91年以来の108円台、8月6日の追加利上げ観測強まる地合い
【今週の豪ドル】
今週は、豪経済指標を材料に豪ドルが買われるなか、円が主要通貨に対して全面安となったことも影響して、1991年以来の108円台まで豪ドルは上昇した。
3日に発表された5月小売売上高は前月比0.6%増の359億豪ドルだった。伸び率は4月の同0.1%増を大幅に上回り、市場予想(同0.2%増)も上回った。食料品と衣類が増加に転じ、カフェやレストランが減少。年度末に実施されたセールが例年集中する6月から5月にずれ込んだ可能性も指摘されているが、大幅な伸びを受けて、市場は追加の利上げ観測を一段と高め、早ければ8月にも利上げに踏み切るとの見方が強まった。
2日に公表された6月分の豪準備銀行(RBA)議事要旨では、追加利上げの可能性が示唆されていたことが確認できたことも追い風となり、豪ドルは上昇。対円では108円台まで買われ、1991年以来の水準まで上昇した。
3日に発表された中国財新のサービス業PMIが51.2と市場予想(53.5)を大きく下回り、8カ月ぶりの落ち込みとなったことが嫌気されて、豪ドルの上値が重くなる場面も見られたが、円が主要通貨に対して全面安となったことから、週末にかけて上昇。108円60銭まで買われた。
豪ドル・円(東京時間:7月1日―7月5日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値: 107円26銭
高値: 108円60銭
安値: 107円22銭
終値: 108円44銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
7月3日
10時30分、5月小売売上高、前回:0.1%、市場予想:0.2%、結果:0.6%
10時30分、5月住宅建設許可、前回:1.9%、市場予想:1.6%、結果:5.5%
7月4日
10時30分、5月貿易収支、前回:60.27億豪ドル、市場予想:63.28億豪ドル、結果:57.73億豪ドル
7月9日
9時30分、7月消費者信頼感指数(前月比)、前回:1.7%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、強い円安豪ドル高のトレンドが続くと考える。豪経済を背景とした追加利上げ観測が強まっている一方、円が主要通貨に対して全面安となっていることが要因である。
4月24日に発表された3月CPI以降、CPIの強さが目立っているなか、6月小売売上高の高い伸びを受けて、市場では31日に発表される第2四半期(4−6月)のCPI上振れの可能性がより強まっている。8月6日に開催されるRBA理事会での追加利上げ実施の流れは着々とできあがっている。仮に8月ではなく11月利上げという流れになったとしても、主要先進国では唯一追加利上げの可能性が高まっていることから豪ドルが主要通貨に対して強い状況は続くだろう。
一方、懸念材料として挙げておきたいのは、経済的なつながりが強い中国経済の回復鈍化傾向だ。 10日に発表される6月消費者物価指数と生産者物価指数、12日に発表される 6月貿易統計は意識しておきたい。 特に貿易統計に関しては、5月の輸出は前年比+7.6と好調だったことで、内需に対する懸念が高まる中で、輸出の高い伸びが維持できるかどうかが注目されよう。
月足チャートでは、20年3月安値59円87銭をボトムとした上昇のなか、14年高値102円89銭を上回っており、1991年以来の108円台まで上昇した。投機筋による円売りポジション構築も円安豪ドル高の原動力にあると推測する。
足元、米ドルが161円台に乗せていることから、日本当局による円買い米ドル売り介入への警戒感は強い。仮に円買いドル売り介入があった際、4月から5月にかけて日本当局が行った為替介入と同様の急落(4月29日高値104円91銭から5月1日安値100円03銭)となる可能性は意識したい。もっとも、「為替介入は時間稼ぎ」との見方は強いことから、急落局面は豪ドルの拾い処と考えるのも手である。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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