トルコリラ円見通し ドル円の反騰で持ち直すがドル高リラ安の継続で5.30円手前に抵抗感(23/11/16)

トルコリラ円の11月15日は5.28円から5.23円の取引レンジ、16日早朝の終値は5.27円で前日終値の5.25円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の反騰で持ち直すがドル高リラ安の継続で5.30円手前に抵抗感(23/11/16)

ドル円の反騰で持ち直すがドル高リラ安の継続で5.30円手前に抵抗感

〇昨日のトルコ円、ドル円急落を受け5.23まで下落、その後ドル円反騰で11/16未明に5.28まで切り返す
〇ドル高リラ安継続により、トルコ円は戻り高値切り下げる右肩下がりの展開
〇対ドル、11/15は概ね28.77から28.31の取引レンジ、取引時間中及び終値ベースで史上最安値を更新
〇11/15発表のトルコ10月財政赤字、前月から若干減少
〇市場は来週のトルコ中銀金融政策員会による追加利上げ幅に注目
〇40%へ引き上げでもインフレ収束のめどが立たないうちは、更なる追加利上げ催促でリラ売り続くか
〇5.25を上回るうちは上昇余地ありとし、5.28超えからは5.30前後への上昇を想定
〇5.25割れを弱気転換注意とし、5.23割れからは5.20前後を目指してゆく下落を想定

【概況】

トルコリラ円の11月15日は5.28円から5.23円の取引レンジ、16日早朝の終値は5.27円で前日終値の5.25円からは0.02円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安の進行が続くものの、10月末以降のトルコリラ円はドル円の乱高下を見ながら後を追いかけている。

ドル円は11月15日夜の米経済指標発表直後に150.05円へ下落して14日夜の米CPI鈍化によるドル全面安で付けた15日早朝安値150.13円をいったん割り込んだが、米長期債利回りの反発とドル高のぶり返しを見て16日早朝には151.42円まで切り返した。14日の米10月CPIに続いて15日の米10月PPIも予想を下回る鈍化だったことでFRBの追加利上げ観測はほぼなくなり来年の利下げ再開への期待感が強まったが、米長期債利回りは前夜の米CPI発表後に大幅低下したために15日のPPIへの反応は鈍く、米小売やNY連銀景況指数が予想を上回ったことにより低下し過ぎの反動で上昇した。NYダウが4連騰したこともありドル円はリスクオン優勢へと風向きを変えて反騰した印象だ。

トルコリラ円はドル円が11月6日から13日まで6連騰してきた流れを追いかけて11月6日午前安値5.21円から11月10日早朝高値5.32円へ上昇したが、11月14日夜の米CPI発表後にドル円が急落した流れで15日早朝安値5.23円まで大幅下落した。15日夜の米経済指標発表後は、当初にドル円が下落したために5.23円へ下げたものの15日早朝安値と同値で踏みとどまり、ドル円の反騰を見て16日未明には5.28円まで切り返した。
ドル円は市場介入への警戒感から2円前後規模の反落を繰り返し入れてきたが、円安継続期待により突っ込んだところは買い拾われている。トルコリラ円もドル円の急落時に売られつつドル円の反騰を見て持ち直すパターンを繰り返しているのだが、ドル高リラ安が続いているためにドル円のようには底上げ基調へ進めず、戻り高値を切り下げる右肩下がりの展開に留まっている。

【対ドルでは取引時間中及び終値ベースで史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの11月15日は概ね28.77リラから28.31リラの取引レンジ、16日早朝の終値は28.66リラで前日終値の28.62リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
8月24日にトルコ中銀が7.5%の大幅利上げを決定した際に25.02リラへ一時的に急伸した後は、追加利上げ催促によるドル買いリラ売りの流れが再開し、9月22日には史上最高値を更新して8月24日の急伸幅を解消、8月最終週から先週まで11週連続のドル高リラ安が続いてきた。
11月15日は14日高値28.76リラを超えて取引時間中の史上最安値を28.77リラとし、終値ベースでも前日からの下落で28.66リラまで最安値を更新している。

【財政赤字は前月から若干減少】

11月15日に発表されたトルコの10月財政収支は954.6億リラの赤字となり、赤字幅は9月の1292億リラから減少した。財政収支は歳入に左右されてプラスになる月もあるが2022年以降は変動幅が徐々に大きくなり財政基盤の悪化感と綱渡り感が強まっている。
6月に2196億リラの過去最大赤字を計上し、7月にかけての付加価値税等の増税ラッシュにより7月は485.7億リラ、8月は512.6億リラと黒字を計上したが、根本的な解決には至らずに2か月連続の赤字計上となった。
直近では貿易赤字の縮小により経常収支の改善がみられるのだが、高インフレと高金利が続く状況下では力強い成長と税収増は見込めず、中央政府の債務残高が毎月のように過去最悪を更新している。

市場の関心は来週11月23日のトルコ中銀MPC(金融政策員会)における追加利上げ幅へ向いている。エルカン総裁就任後は5会合連続で利上げを行い政策金利は8.5%から35%まで大幅に引き上げられてきたが、8月24日の7.5%利上げに際してリラが一時的に急伸したことも束の間でリラの最安値更新は続いている。市場予想はまだまとまっていないものの、5%程度の追加利上げで40%へ引き上げたとしても60%を超えるインフレ収束のめどが立たないうちはさらなる追加利上げ催促でのリラ売りが続くのではないかと懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月10日早朝と13日午後の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして11月15日午後から17日午後にかけての間への下落を想定した。
11月15日午前時点では強気転換目安を5.28円超えとしたが、15日夜に15日早朝安値と同値を付けてから反騰入りして16日未明には5.28円を付けたため、15日早朝とのダブルボトムとなる15日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして16日午後から20日午後にかけての間への上昇を想定する。
ただし、戻りは短命の可能性もあるとみて5.25円割れを弱気転換注意とし5.23円割れからは弱気サイクル入りとして20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月16日未明への反騰で遅行スパンが好転したが、先行スパンの突破には至らずにいる。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパン突破からは上昇が勢い付く可能性もあるとみるが、先行スパンからの転落状態が続く場合は下落再開に注意して遅行スパン悪化からは安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月15日早朝から夜にかけてダブル底を形成した際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられた。16日未明には60ポイント台に到達したが、その後は伸び悩みがみられるので、45ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.25円を下値支持線、5.28円を上値抵抗線とする。
(2)5.25円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.28円超えからは5.30円前後への上昇を想定する。5.30円以上は反落注意とするが、5.27円以上での推移なら17日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.25円割れを弱気転換注意とし、5.23円割れからは5.20円前後を目指してゆく下落を想定する。5.21円以下は反騰注意とするが、5.23円を割り込んだ後も5.25円以下での推移なら17日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月16日
 20:30 週次 外貨準備高 11月10日時点 グロス (11月3日時点 839.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 11月10日時点 ネット (11月3日時点 247.4億ドル)
11月17日
 16:00 11月 トルコ中銀ビジネスサーベイ(年末CPI等の予想)
11月20日
 23:30 10月 中央政府債務 (9月 6兆0700億リラ)
11月22日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 74.6)
11月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 35.0%)




注:ポイント要約は編集部

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