ユーロドルは横方向でもみあい
〇先週のユーロドル、欧州金融機関に対する経営不安後退で週初からユーロが買われる
〇金曜東京で週間高値つけるも、月末実需のユーロ売りと四半期末前の利食い売りで売りが目立っての引け
〇今週は、OPECプラス減産発表で米金利上昇の思惑からドル買い・ユーロ売りでのスタート
〇今週金曜、欧米各国イースター休暇入りで取引控えられやすく、米雇用統計が予想から外れた場合は注意
〇今週は1.0700レベルをサポート、1.0900レベルをレジスタンスとする週と見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは欧州の金融機関に対する経営不安がいったん遠のいたこともあって週初からユーロが対ドル、対円ともに買われる流れが続きました。金曜東京市場に週間高値をつけましたが、月末の実需がユーロ売りであったことと、四半期末前の利食い売りも入ったことで金曜は売りが目立っての引けとなりました。
金融機関関連の材料も一巡したことで次の材料待ちという流れですが、今週は週末にOPECプラスが唐突に減産を発表したことによる原油高、そこからインフレ減速ペースが落ちることで米金利上昇という思惑からドル買い・ユーロ売りでのスタートとなりました。ただ米国以上に欧州のインフレは高水準であることを考えると、ECBの引き締め継続という話も出てくるでしょうから、必ずしもドル買い材料とばかりは言えないと思います。
またOPECの減産がどこまで原油価格を押し上げるのかという点ですが、ドル円の週報にも書いたように景気後退リスクがある中で原油の需要が現在よりも減っていく可能性もあるわけですから、原油価格が切り返して上昇に転じるかとなると、こちらも疑問が残ります。
OPECが昨年12月に日量200万バレル減産を決めた後も原油価格はまったく上がりませんでしたし、今回の減産量合計115万バレルはOPECプラスに含まれない国も含めた全世界の産油量約9000万バレル(日量)から考えたら1%強にしかなりません。米国など数か国が増産すればこの程度の減産は十分にカバーできると考えられます。
話がやや逸れましたが、あまり、週末のニュースに踊らされない方がよいかもしれないということです。そして、今週は金曜から欧米主要国ではイースター休暇入りとなりますので、積極的な取引は引き続き手控えられやすいと言えます。ただ、米国雇用統計はスケジュール通りに発表されますので、流動性がクリスマス並みに低下している中で予想から外れた数字が出た時には注意です。
次にテクニカルですが、日足チャートをご覧ください。
ユーロドルは3本の平行線の真ん中のラインがレジスタンスとして効いています。また2月高値と3月安値の78.6%(61.8%の平方根)戻し1.0923も依然としてレジスタンスとして効いていることから、現状も1.09ではユーロ売りが出てくると言えそうです。
いっぽう下値は3月前半の高値圏1.07台半ばが最初のサポートとなり、1.07割れには買いが待っていると言えます。今週は1.0700レベルをサポートに1.0900レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週は本文中でも原油の話が多かったので、本来ならば別原稿で扱うべきテーマですが、原油のチャートを見ておきたいと思います。日足チャートです。
こうして見ると12月の減産以降も上がらないこと、83ドル水準(黄色のラインマーカー)が強いレジスタンスとなっていることがわかります。今回も83ドル台に乗せない限り簡単には上昇に転じることは無いと見ています。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
4月3日(月)
16:50 フランス3月製造業PMI
16:55 ドイツ3月製造業PMI
17:00 ユーロ圏3月製造業PMI
17:30 英国3月製造業PMI
4月4日(火)
15:00 ドイツ2月貿易収支
18:00 ユーロ圏2月PPI ☆
4月5日(水)
15:00 ドイツ2月製造業新規受注
15:45 フランス2月鉱工業生産
16:00 フランス3月サービス業PMI
16:55 ドイツ3月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏3月サービス業PMI
17:30 英国3月サービス業PMI
4月6日(木)
15:00 ドイツ2月鉱工業生産
17:30 英国3月建設業PMI
4月7日(金)
**:** グッドフライデー(東京を除く主要市場休場)☆
15:45 フランス2月貿易収支
21:30 米国3月雇用統計 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時―NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
3月27日(月)
ユーロドルも市場が落ち着いてきたことからじり高の動きが続きましたが、レンジは1日通して55pipsに留まり特に材料がない中で積極的な取引が手控えられていた週初となりました。
3月28日(火)
ユーロドルは前日同様じり高の動きを続けましたが、値幅も前日同様に54pipsにとどまり四半期末を控えていることもあって、積極的な取引は手控えられていた様子でした。
3月29日(水)
ユーロドルは横ばいの動きが続きました。ドル買い(ユーロ売り)の動きと欧州の金融機関に対する不安が落ち着いていることによるユーロ買いとが相殺した動きですが、期末前で積極的な取引が手控えられている状況も続いていました。月末を前にしたロンドンフィキシング等の実需も警戒されていました。
3月30日(木)
ユーロドルは欧州市場に入り発表されたドイツのCPI速報値予想よりも高く、ECBの引き締め継続思惑からユーロ買いの動きが強まりました。ユーロドルは1.0926レベル、ユーロ円も145.08レベルの高値をつけ強い地合いでの引けとなりました。
3月31日(金)
ユーロドルは終日ユーロ売りの動きが続きました。前日の上げに対する調整と月末実需によるユーロ売りが重なったことで1.0837レベルへと水準を切り下げ安値圏での引け。ユーロ円も143.88レベルへと押して安値圏で引けました。
ディスクレーマー
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