ドル円見通し 大幅下落一服、141円割れを買われて戻りを試すが円高基調は継続か(23/12/15)

14日昼過ぎには140.99円を付けて12月8日未明安値141.67円を割り込み11月13日夜高値151.90円以降の最安値を更新した。

ドル円見通し 大幅下落一服、141円割れを買われて戻りを試すが円高基調は継続か(23/12/15)

ドル円見通し 大幅下落一服、141円割れを買われて戻りを試すが円高基調は継続か

〇ドル円、12/14昼過ぎ140.99を付け、12/8安値141.67を割り込み11/13高値151.90以降の最安値更新
〇大幅下落に対する一服感もありその後は下げ渋りの様相、12/14夜と12/15朝は142円を超え戻りを試す
〇英中銀とECBは政策金利据え置きを決定、引き締め姿勢継続を示す
〇米長期債利回りは大幅低下続く、NYダウは6営業日続伸で前日に続き史上最高値を更新
〇141.50を上回るうちは戻りを試すとみて、142.50超えからは143円前後への上昇を想定する
〇141.50割れからは12/14昼過ぎ安値140.99試しとし、底割れからは140円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は12月14日早朝の米FOMCが市場予想通りに政策金利据え置きを決定し、参加者の政策金利予想中央値において来年の利下げ予想回数を9月時点の2回から3回へ引き上げたことと、パウエルFRB議長が会見で利下げ時期について議論したとハト派姿勢を強調したことにより声明発表前の145円台序盤から143円割れへ急落し、14日昼過ぎには140.99円を付けて12月8日未明安値141.67円を割り込み11月13日夜高値151.90円以降の最安値を更新した。
12月14日夜には英中銀が政策金利を据え置いたものの委員の複数が利上げを主張するなど引き締め姿勢が続くことを示したためにポンドが急伸し、ECB(欧州中銀)も政策金利を据え置いた上で利下げの議論はないと利上げ状態の長期化を示唆したためにユーロも急伸した。米長期債利回りの低下も続いてドル全面安となったが、ドル円は大幅下落に対する一服感もあり14日昼過ぎ安値の後は下げ渋りの様相で14日夜と15日朝は142円を超えて戻りを試している。

12月14日夜の米経済指標に対する市場の反応はFOMC後の影響もあり鈍かった。
11月の米小売売上高は前月比0.3%増で市場予想の0.1%減を大幅に上回り10月のマイナスからプラスへ転じたが、10月は0.2%減に下方修正された。
米労働省による新規失業保険申請件数は12月9日までの週間で前週比1万9000件減の20万2000件となり3週ぶりに改善し、失業保険受給者総数は12月2日までの週間で187万6000人となり前週から2万人増加した。

【英中銀とECBは引き締め姿勢を継続】

英中銀は12月14日に政策金利を3会合連続で5.25%に据え置いたが、委員9人のうち据え置き賛成が6人で0.25%利上げを主張したものが3人いた。声明では「引き続き、金融政策は長期にわたって引き締め的にする必要がありそうだと判断した」として早期利下げ期待をけん制し、ベイリー英中銀総裁はハント財務相宛て公開書簡において「まだ先がある。データを注視し、インフレ率が目標の2%まで完全に戻るよう十分な期間にわたり高金利を維持する」と強調した。
ECB(欧州中銀)は14日の理事会で政策金利を2会合連続で4.75%に据え置いた。ラガルド総裁は会見で「警戒を緩めるべきかと自問したが、答えはノーだ。決して警戒を緩めるべきではない」、「利下げについては全く議論しなかった。議論も討論もなかった」と述べて利下げ期待を一蹴した。

12月14日早朝に米FRBはFOMCにおいて政策金利を3会合連続で年5.25〜5.50%に据え置き、2024年については0.25%ずつの利下げが3回行われるとの参加者見通しを示し、パウエルFRB議長は会見で「引き締め的な政策を後退させる適切な時期に関して会合参加者の個人的な見解について話し合った」として利下げの開始時期を巡って協議があったとした。
市場予想よりもハト派だった米FRBと予想よりもタカ派姿勢を堅持していた英中銀とECBのスタンスの差がポンドとユーロの一段高を招いた印象だ。

【米長期債利回りは大幅低下続き、ダウは史上最高値を連日更新】

米FOMCが来年前半の利下げ期待を強めたことで米長期債利回りは12月13日に大幅低下したが14日もさらに低下を続けた。
長期金利指標の10年債利回りは12月13日の前日比0.18%低下に続いて14日は前日比0.10%低下して3.92%となった。4%割れは7月以来の低水準であり、一時は3.89%をつけて10月23日に付けた今年のピークである5.02%以降の最低を更新した。
30年債利回りは12月13日に前日比0.13%低下したが14日も0.14%低下して4.04%となり、10月23日の5.18%以降の最低を更新している。
2年債利回りは12月13日に前日比0.31%低下したが、14日も0.04%低下の4.39%となった。一時は4.29%まで大幅低下して10月19日に付けた5.26%以降の最低を更新してから反発したがマイナス圏にとどまった。

一方でNYダウは前日比158.11ドル高と上昇、12月7日から6営業日続伸となり前日に続いて史上最高値を更新した。ナスダック総合指数も前日比27.60ポイント高と上昇して12月7日から6連騰とし、前日に続いて年初来高値を更新した。
株高によるリスクオン優勢の市場心理はドル円の下落にブレーキを掛けるものの、米長期債利回り低下傾向が顕著となる中、日銀による出口戦略への動きも意識されているため、ドル円は下げ渋りからやや買い戻されても再び下落しやすい状況にあるのではないかと思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月8日未明安値からの反騰が12日未明高値までで一巡して下落期に転じたとし、当面の安値形成期を14日午前から15日午前にかけて間と想定したが、12月14日昼過ぎ安値で目先の底を付けて下げ渋り、戻りを試しているところと思われる。目先の高値形成期は15日午前から19日未明にかけての間と想定されるが、先安感がぬぐえない状況のため141.50円割れからは14日昼過ぎ安値140.99円試しとし、底割れからは新たな下落期入りとして19日昼から21日昼過ぎにかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月14日昼過ぎ安値からややジリ高の推移に入ったことで遅行スパンは好転しやすい位置に来ている。遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。先行スパンの下限では戻り売りも出やすいと注意したい。

60分足の相対力指数は12月14日朝から昼過ぎへの一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられ、15日朝には50ポイントへ迫っている。50ポイント超えからは60ポイント前後への上昇を想定するが、50ポイント前後へ上昇した後に35ポイントを割り込む場合や60ポイント前後へ上昇した後に40ポイントを割り込む場合は下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.50円を下値支持線、142.50円を上値抵抗線とする。
(2)141.50円を上回るうちは戻りを試すとみて142.50円超えからは143円前後への上昇を想定する。143円以上は反落警戒とするが、142円台を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)141.50円割れからは12月14日昼過ぎ安値140.99円試しとし、底割れからは140円前後への下落を想定する。140円以下は買い戻されやすいとみるが、下げ足が速まる場合は139円台中盤へ下値目途を引き下げる。

【当面の予定】

12/15(金)
休場 南ア
11:00 (中) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 7.6%、予想 12.5%)
11:00 (中) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 4.6%、予想 5.6%)
13:30 (日) 10月 第三次産業活動指数 前月比 (9月 -1.0%、予想 0.1%)
17:30 (独) 12月 製造業PMI・速報値 (11月 42.6、予想 43.2)
17:30 (独) 12月 サービス業PMI・速報値 (11月 49.6、予想 49.8)
18:00 (欧) 12月 製造業PMI・速報値 (11月 44.2、予想 44.6)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI・速報値 (11月 48.7、予想 49.0)
18:30 (英) 12月 製造業PMI・速報値 (11月 47.2、予想 47.5)
18:30 (英) 12月 サービス業PMI・速報値 (11月 50.9、予想 51.0)
19:00 (欧) 10月 貿易収支・季調済 (9月 92億ユーロ、予想 100億ユーロ)
19:00 (欧) 10月 貿易収支・季調前 (9月 100億ユーロ)

22:30 (米) 12月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (11月 9.1、予想 2.0)
23:15 (米) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.6%、予想 0.3%)
23:15 (米) 11月 設備稼働率 (10月 78.9%、予想 79.1%)
23:45 (米) 12月 製造業PMI・速報値 (11月 49.4、予想 49.3)
23:45 (米) 12月 サービス業PMI・速報値 (11月 50.8、予想 50.6)


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