『トルコ中銀は500bpの利上げに踏み切るも、期待に届かず失速』
〇今週のトルコ円、週後半にかけて、5.53まで上昇
〇トルコ指標の改善、イスラエルとの関係改善期待、中銀利上げ期待等がサポート
〇買い一巡後は中銀の利上げ幅(500bp)予想通りの結果に留まったこと等で5.41まで下落
〇主要テクニカルポイントが横ばい圏で推移、オシレーター系も中立継続、レンジ相場の継続示唆
〇中銀金融引き締め長期化観測を背景としたトルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.35ー5.75
今週のレビュー(9/18−9/22)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.46円で寄り付いた後、(1)トルコ7月住宅価格指数(結果+7.33%、前回+4.84%、前月比)の伸び率加速や、(2)トルコ・エルドアン大統領とイスラエル・ネタニヤフ首相の直接会談実現(両国間の対立関係改善期待)、(3)トルコ中銀による大幅利上げ観測(中東の独立系メディアによる「トルコ中銀は今週の会合で1000bpの大幅利上げに踏み切る可能性がある」との観測報道)、(4)トルコ9月消費者信頼感指数(結果71.5、前回68.0)の良好な結果が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値5.53円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)トルコ中銀による利上げ幅(500bp)が市場予想通りの結果に留まったこと(トルコ中銀は主要政策金利の1週間物レポレートを500bp引き上げることを決定→前回会合時の利上げ幅である750bpや、一部で出ていた1000bpの利上げ幅を下回ったことで、直後の反応はトルコリラ売り)や、(6)対主要通貨での円買い圧力(日本政府・中銀による介入警戒感+日銀金融政策決定会合前のポジション調整→ドル円・クロス円下落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週後半にかけて、週間安値5.41円まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(7)対主要通貨での円売り再開(日銀による大規模金融緩和の継続決定や植田日銀総裁によるハト派的な発言→ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/23午前3時20分現在)では、5.45円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(9/25−9/29)
トルコリラの対円相場は、7/18に記録した史上最安値5.09円をボトムに反発に転じると、8/24に一時5.80円まで急伸しましたが、その後は5.40ー5.60を中心とした膠着相場が続いています。主要テクニカルポイント(21日移動平均線やボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線や基準線)が横ばい圏で推移していることや、RSI・ボリンジャーバンドなどのオシレータ系インジケータで中立状態(過熱感なし)が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、レンジ相場の継続(方向感を見出しづらい時間帯の継続)が想定されます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)トルコ政府・トルコ中銀による正常化路線への転換期待(外国人投資家の信用獲得→トルコアセットへの回帰期待)や、(2)トルコ中銀による金融引き締め長期化観測(本年5月のエルドアン大統領再選後に就任したエルカン総裁は6月以降計4回の会合で合計2150bpの利上げを決定。
エルドアン大統領もトルコ中銀による金融引き締め政策を容認)、(3)円キャリートレード継続に伴う円売り圧力(ドル円・クロス円上昇→トルコリラ円連れ高)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。今週はトルコ中銀の利上げ幅(500bp)が一部で期待されていた1000bpに届かなかったことで、会合後にトルコリラ売りが活発化する展開となりましたが、声明文には、「金融引き締めはインフレ見通しの大幅な改善が達成されるまで、タイムリーかつ段階的に必要に応じてさらに強化される」と追加利上げを示唆する見解が示されているため、当方では引き続き、金利先高観を背景としたトルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ9月設備稼働率や、トルコ8月貿易収支に注目が集まりそうです。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.35ー5.75
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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