イベント経過でユーロ安に動きやすい
〇先週のユーロ、ECBのテーパリング思惑見極める週となり狭い値幅の一週間
〇PEPP購入額縮小発表後はユーロ買いとなるも、ハト派的な発言続きユーロ売りへと転じる
〇今週は米国CPIとエコノミストであるレーンECB理事の講演が注目材料
〇米国のテーパリングが先で欧州が後ならしばらくはユーロドルの上値が重くなりやすい
〇今週は1.1750レベルをサポートに、1.1850レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、9月に入り急速に高まったECBのテーパリング思惑が実際にはどうなのかを見極める週となりました。結果はPEPP(緊急購入プログラム)の購入額を縮小したことで、発表後はユーロ買いで動きました。しかし、ラガルドECB総裁会見ではあくまでも緊急時の枠を微調整したのみでテーパリングでは無いこと、平時の購入枠については12月理事会で検討することなどハト派的な発言が続いたことでユーロ売りへと転じました。もっとも、為替市場の動きは限定的で、イベントも含めて一日の値幅は36pipsに留まりNYが休場となった月曜に次いで狭い値幅でした。
これでECBのイベントが終わり次は来週のFOMCへと注目材料が移ることとなりますが、米国FOMCでも9月テーパリング決定思惑があり、ユーロドルでは比較的米金利の動きに素直に反応しながらも、その結果によって株式市場が上下するとユーロ円はその動きに追随する部分もあり、結果としては動きが出にくいという先週のようなパターンを繰り返す可能性があります。
今週は月の中旬で特段重要な経済指標も無く、注目材料としてはFOMCへの思惑につながる米国CPI、そしてエコノミストであるレーンECB理事講演と週前半に注目材料が集まります。先週のECB理事会ではラガルド総裁会見がハト派的と判断する材料となりましたが、8月にレーン理事がそれまでのハト派から若干タカ派気味の発言をしたことが先週の理事会に向けてのテーパリング思惑を形成したきっかけとなったことを考えると、理事会後最初のレーン理事の発言は注目されるでしょう。
ただラガルド総裁が平時のテーパリングについては12月理事会で検討することを示したことや、米国は早くて9月、遅くて11月のテーパリングという時間枠に収まるであろうことを考えると、結局米国のテーパリングが先で欧州が後という以前の見通し通りに方向性が決まってくるでしょうから、しばらくはユーロドルの上値が重くなりやすいというイメージです。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
ユーロドルは5月高値と8月安値の38.2%戻しと重なる1.19水準(黄色のラインマーカー)で上値を抑えられる展開が続いています。また7月以降の下側のライン(青)と組み合わせると拡散型ウェッジのもみあいとなっていて、読みが難しいチャートパターンです。
ただ、すでに書いた通り上値が重くなり安いと考えると下値の目途を考えておく方がよいでしょう。すると8月安値と9月高値の61.8%押しが1.1757となっていて1.17台半ばはいったん買いが出やすい水準と言えそうです。上値は1.19には距離がありますし、最近の週間レンジはそれほど大きくはないことから1.18台半ばで考えています。
今週は1.1750レベルをサポートに、1.1850レベルをレジスタンスとする流れを見ておこうと思います。
今週のコラム
今週は米国CPIが明日発表され、その数字次第で米金利や米国株に動きが出て為替市場への影響については、それぞれが組み合わさっての動きになりそうですが、米金利は比較的落ちついた動きではあるもののNYダウの動きを見ているとやや不穏な動きとなっています。
以下のチャートはNYダウ現物に20週移動平均を表示したものですが、先週の終値の位置が20週移動平均を下回っているため、今週も下回ると下げ相場への転換も考えなくてはなりません。
米国株が下げる方向は米国でのテーパリング思惑の高まりがきっかけになるであろうことを考えると9月FOMCは株式市場にとって最も影響が大きそうな感じがします。
仮にテーパリング思惑が高まり米国株安となるとユーロ円がリードするユーロ安という可能性もありますので、本文に書いたメインシナリオと矛盾することも無さそうですし、いずれにしてもユーロは下げやすい方向にあるのかもしれません。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
9月13日(月)
(特になし)
9月14日(火)
15:00 英国8月失業率
21:30 米国8月CPI ☆
9月15日(水)
15:00 英国8月CPI ☆
15:45 フランス8月CPI
18:00 ユーロ圏7月鉱工業生産
24:00 レーンECB理事講演 ☆
9月16日(木)
17:00 フィンランド中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏7月貿易収支
9月17日(金)
15:00 英国8月小売売上高
17:00 ユーロ圏7月経常収支
18:00 ユーロ圏8月建設支出
18:00 ユーロ圏8月CPI
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月6日(月)
ユーロドルはドル円の日経平均連動のドルの動きに追随し、東京市場から欧州市場序盤まではユーロがじり安、その後若干の買い戻しが入りました。ユーロ円はほとんど動かず誤差程度の水平相場、レンジはユーロドルが30pips、ユーロ円は28銭とNY市場が休場ということもあって動意薄の一日でした。
9月7日(火)
ユーロドルは基本的に米金利の動きに沿って金利上昇によるドル買いからユーロの下げが先行しました、しかし、ユーロ円の買いも見られたことからドル円のドルの動きよりも小さめな動きに留まっていました。
9月8日(水)
ユーロドルは東京市場ではドル買いユーロ安が目立っていましたが、欧州市場に入りダウが下げるとユーロ円の売りが強まったこともあってユーロ売りの流れを継続しました。ECB理事会を翌日に控えての短期筋の利食い売りが出ていることもあってNY前場には1.1802レベルの安値をつけ、若干戻しての引けとなりました。
9月9日(木)
ユーロドルはECB理事会を前にして東京市場ではドル円とともにユーロ円の売りと緩和縮小思惑によるユーロ買いとが拮抗、その後欧州市場に入りユーロ買いが徐々に勝っての理事会待ちとなりました。理事会の結果はPEPPの買入規模を縮小と発表され、直後は1.1841レベルの高値をつけましたが、ラガルド総裁会見でテーパリングではなく微調整であり次の動きは議論していないとPEPPの調整のみにとどまることを示したことで反落、1.1805レベルの日中安値をつけた後に1日のレンジの中間での引けとなりました。
9月10日(金)
ユーロドルは東京市場では動意薄、欧州市場序盤にユーロドルにストップオーダーを巻き込んだ買いが入ったものの1.1850越えでは売りオーダーも見られすぐに下の水準へと押しました。海外市場ではNY市場に入り発表された米国PPIが予想よりも強かったことからユーロドルでのドル買いとなり、1.1808レベルまで水準を下げ安値引けの週末となりました。
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