07年以来の107円台、先進国で唯一利上げの可能性アリ
【今週の豪ドル】
今週は、5月消費者物価指数(CPI)上振れを受けて一段高の地合いとなり、07年11月以来の107円台まで上昇した。
オーストラリア統計局が26に日発表した5月のCPIは前年比4.0%上昇と前月の同3.6%上昇から大幅に加速、市場予想(同3.8%上昇)も上回り半年ぶりの高い伸びとなった。コアインフレ率の指標として注目されるCPI中銀トリム平均値も前年比4.4%上昇し、前月の4.1%上昇から加速。4カ月連続の加速となった。
強いCPIを受けて、市場が予想する今年11月までの25ベーシスポイント(bp)利上げ(一回の利上げに相当)の確率は0.0%から60.0%に急上昇。利下げ開始時期は来年春過ぎ以降から、来年後半以降に後ずれした。
豪ドルは対主要通貨で上昇し、サブプライムショック前の2007年11月以来となる107円台まで買われた。先進国のなかで唯一利上げの可能性が高いということが投資家の買いを誘った。
豪ドル・円(東京時間:6月24日―6月28日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値: 106円13銭
高値: 107円06銭
安値: 105円63銭
終値: 106円98銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
6月25日
6時00分、6月消費者信頼感指数、前回:−0.3%、結果:1.7%
6月26日
9時30分、5月先行指数、前回:−0.03%、結果:−0.01%
10時30分、5月消費者物価指数(前年比)、前回:3.6%、市場予想:3.8%、結果:4.0%
7月1日
10時30分、5月小売売上高、前回:0.1%、市場予想:0.3%
7月2日
10時30分、5月住宅建設許可、前回:−0.3%、市場予想:1.8%
7月4日
10時30分、5月貿易収支、前回:65.48億ドル、市場予想:69.00億ドル
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、5月小売売上高など重要な経済指標を見極めながらも強いトレンドが続くと考える。
5月CPI上振れを受けて、UBS銀行とドイツ銀行は、次回8月のオーストラリア準備銀行(RBA)の金融政策理事会にて利上げ実施を予想しているほか、ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は利下げ開始時期の予想を24年11月から来年5月に変更した。
4月24日発表の3月CPI、第1四半期(1−3月)CPI、そして、5月29日に発表された4月CPI、6月26日の5月CPIはいずれも市場予想を上振れし高い伸びが確認できた。市場では7月31日に発表される第2四半期(4−6月)のCPI上振れの可能性が強まってきた。
13日の5月雇用統計も強く、18日のRBA理事会ではタカ派な姿勢が確認できたことなどから、利上げムードは醸成されつつあると言えよう。7月末の第2四半期CPIでも高い伸びが明確となれば、8月利上げのストーリーはほぼできあがったと考えることもできる。仮に8月ではなく11月利上げという流れになったとしても、先進国では唯一追加利上げを検討する必要が高まっているという事実はしばらく変わらないだろう。豪ドルは、米ドル、ユーロ、円など主要通貨に対して相対的に強い地合いが続くと考える。
月足チャートでは、20年3月安値59円87銭をボトムとした上昇のなか、14年高値102円89銭を上回っており、2007年11月以来の107円台まで上昇した。投機筋による円売りポジション構築も円安豪ドル高の背景にあるだろう。
足元、米ドルが161円台に乗せていることから、日本当局による円買い米ドル売り介入への警戒感が強まっている。4月から5月にかけての日本当局による介入と同様の急落(4月29日高値104円91銭から5月1日安値100円03銭)となる可能性は意識したい。もっとも、「介入は時間稼ぎ」との見方は強いことから、急落局面は豪ドル買いの対応も考えたいところだ。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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