強い豪ドルにつられ、史上最高値97円88銭を更新
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、経済的なつながりの強いオーストラリアの根強いインフレ見通しに伴う利上げ観測を材料に豪ドルが上昇したことが、下支えとなった。
6月26日に発表された5月豪消費者物価指数(CPI)は、3カ月連続で市場予想を上振れる強い結果となり、前年比4.0%上昇と前月(同3.6%上昇)を大幅に上回る高い伸びとなった。次回8月金融理事会での利上げの可能性が高まったことで、豪ドルは主要通貨に対して買い優勢の展開となり、対円では2007年11月以来の水準まで買われた。
NZドルは、国内の手掛かり材料には欠ける地合いだったが、豪ドルの強い動きに引っ張られ、2007年7月につけた史上最高値97円88銭を更新。98円台まで上昇した。
NZドル・円(東京時間:6月24日―6月28日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値:97円93銭
高値:98円03銭
安値:97円32銭
終値:97円86銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
6月24日
7時45分、5月貿易収支、前回:−0.03億NZドル、結果:2.04億NZドル
6月27日
10時00分、6月ANZ企業信頼感、前回:11.2、結果:6.1
7月2日
7時45分、5月住宅建設許可、前回:−1.9%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、自国では目立った経済指標の発表が予定されていないことから、引き続き隣国の豪ドルの動向に関心が向かいそうだ。NZドルは一足先に対円での史上最高値を上抜いており上が意識されやすいなか、豪ドルの強い上昇がNZドルをけん引すると考える。
ここ1週間は、ニュージーランド準備銀行(NZ中銀)やオアNZ中銀総裁のコメント等が確認できないことから、基本的には5月に表明した「インフレとインフレ期待を抑制するには経済成長の鈍化が必要だ」「インフレ抑制に取り組む中、来年もしばらくは利下げする可能性は低い」というタカ派姿勢のままと考える。豪ドル同様、NZドルも堅調推移となりそうだが、テクニカルリセッション(2023年第3四半期、第4四半期、2期連続でGDPマイナス成長)から脱出したばかりのため、相対的にはNZドルよりも豪ドルの方が強いと考える。
ただ、テクニカル面は引き続き堅調だ。日足の一目均衡表では、下値を切り上げ、高値を更新していることから短期的なトレンドは強い。サブプライムショック前につけた2007年7月の史上最高値97円88銭も更新したことから需給面は良好だ。豪ドル次第といった地合いだが、上への動きに期待したいところ。
一方、米ドルが161円台に乗せていることから、日本当局による円買い米ドル売り介入実施には警戒したい。4−5月の日本当局による介入時には、4月29日高値95円36銭から5月1日90円93銭と4円40銭ほどNZドルは急落した。一方、「介入は時間稼ぎ」との見方も強く、効果は短いとの考えもある。仮に日本当局が円買い介入を実施したときは、NZドルの押し目を狙う戦略も効果的と見る。
NZドル円日足
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