ドル円、約4カ月半ぶり安値圏へ急落。日米金利差縮小とそれに伴う円キャリートレード解消が重石(12/15朝)

14日(木)のドル円相場は冴えない動き。

ドル円、約4カ月半ぶり安値圏へ急落。日米金利差縮小とそれに伴う円キャリートレード解消が重石(12/15朝)

ドル円、約4カ月半ぶり安値圏へ急落。

〇ドル円、FOMCのハト派的な結果と米長期金利低下等に、日中安値140.97まで急落
〇売り一巡後は昨晩の米指標不冴えに142円近辺に反発
〇ユーロドル、ECB理事会のタカ派的スタンスに、米国時間午後にかけ一時1.1010まで急伸
〇ドル円7/31以来4か月ぶりの安値をつけ、200日線を完全下方ブレイク、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小とそれに伴う円キャリートレード解消の思惑等が重石
〇日銀金融政策決定会合の結果を見極めるまでは、ドル円の下落リスクが高まり易いか
〇引き続き、ドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:140.00ー143.00

海外時間のレビュー

14日(木)のドル円相場は冴えない動き。(1)アジア時間早朝に発表された米FOMCのハト派的な結果(3会合連続となる政策金利の据え置き決定+ドットチャートの来年3回の利下げ示唆+パウエルFRB議長による「本日の会合で利下げのタイミングを協議した」とのハト派的な発言)や、(2)上記1を背景とした米FRBによる早期利下げ観測の台頭(米長期金利急低下→米ドル急落)、(3)本邦20年債入札の不冴な結果(円金利上昇に伴う円買い圧力)、(4)日経平均株価の冴えない動き(4営業日ぶり反落→リスク回避の円買い圧力)、(5)12/7安値・下抜けに伴う仕掛け的なドル売り・円買いが重石となり、日本時間正午にかけて、安値140.97(7/31以来の安値圏)まで急落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)急ピッチな下落に対する反動買いや、(7)米新規失業保険申請件数(結果20.2万件、予想22.0万件)の良好な結果、(8)米11月小売売上高(結果+0.3%、予想▲0.1%)の市場予想を上回る結果、(9)米11月輸入物価指数(結果▲1.4%、予想▲2.1%)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、一時142.28まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間12/15午前5時30分現在)では、141.80前後で推移しております。

14日(木)のユーロドル相場は大幅続伸。(1)米FOMCのハト派的な結果や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)ECB理事会のタカ派的な結果(ECBは2会合連続の据え置きを決定しつつも、声明文に「it is likely to pick up again temporarily in the near term/インフレ率が再び一時的に上昇する可能性が高い」との文言を追加した他、今後の政策金利の水準と据え置きの期間についても「data-dependent approach/データ次第」とのスタンスを維持)、(4)ラガルドECB総裁による「We did not discuss rate cut at all/利下げについては全く議論しなかった」とのタカ派的な発言、(5)上記3、4を背景としたECBによる早期利下げ観測の後退が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1010(11/29以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/15午前5時30分現在)では、1.0996前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時140.97(7/31以来、4ヵ月半ぶり安値圏)まで急落するなど、冴えない動きが続いています。日足ローソク足が最後の防波堤として意識されていた200日移動平均線を完全に下方ブレイクしたことや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「21日移動平均線と90日移動平均線のデッドクロス」「弱気のバンドウォーク」が点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる利下げ観測の高まり(CMEが提供するFedWatchツールによると、来年3/20FOMCでの25bp利下げ確率は63.8%へ急上昇)や、(2)日銀による金融緩和の修正観測(米国が利下げに転じる前に、日銀が金融緩和の修正に踏み切るのではないかとの思惑)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小とそれに伴う円キャリートレード解消の思惑など、ドル円相場の更なる下落を連想させる材料が揃っています(FOMCを通過したことで市場の焦点が来週の日銀金融政策決定会合にシフト。マイナス金利解除の思惑が燻っているため、日銀金融政策決定会合の結果を見極めるまでは、ドル円の下落リスクが高まり易い)。

今晩予定されている一連の米経済指標(米12月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米11月鉱工業生産、米11月設備稼働率、米12月製造業・非製造業PMI速報値)が市場予想を下回る場合には、ドル円が心理的節目140.00を下抜ける恐れも出てくるため、当方では引き続き、ドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想いたします。

本日の予想レンジ:140.00ー143.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、約4カ月半ぶり安値圏へ急落。

ドル円日足

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