『金・プラチナ価格の急落とそれに伴う南アフリカの交易条件悪化懸念が重石』
今週のレビュー(9/4−9/8)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.76円で寄り付いた後、早々に週間高値7.79円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)金・プラチナ価格の大幅下落(金価格は8/25以来の安値圏へ急落、プラチナ価格は8/18以来の安値圏へ急落)や、(2)上記1を背景とした南アフリカの交易条件悪化懸念、(3)国営電力会社エスコムによる過去最大規模の停電実施(電力負荷制限をステージ6へ引き上げ)が重石となり、週央にかけて、週間安値7.61円まで下落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(3)南ア8月スタンダード銀行PMI(結果51.0、前回48.2)の良好な結果や、(4)南アフリカの4ー6月期GDP(結果+1.6%、予想+1.2%)の市場予想を上回る結果、(5)南ア7ー9月期BER企業信頼感指数(結果+33、予想+30)の市場予想を上回る結果、(6)南ア4ー6月期経常収支(結果1610億ZAR赤字、予想1730億ZAR赤字)の赤字幅の予想比縮小、(7)南ア7ー9月期消費者信頼感(結果▲16、前回▲25)の前回比改善が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/9午前3時10分現在)では、7.73円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(9/11−9/15)
南アランドの対円相場は、8/29に記録した高値7.95円をトップに反落に転じると、今週は一時7.61円まで下落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点においても7.73円前後での推移が続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)を下抜けしたことや、6/19高値・7/31高値・8/29高値を起点としたトリプルトップが意識されていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、リスクはダウンサイドと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)中国経済の先行き不透明感(中国と経済的な結び付きの強い南アフリカ経済の下振れ要因)や、(2)米FRBによる金融引き締め長期化観測(南アフリカから米国への資金流出圧力)、(3)金・プラチナ価格の急反落(南アフリカの交易条件悪化懸念)、(4)南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア経済指標は良好な数字が相次ぎましたが先行きは依然不透明。国営電力会社エスコムによる過去最大規模の停電再開や、9/6付けで実施された南アフリカのガソリン価格・ディーゼル価格の引き上げも懸念要因)など、南アランド円相場の悪材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は中国の主要経済指標(中国8月消費者物価指数、生産者物価指数、新築住宅販売価格、鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資)や、南ア7月製造業生産高に注目が集まります。特に中国の経済指標が市場予想を下回る結果となれば、「中国経済の先行き不透明感増大→同国への依存度が大きい南アフリカ経済の下振れ懸念再燃」の経路で、南アランド円相場に強い下押し圧力が加わるシナリオも想定されるため、来週は南アランド円相場のダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.55ー7.85
南アフリカランド円日足
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