6月CPI次第では、雲上限の8.4円水準までの調整の可能性も
先週のランドは、南アフリカ準備銀行(南ア中銀、SARB)が開催した会合で、主要政策金利8.25%を据え置いたものの、利下げを主張するメンバーが2人いたことが意識されて、売り優勢の地合いとなった。
18日のSARB会合で、主要政策金利のレポ金利を7会合連続で8.25%に据え置いたが、政策決定は昨年9月以降で初めて全会一致とならなかった。金融政策委員会メンバーのうち4人が金利据え置きを支持したが、2人は0.25%の利下げを主張した。
クガニャゴSARB総裁は、「メンバー2人が利下げを望んでいるものの、インフレ見通しに対するリスクは上振れ傾向にある」と引き続きタカ派な姿勢を維持した。クガニャゴSARB総裁は、「利下げを実施する前に数回にわたるインフレ率の低下を望んでいる」とした上で、「過去の数値のみで判断せず、インフレ見通しを確認し、それに基づいてリスクを認識した上で決定を下す必要がある」と言及。インフレ期待も中銀目標の中間値である4.5%を「不快なほど上回っている」とした。
この結果を受けて、早期の利下げ観測が浮上したことでランド売り優勢となった。また、暗殺未遂事件後に発言力が増したトランプ前大統領が「円安ドル高批判」を行ったことから、投機筋の円売りポジションのアンワインド(巻き戻し)が進行。円が主要通貨に対して上昇したことも影響し、円高ランド安の地合いとなった。
ランド・円(東京時間:7月15日―7月19日)※Investing.comの日足を参照
始値:8.7940円
高値:8.8073円
安値:8.5331円
終値:8.6132円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
7月17日
20時00分、5月小売売上高(前年比)、前回:0.7%、市場予想:0.7%、結果:0.8%
7月18日
22時00分、南ア中銀政策金利、前回:8.25%、市場予想:8.25%、結果:8.25%
7月24日
17時00分、6月消費者物価指数(前月比)、前回:0.2%、市場予想:0.1%
17時00分、6月消費者物価指数(前年比)、前回:5.2%、市場予想:5.1%
7月25日
18時30分、6月生産者物価指数(前月比)、前回:0.1%、市場予想:−0.3%
18時30分、6月生産者物価指数(前年比)、前回:4.6%、市場予想:4.5%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、トランプ前米大統領の言動にドルや円が翻弄されるなか、6月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)を見極める地合いとなろう。連立政権樹立を受けたご祝儀的なランド買いは完全に終了した。
CPI、PPIはともに鈍化が見込まれているが、SARB目標の中間値である4.5%を上回っているため、早期の利下げ観測はさほど強まらないと考える。ただ、市場予想である前年比5.1%増を下回り中間地に近づいた場合、先週のSARB会合の結果も蒸し返されて、早期の利下げ観測が強まりランド売りが優勢となろう。
テクニカルでは、7月1日高値を上回った後、心理的な節目の9円を前に利益確定の流れが強まり、日足の一目均衡表の転換線を下回った。基準線は引き続き上向きだが、転換線が基準線を下回る公算が大きいことからトレンドが今後弱まる可能性もあろう。足元、50日移動平均線でのもみ合いが続いているが、雲上限が位置する8.4円水準まで調整する展開も意識しておきたい。
南アフリカランド円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.10.30
ドル円 基本は明日以降の材料にらみ、レンジ取引か(10/30夕)
東京市場はレンジ取引。153円台前半、40ポイントほどの小動きだった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.10.30
ドル円、153円台前半で方向感に欠ける動き (10/30午前)
30日午前の東京市場でドル円は153円台前半でのもみ合いに終始。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:川合 美智子
2024.10.30
ユーロ円 上値トライの流れが継続(24/10/30)
昨日の海外市場では、対ドルでユーロが堅調に推移する中、ユーロ/円は165円台後半に戻して引けました。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.07.27
南アランド円週報:『約1カ月半ぶり安値更新後に持ち直す展開。上昇トレンドの再開に期待』(7/27朝)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、7/11に記録した高値8.98円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1カ月半ぶり安値となる8.20円まで急落しました。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.07.20
南アランド円週報:『トランプリスクと南ア中銀のハト派化を受けて約1カ月ぶり安値圏へ急落』(7/20朝)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、7/11に記録した高値8.98円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1カ月ぶり安値となる8.53円まで急落しました
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。