トルコリラ円見通し ドル円の一段高で8月5日以降の高値更新
〇トルコ円、8/15夜にドル円が一段高したことを追いかけて4.44へ高値を伸ばし、8/5以降の高値更新
〇対ドル、8/15は概ね33.67から33.39の取引レンジ、終値ベースの史上最安値更新
〇昨日発表の週次の外貨準備高、前週から減少したが増加基調は継続
〇4.40を上回るうちは一段高余地ありとし、4.45超えからは4.47前後への上昇を想定する
〇4.40割れからは4.38前後への下落を想定し、4.38割れから続落の場合は4.35前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の8月15日は概ね4.44円から4.36円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.43円で前日終値の4.38円から0.05円の円安リラ高となった。
ドル円は8月5日安値141.69円から12日高値148.21円まで戻した後147円を挟んだ持ち合いとしていたが、8月15日の米7月小売売上高が予想を上回る堅調さを示し新規失業保険申請件数が2週連続で改善したことにより8月2日の米7月雇用統計悪化をきっかけとした世界連鎖株安とドル安が過剰反応だったとして8月12日高値を超えて149円台へ上昇し、持ち合いから上放れて8月5日を起点とした反騰継続感を強めた。
トルコリラ円はドル円の急落を追いかけて7月3日安値4.99円から8月5日安値4.24円へ大幅下落となり史上最安値を更新したが、ドル円の持ち直しを見ながら12日夜に4.42円へ高値を伸ばした後は4.36円前後を下値支持線とした持ち合いに入っていたが、15日夜にドル円が一段高したことを追いかけて4.44円へ高値を伸ばして8月5日以降の高値を更新した。
日米主要株価指数は8月5日への暴落を解消するようにV字反騰に入っていることで金融市場全般のリスク選好感が回復していることと、8月2日の米雇用統計悪化により9月FOMCでは0.50%の大幅利下げとなるのではないかとの見方が強まったことによるドル安にブレーキがかかった。日銀も先般の追加利上げから急激な円高と株安を招いた原因扱いされたことと8月7日に内田副総裁が当面の追加利上げを否定したことで円高圧力が後退している。
7月3日から8月5日まで20円を超える下落規模となったものの、揺れ返しの円安が大きく発展する可能性もあるとみてトルコリラ円はドル/トルコリラにおけるリラ安を気にしつつもドル円の上昇を追いかけたいところだ。
【ドル/トルコリラは終値ベースの史上最安値更新】
ドル/トルコリラの8月15日は概ね33.67リラから33.39リラの取引レンジ、16日早朝の終値は33.60リラで前日終値と同値だったが小数点下4桁では14日終値33.5992リラから15日終値33.6042リラで終値ベースの史上最安値を更新した。
日足は8月13日から3日連続陰線で下落しており、8月6日に付けた取引時間中の史上最安値33.77リラには届いていないものの8月16日午前序盤に33.72リラへ続落して取引時間中の最安値更新に挑戦している。
8月15日は米小売売上高が堅調で新規失業保険申請件数も2週連続で改善したために為替市場ではドル全面高となったこともドル高リラ安要因だった。
NYダウなど主要株価指数が大幅続伸したことで8月5日にかけての世界連鎖株安による先行き不安が解消しつつあり、イスタンブール100株価指数も8月15日に前日比1.55%高と上昇しているため、金融市場全般のリスク選好感回復により新興国への投資意欲も持ち直すのではないかと期待されるが、年末にかけてドル高リラ安は暫く継続するとのコンセンサスからリラの下落基調もなかなか収まらないところだ。
【週次の外貨準備高は前週から減少したが増加トレンドは維持】
8月15日にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は8月9日時点のグロスで923.3億ドルとなり8月2日時点の924.9億ドルから若干減少し、ネットでは469億ドルとなり8月2日時点の514.5億ドルから大幅に減少した。
グロスの準備高は昨年末に975.6億ドルまで増加したところをピークとして今年5月に649.7億ドルまでいったん減少したものの再び増加に転じて昨年末のピークへ徐々に迫ってきている。ネットでは6月に475.2億ドルまで増加して2023年6月のマイナス57億ドル以降の最高としてから7月序盤に394億ドルまでいったん減少したものの再び増加傾向に入って6月のピークを超えて8月2日時点でこの間の最高を更新しており、8月9日時点は減少したものの増加基調は継続していると思われる。
外貨準備高がしっかり増強姿勢を保っていることは海外投資家によるトルコへの信用を高めるものとなっている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月9日夜安値をボトムとした強気サイクル入りとして13日の日中から14日夜にかけての間への上昇を想定したが、14日昼の下落時に9日夜安値をわずかに割り込んだために15日午前時点では12日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を14日夜から16日夜にかけての間として12日夜高値を超える場合は新たな強気サイクル入りとした。
8月15日夜の上昇で12日夜高値を超えたため、15日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は15日夜から19日夜にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとするが、4.40円割れを弱気転換注意とし、4.38円割れからは弱気サイクル入りとして20日午後から22日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月15日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたため遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月15日夜の急伸時に70ポイントへ迫ってから50ポイント台へ反落しているため、60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント前後への上昇を想定するが、相場が高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.38円を下値支持線、4.45円を上値抵抗線とする。
(2)4.40円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.45円超えからは4.47円前後への上昇を想定する。4.47円以上は反落警戒とするが、ドル円の上昇が勢い付く場合は4.50円に迫る可能性もあるとみる。
(3)4.40円割れからは4.38円前後への下落を想定し、4.38円割れから続落の場合は下落期入りとみて4.35円前後への下落を想定する。4.36円以下は買われやすいとみるが、4.38円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月20日
20:00 トルコ中銀 金融政策委員会 政策金利 (現行 50.0%、予想 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 8月16日時点 グロス (8月9日時点 923.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 8月16日時点 ネット (8月9日時点 469.0億ドル)
8月22日
16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 75.9)
20:30 週次 外貨準備高 8月16日時点
8月23日
17:00 7月 海外観光客数 前年同月比 (6月 4.95%)
注:ポイント要約は編集部
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