米大統領選めぐる動き注視、波乱もあるか!?(週報10月第2週)

先週のドル/円相場は、わずかにドル高。一時9月11日以来となる106円台を回復する局面も見られたが、ドル高傾向は続かなかった。

米大統領選めぐる動き注視、波乱もあるか!?(週報10月第2週)

米大統領選めぐる動き注視、波乱もあるか!?

〇先週のドル円、106.11まで値を上げるも106円台を維持できず105.60前後で越週
〇トランプ氏、コロナ治療過程を終えテレビ演説や選挙集会を再開する見込み
〇トランプ氏とバイデン氏による第2回討論会は中止に
〇米大統領選の行方や英国とEUの通商協議にも警戒
〇今週のドル/円予想レンジ104.50-106.70

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、わずかにドル高。一時9月11日以来となる106円台を回復する局面も見られたが、ドル高傾向は続かなかった。

前週末は、「新型コロナに感染」したトランプ米大統領の症状をめぐり情報が錯綜。市場筋も気を揉む格好となった。一方、週末2日まで実施されていた通商協議がまとまらなかったEUと英国は3日、ジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長が電話会談を行い、「交渉継続で一致」したことを明らかにしている。
そうした状況を踏まえた週明けのドル/円は105.20-25円で取引開始。そして、その寄り付きレベルが週間を通したドルの週間最安値となり、以降ドルは小じっかり。一時は106円台を回復、106.11円まで値を上げている。しかし、ドル高傾向は続かず、週末にかけては軟落。106円台を維持できず、週末NYは105.60円前後で取引を終え、越週となった。
なお、そうしたなか先週はトルコリラが再び軟調裡。隣国アゼルバイジャンとアルメニアによる戦闘の継続が嫌気されていた感を否めない。対円、ドルともにリラの史上最安値を更新する局面も観測されている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「トランプ氏の容体」と「米大統領選をめぐる動き」について。
前者は、前週末には、重症患者が使用する「ステロイド薬デキサメタゾンが投与された」といった報道などが観測され、それが週明け月曜日のドル安・円高スタートに繋がっていた。しかし、専属医が「5日にも退院できる」と発言。そして実際には日本時間の6日午前7時半ごろに退院が実現したことで、一時蔓延していた悲観論は大きく後退した感がある。また、退院したとはいえ、治療そのものはしばらく継続したが、週末にかけ、医師団は「コロナの治療過程を終えた」としたうえで、「週末10日から公的なイベントに参加できる」と回答。そうした状況を受け、トランプ氏は日本時間12日午前にテレビ演説を実施するほか、見合わせていた選挙集会も12日から再開する見込みとされている。

対して後者は、残り日程が1ヵ月を切るなか、トランプ米大統領が新型コロナに感染したことで、様々な予定が流動的になっている。「米副大統領候補による公開討論会」こそ、日本時間8日午前と事前予定通りに行われたものの、15日に予定されていた「トランプ氏とバイデン氏による第2回討論会」は事務局がリモートで行うと発表。しかし、これをトランプ氏が「リモートなら参加しない」などと拒否したことで、この週末、正式に実施の中止が発表されている。そのため、支持率などで劣勢とされるトランプ氏、支持率アップのチャンスをみずから潰してしまった−−などとする指摘も聞かれていた。

<< 今週の見通し >>

「トランプ氏の容体」や「追加経済救済策交渉」などを含めた、「米大統領選の行方」が今週も金融市場の波乱要因となりそうだ。ちなみに、後者については、「トランプ大統領が追加経済救済策の交渉を選挙後まで延期するよう指示」との報道があったものの、のちに事実上撤回。実際、ムニューシン財務長官とペロシ下院議長が協議を再開したとの報道も観測されていた。進展度合いについて、引き続き要注意だ。

材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「米大統領選」、「コロナに感染したトランプ氏の容体」、「ベラルーシ情勢」、「毒殺未遂事件を中心としたロシア情勢」など注目要因は依然として目白押し。そのなかでも、とくに注意を要するのは前述した「米大統領選の行方」と、それに付随する幾つかの「米国ファクター」だろう。また、それとともに警戒されているのは15日に交渉期限を迎える「英国とEUの通商協議」になる。先週末、EU大統領は「合意には英国の大きな前進が必要」と発言していたが、果たして駆け込み的な妥結はあるのだろうか?

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は形成していたレンジを一時上抜けたものの、週末にかけてレンジ内に回帰。まだ断定するには早いが、かつてのレンジを上方向に若干拡大させただけに過ぎないのかもしれない。少なくとも、ドルの上値を積極的に買い進める地合いにはないとの指摘も聞かれていた。なお、そんなドル/円は移動平均で見てみると、7月以降おおむね90日線(週明け段階で106.30-35円)に上値を阻まれてきただけに、まずはその攻防が注視されている。

今週は、9月の消費者物価指数や小売売上高、10月のミシガン大消費者信頼感指数速報などの米経済指標が発表される予定となっている。
また、今週も引き続き米国を中心とした要人の発言機会が多いうえ、JPモルガンチェースやゴールドマンサックスなどによる決算発表、リモート形式での「G20財務相・中銀総裁会議」−−など週間を通して重要イベントも多い。波乱の可能性も!?

そんな今週のドル/円予想レンジは、104.50-106.70円。ドル高・円安については、何度かトライするも越えられなかった先週高値にあたる106.11円の攻防にまずは注目。上抜ければ移動平均の90日線、そして8月高値の107.05円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、週初段階では105.40円台に位置する移動平均の21日線が最初のサポートか。ただ、割り込んだ場合には月間安値の104.95円が再び視界内に。

米大統領選めぐる動き注視、波乱もあるか!?

ドル円日足

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