来週の為替相場見通し:『年初来高値更新後に反落に転じるも、日米金利差がドル円を下支え』(11/18朝)

ドル円は週初に記録した年初来高値151.91をトップに反落に転じると、週末にかけて、149.20まで急落しました。

来週の為替相場見通し:『年初来高値更新後に反落に転じるも、日米金利差がドル円を下支え』(11/18朝)

『年初来高値更新後に反落に転じるも、日米金利差がドル円を下支え』

〇ドル円、週明け初来高値151.91まで上昇するも、週末にかけ149.20まで急落149円台後半で越週
〇米10月CPI、PPI等の米指標の不冴えからの米長期金利急低下が背景
〇ユーロドル、欧州圏の経済指標の好調と米長期金利低下に週末にかけ1.09近辺まで上昇
〇ドル円下方に複数のサポートポイント控え、買いシグナルも継続点灯、地合い崩れていない
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違い、株価の堅調等がドル円をサポート
〇ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):148.50ー151.00

今週のレビュー(11/13−11/17)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初151.51で寄り付いた後、(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの継続や、(2)日経平均株価の底堅い動き、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(4)直近高値(10/31に記録した高値151.74)突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、週明け早々に、年初来高値151.91まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)昨年高値151.94を背にした戻り売り圧力や、(6)短期筋の利食い売り、(7)政府・日銀による介入警戒感、(8)米10月財政収支(結果666億ドル赤字、予想650億ドル赤字)の市場予想を上回る赤字幅拡大、(9)米10月消費者物価指数(結果+3.2%、予想+3.3%)および、米10月消費者物価コア指数(結果+4.0%、予想+4.1%)の市場予想を下回る結果、(10)米ウォールストリート・ジャーナル紙のニック・ティミラオス記者による「米10月雇用統計と米10月CPIの結果は米FRBの最後の利上げが7月であることを強く示唆している」とのハト派的な見解投稿、(11)米10月生産者物価指数(結果+1.3%、予想+1.9%)および、米10月生産者物価コア指数(結果+2.4%、予想+2.7%)の市場予想を下回る結果が重石となり、週央にかけて一時150.06まで下落しました。

その後は、(12)米10月小売売上高(結果▲0.1%、予想▲0.3%)および、米10月小売売上高・除自動車(結果+0.1%、予想▲0.1%)の市場予想を上回る結果や、(13)米11月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果+9.1、予想は▲3.0)の市場予想を上回る結果を背景に、一時151.48まで反発する場面も見られましたが、一巡後に伸び悩むと、(14)米新規失業保険申請件数(結果23.1万件、予想22.0万件)の冴えない結果や、(15)米10月設備稼働率(結果78.9%、予想79.4%)の市場予想を下回る結果、(16)米10月鉱工業生産(結果▲0.6%、予想▲0.4%)の市場予想を下回る結果、(17)米11月NAHB住宅市場指数(結果34、予想40)の市場予想を下回る結果、(18)米長期金利の急低下(米10年債利回りが週初に記録した4.69%から4.38%へと急低下)、(19)短期筋のストップSELLが重石となり、週末にかけて、週間安値149.20まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/18午前1時30分現在)では、149.62前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0684で寄り付いた後、(1)欧米金融政策の方向性の違いや、(2)欧州経済の先行き不透明感、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、週明け早々に、週間安値1.0664まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)ドイツ9月経常収支(結果281億ユーロ黒字、前回166億ユーロ黒字)の黒字幅拡大や、(5)ドイツ11月ZEW景況感指数(結果+9.8、予想+5.0)の市場予想を上回る結果、(6)米10月消費者物価指数および、米10月消費者物価コア指数の市場予想を下回る結果、(7)テクニカル的な地合いの好転(日足ローソク足が一目均衡表雲上限や200日移動平均線を上方ブレイク)、(8)中国経済指標(中国10月鉱工業生産、中国10月小売売上高)の良好な結果、(9)ユーロ圏9月貿易収支(92億ユーロ黒字、予想67億ユーロ黒字)の黒字幅拡大、(10)米10月生産者物価指数および、米10月生産者物価コア指数の市場予想を下回る結果、(11)米新規失業保険申請件数の冴えない結果、(12)米10月設備稼働率の市場予想を下回る結果、(13)米10月鉱工業生産の市場予想を下回る結果、(14)米11月NAHB住宅市場指数の市場予想を下回る結果、(15)米長期金利の急低下、(16)欧州株の堅調推移が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.0896(8/31以来の高値圏)まで急伸しました。

引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/18午前1時30分現在)では、1.0882前後で推移しております。

来週の見通し(11/20−11/24)

<ドル円相場>
ドル円は週初に記録した年初来高値151.91をトップに反落に転じると、週末にかけて、149.20まで急落しました。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイント(一目均衡表の分厚い雲が急ピッチに切り上がってくること)控え、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(足元の急落は上昇トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(今週発表された米CPI、米PPIがいずれも市場予想を下回ったことで追加利上げ観測の後退が進んでいるが、米FRB当局者は「利下げ議論は時期尚早」とのスタンスを崩さず)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(今週発表された本邦の第3四半期GDP速報値が市場予想を大幅に下回る冴えない結果となったことで、日銀による金融緩和脱却観測が後退。植田日銀総裁からも「粘り強く金融緩和を続ける」「一概に円安が経済にマイナスとはいえない」との発言あり)、

(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大に着目した円キャリートレードの継続期待→対主要通貨での円売り安心感)、(4)株式市場の堅調推移(伝統的金融市場のリスクオン再開→リスク選好の円売り継続)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は米FOMC議事要旨や、本邦10月消費者物価指数以外に目立った経済イベントが予定されておらず、また、週後半には日米祝日(勤労感謝の日と米感謝祭)が控えているため、ドル円は上下しつつも方向感を見出し辛い1週間となりそうです。

来週の予想レンジ(USDJPY):148.50ー151.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は、10/3に記録した年初来安値1.0448をボトムに反発に転じると、週後半にかけて、約2ヵ月半ぶり高値となる1.0896(8/31以来の高値圏)まで急伸しました。この間、日足ローソク足が市場参加者に注目されていた主要レジスタンスポイント(一目均衡表雲上限、90日移動平均線、200日移動平均線)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)欧州経済を巡る先行き不透明感(今週発表されたユーロ圏第3四半期GDP成長率は前年比+0.1%と冴えない結果)や、(2)ECBによる金融引き締め休止観測(ポルトガル中銀センテノ総裁は今週、「政策金利はいずれ下がる」と発言)、(3)欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買い圧力など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。この為、来週後半に予定されているユーロ圏11月消費者信頼感指数や、ユーロ圏11月製造業PMI速報値、ユーロ圏11月サービス業速報値、ドイツ11月IFO景況感指数が市場予想を下回る場合には、欧州経済の先行き懸念再燃→ECBによる利下げ観測台頭→欧米金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買いの経路で、ユーロドルに強い下押し圧力が加わるシナリオも想定されます。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロ売り・ドル買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(週前半はテクニカル主導で底堅く推移するも、週後半はファンダメンタルズ主導で反落に転じるシナリオを想定)。尚、来週は米国が感謝祭で休場(動意薄)となるものの、欧州側はレーンECB専務理事講演を皮切りに、クロアチア中銀ブイチッチ総裁、スペイン中銀デコス総裁、フランス中銀ビルロワドガロ総裁、ラガルドECB総裁、リントナー独財務相、シュナーベルECB専務理事、ポルトガル中銀センテノ総裁、エルダーソンECB専務理事、デギンドスECB副総裁、ドイツ連銀ナーゲル総裁など、ECB高官発言が相次ぎ予定されているため、ユーロドルやユーロクロスは、週を通して神経質な値動きが続きそうです。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0700−1.0975

注:ポイント要約は編集部

『年初来高値更新後に反落に転じるも、日米金利差がドル円を下支え』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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