トルコリラ週報:『約3ヵ月半ぶり高値圏へ上伸も上値は重い。反落リスクに要警戒』(4/23朝)

トルコリラの対円相場は3/11に記録した約2ヵ月半ぶり安値7.76円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、1/4以来、約3ヵ月半ぶり高値となる8.85円まで急伸しました。

トルコリラ週報:『約3ヵ月半ぶり高値圏へ上伸も上値は重い。反落リスクに要警戒』(4/23朝)

『約3ヵ月半ぶり高値圏へ上伸も上値は重い。反落リスクに要警戒』

〇今週のトルコ円、輸出業者の外貨売却比率の引き上げ、円独歩安に週央にかけ8.85まで上昇
〇その後は米長期金利の上昇、消費者信頼感の悪化等に週末にかけては8.71レベルに反落
〇トルコ円、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつある
〇一方ファンダメンタルズはトルコリラ円相場の下落を連想させる材料多い
〇引き続き、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):8.50ー8.90

今週のレビュー(4/18−4/22)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.63円で寄り付いた後、@トルコ当局が輸出業者に義務付けている外貨収入の売却比率を25%から40%に引き上げたことや、A対主要通貨での円売り圧力が強まったことなどが支援材料となり、週央にかけて、1/4以来、約3ヵ月半ぶり高値となる8.85円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、B円ショートの巻き戻し(ドル円反落→トルコリラ円反落)や、C米FRBによるタカ派傾斜観測(パウエルFRB議長が5月FOMCでの50bp利上げの可能性を示唆→米長期金利上昇→新興国から米国への資金流出懸念)、D実質金利低下に伴うリラ売り圧力、Eトルコ4月消費者信頼感指数(結果67.3、前回72.5)の予想外の急低下(リラ暴落に見舞われていた昨年12月の水準を下回る結果)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/23午前4時45分現在)では8.71円前後まで値を崩す展開となっております。

来週の見通し(4/25−4/29)

トルコリラの対円相場は3/11に記録した約2ヵ月半ぶり安値7.76円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、1/4以来、約3ヵ月半ぶり高値となる8.85円まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線を上抜けした他、一目均衡表雲上限突破を経て強い買いシグナルを示唆する三役好転も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの継続(ロシア・ウクライナの戦況悪化→両国と親密関係にあるトルコ経済への下押し圧力)や、Aトルコ中銀による独特な金融政策運営(トルコ中銀はCPIが約20年ぶり高水準に達しているにも係わらず、エルドアン大統領の圧力のもと、政策金利引き上げの選択肢を取れず)、B上記Aを背景としたトルコリラの実質金利急低下、C米FRBによるタカ派傾斜観測(米当局者による相次ぐタカ派発言→米FOMCでの連続大幅利上げ観測および早期バランスシート縮小観測→米長期金急上昇→過剰流動性相場逆流リスク→トルコから米国への資金流出懸念)、

Dエルドアン大統領の求心力低下など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。足元は強引な資本政策を通じてトルコリラの下落を辛うじて止めてはいるものの、こうした措置の長期化は難しく、最終的には副作用を伴いながらリラ急落に繋がる危険性を孕んでいます(事実、トルコ中銀は4/18にリラ建ての所要準備金に適用される金利をゼロ%へ引き下げた他、個人が外貨からリラに交換した金額に対する追加利払いの慣行を廃止するなど、リラ下支え措置の部分解除を発表しました)。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ4月製造業景況感指数や、トルコ4月設備稼働率、トルコ4月経済信頼感指数、トルコ中銀による予想インフレ率発表、トルコ3月貿易収支、トルコ4月イスタンブール製造業PMIなど、複数のトルコ経済指標に注目が集まります。

来週の予想レンジ(TRYJPY):8.50ー8.90

注:ポイント要約は編集部

『約3ヵ月半ぶり高値圏へ上伸も上値は重い。反落リスクに要警戒』

トルコ円日足

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