トルコリラ円見通し 史上最安値更新後はドル円の反発を追って戻す
〇トルコリラ円、12/14昼過ぎドル円が141円を割り込んだ局面で、4.86まで史上最安値を更新
〇その後持ち直し、12/15午前序盤はドル円を追いかけて4.91近辺へ戻す、大幅下落一服で買い戻し
〇対ドル、12/14は概ね29.05から28.77の取引レンジ、終値ベースでは前日に続いて最安値更新
〇12/21のトルコ中銀MPC、利上げ幅に注目集まる
〇外貨準備高は増加傾向続く
〇4.88を上回るうちは上向きとし、4.93前後では売られやすいとみる
〇4.88割れからは下向きとし、4.86割れからは4.83前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の12月14日は概ね4.94円から4.86円の取引レンジ、15日早朝の終値は4.89円で前日終値の4.92円からは0.03円の円高リラ安だった。
米FOMCが政策金利を3会合連続で据え置いた上で2024年の利下げ予想回数を9月時点の2回から3回へ増やし、パウエルFRB議長が利下げについて議論したと述べたことで来年早期の利下げ期待が高まり為替市場はドル全面安となり、ドル円はFOMC声明発表前の145円台序盤から急落して14日早朝に142円を試し、14日昼過ぎには140.99円を付けて12月8日未明安値141.67円を割り込んで11月13日夜高値151.90円以降の最安値を更新した。その後は大幅下落に対する売られ過ぎ警戒感から下げ渋っていたが、15日午前には142円台序盤へ戻している。
トルコリラ円はドル円の急落を追いかけてFOMC前の4.99円台から14日早朝に4.91円へ急落、14日昼過ぎにドル円が141円を割り込んだ局面で4.86円まで史上最安値を更新したが、その後はドル円の下げ渋りを見て持ち直し、15日午前序盤はドル円を追いかけて4.91円近辺へ戻している。
トルコリラ円はドル円とともにひとまず大幅下落一服で買い戻しが入っているところだ。今週は米CPIからFOMC、昨夜の英中銀金融政策委員会及びECB理事会と重要イベントが続いたが、それらを通過したことで当面のドル売り円買い材料への一巡感も出やすいところであり、週末のポジション調整で戻してもよいところと思われるが、ドルストレートにおけるドル安基調、クロス円の円高基調はまだ継続するのではないかと思われる。
【対ドルでは12月11日以降の下げ渋り続く】
ドル/トルコリラの12月14日は概ね29.05リラから28.77リラの取引レンジ、15日早朝の終値は28.97リラで前日終値の28.95リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとして当日安値27.27リラから25.02リラへ急伸したものの、翌日からドル高リラ安が再開し、9月22日から史上最安値を繰り返し更新してきた。12月に入ってからはドル高リラ安の加速度が鈍化しているものの、12月11日には取引時間中の史上最安値を29.10リラへ切り下げ、終値ベースは12月13日に28.95リラへ最安値を更新した。
12月14日早朝の米FOMCが来年の利下げ期待を助長してパウエルFRB議長が利下げを議論したと述べたことでドルストレートではドル全面安となり、14日夜には英中銀が政策金利を据え置いたものの引き締め状態の継続を強調し、ECBも政策金利を据え置いたが利下げの議論はしてないとしてタカ派姿勢を堅持したため、ポンドとユーロが急伸するなどドル安が継続した。しかしトルコリラへの影響は限定的であり、14日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値ベースでは13日に続いて最安値を更新しており、ドル高リラ安基調は健在だ。
【来週はトルコ中銀の利上げ幅に注目】
トルコ中銀は12月21日にMPC(金融政策委員会)を開催して政策金利を発表する。トルコ中銀はエルドアン大統領三選後に就任したエルカン総裁体制となった6月以降6会合連続で政策金利を引き上げ、就任前の8.5%から11月会合では40.0%まで引き上げてきた。それでも11月のトルコCPI(消費者物価指数)は全体の前年比が61.98%、コア指数で69.9%であり高金利にもかかわらず実質マイナス金利状態に陥ったままとなっている。
12月21日の会合では政策金利を2.5%追加利上げして42.5%とすることで市場の予想はほぼ一致している。12月のインフレ率が顕著に鈍化すれば実質マイナス金利幅も縮小するが、インフレが鎮静化しなければさらなる利上げ催促でリラ安が加速しかねないところだ。
【外貨準備高は増加】
12月14日夜に発表された週次の外貨準備高は12月8日時点のグロスで945.1億ドルとなり12月1日時点の932.3億ドルから増加し、今年5月後半に565.2億ドルまで減少したところから順調に回復している。
ネットでは381.5億ドルとなり12月1日時点の347.8億ドルから増加して、6月序盤にマイナス57億ドルまで減少したところからの挽回を継続している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月8日未明安値をサイクルボトムとして11日午前から13日午前にかけての間への上昇を想定していたが、12日午前時点ではすでにサイクルトップを付けた可能性があるとして5.00円割れからは弱気サイクル入りとし、12日夜に5.00円を割り込んだために12日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日午前から15日未明にかけての間への下落を想定した。
12月14日昼過ぎへ一段安してから戻しているため、14日昼過ぎ安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして15日午前から19日未明にかけての間への上昇を想定する。ただし、戻りは短命の可能性もあると注意し、14日昼過ぎ安値4.86円割れからは新たな弱気サイクル入りとして19日昼から21日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では12月15日午前への反発で遅行スパンが好転しつつあるため、遅行スパン好転からは高値試し優先とする。先行スパンが上値抵抗帯となりやすいと注意し、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は14日昼過ぎの10ポイント台から50ポイント超えへ戻しているため、40ポイント以上を維持するうちは60ポイント台中盤への上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開として20ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.86円を下値支持線、4.93円を上値抵抗線とする。
(2)4.88円を上回るうちは上向きとし、4.93円前後では売られやすいとみるが、円安が勢い付く場合には4.95円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)4.88円割れからは下向きとし、4.86円割れからは4.83円前後への下落を想定する。円高が再び強まる場合は4.80円前後へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
12月15日
17:00 11月 財政収支 (10月 -954.6億リラ)
12月20日
16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 75.5)
13:30 11月 中央政府債務残 (10月 6兆2770億リラ)
12月21日
20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 政策金利 (現行 40.0% 予想 42.5%)
20:30 週次 外貨準備高 12月15日時点 グロス (12月8日時点 945.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12月15日時点 ネット (12月8日時点 381.5億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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