『対ドル相場は史上最安値を連日で更新。来週はトルコ中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、円安進行、トルコの経常収支改善に、週初5.30まで上昇
〇買い一巡後はドル円急落、中東情勢からの欧米諸国との関係悪化懸念等に5.19まで反落
〇トルコ円、対ドル相場が連日史上最安値更新、テクニカルの地合いも極めて弱い
〇11/23のトルコ中銀の金融政策決定会合に注目
〇引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.00ー5.35
今週のレビュー(11/13−11/17)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.26円で寄り付いた後、(1)円キャリートレードの継続期待(ドル円が年初来高値151.91まで急上昇→トルコリラ円連れ高)や、(2)株式市場の堅調推移(リスク選好ムード)、(3)トルコ9月経常収支(結果18.8億ドル黒字、予想14.0億ドル黒字)の市場予想を上回る結果、(4)ドイツ銀行による「トルコ・ソブリン債は2024年に新興国債券投資分野の中で最も推奨すべき取引の一つになる」とのポジティブ発言が支援材料となり、週明け早々に、週間高値5.30円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)イスラエル問題に端を発したトルコと欧米諸国との関係悪化懸念(エルドアン大統領は今週、イスラエルを「テロ国家」と呼ぶと共に、指導者や西側諸国による支援への批判を強調)や、(6)ドル円相場の急反落(ドル円下落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値5.19円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/18午前1時00分現在)では、5.21円前後で推移しております。尚、対ドル相場は週を通して史上最安値を更新しました。
来週の見通し(11/20−11/24)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は冴えない動きが続いています。対ドル相場が連日で史上最安値を更新し続けていることや、日足ローソク足が全てのテクニカルポイントを下抜けしていること、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が継続していること、日足のみならず4時間足や週足でも強い売りシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)イスラエル問題に端を発したトルコ・欧米諸国間との関係悪化懸念や、(2)トルコ経済を巡る先行き不透明感(直近で発表されたトルコ10月製造業PMIは好不況の分かれ目となる50を4カ月連続で下回る状態)、(3)トルコリラのマイナス実質金利の長期化懸念(トルコ中銀の利上げ幅がトルコ国内におけるインフレ加速に追い付かず)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
こうした中、来週は上記3を見極める目的で11/23に予定されているトルコ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。市場では現行の35%から40%へと500bpの追加利上げが見込まれていますが、直近で発表されたトルコ10月消費者物価指数(61.36%)や、トルコ中銀による2023年末時点のインフレ見通し(65.00%)を踏まえると、例えトルコ中銀が500bpの追加利上げに踏み切ったとしても、トルコリラのマイナス実質金利解消には程遠く、結果として市場参加者による利上げ催促の動きからトルコリラに強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ中銀会合以外にも、トルコ10月中央政府債務や、トルコ11月消費者信頼感指数などが予定されております。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.00ー5.35
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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