13日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値:87円83銭
高値:88円43銭
安値:86円31銭
終値:87円42銭
【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間
9月10日
7時45分、第2四半期製造業活動、前回:0.8%、結果:0.1%
9月18日
7時45分、第2四半期経常収支、前回:−43.59億NZドル
9月19日
7時45分、第2四半期実質GDP(前期比)、前回:0.2%、市場予想:−0.3%
7時45分、第2四半期実質GDP(前年比)、前回:0.3%、市場予想:−0.6%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、経済的につながりの強い豪ドルの動向を横目に見つつ、日米中央銀行会合の結果見極めなど外部環境を強く意識しそうだ。また、19日の第2四半期GDPの結果も警戒する展開となりそうだ。
今週は日銀審議委員の発言を受けて、日銀による追加の利上げ観測が高まったものの、「正常な金融市場」という前提があることから早期の利上げ実施はないと考える。20日の記者会見で植田日銀総裁がこれまでの発言の範囲内に留まれば、主要通貨に対する円買いは一服するだろう。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が17−18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利下げを実施した場合、米景気減速懸念が蒸し返される可能性はある。もっとも0.25%利下げとなっても「次のFOMCでの大幅利下げへの警戒」が意識されるかもしれないので、ドルが軟調推移となる展開は頭に入れておきたい。
国内材料としては第2四半期GDPに注目だ。23年第3四半期が前期比−0.3%、第4四半期が同−0.1%と2四半期連続のマイナス成長となり、景気後退(テクニカル・リセッション)に突入した。その後、24年第1四半期は同+0.2%と3四半期ぶりにプラス成長となったが、第2四半期は同−0.3%予想と再びマイナス成長が見込まれている。既に、第1四半期GDP発表の時、「基調的な弱さ」が指摘されており、第2四半期には再びマイナス成長入りすることは想定されていた。想定線のマイナス成長となりそうだが、市場がテクニカル・リセッション入りを回避するために追加の利下げ実施を催促する可能性はあろう。
日足の一目均衡表では、雲下限の下を推移しているが、転換線、基準線はともに横ばい推移のため下押し懸念は低いと考える。11日の下げも下影(下ヒゲ)を残したことで短期的な反発を期待したいところ。テクニカルでは底堅い動きが確認できているものの、来週のNZドルは、外部環境を横目に国内経済指標を見極める必要があり忙しい週となりそうだ。
NZドル円日足
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