106円台を高値に下げ先行のもみあい
〇先週のドル円、水曜に106円台に乗せた後上値を抑えられる動き
〇15日の第2回TV討論会、トランプ大統領がオンライン開催に反対し中止に
〇今週もドル円はもみあい継続の可能性が高い
〇今週は105.10レベルをサポートに106.00レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通し
先週のドル円は週初は前週に続いて105.80水準の上値の重さを感じさせる流れでしたが、水曜に前週高値を上抜けるとドル売り短期筋のストップをきっかけに106円台に乗せる動きとなりました。しかし為替市場を取り囲む環境自体に大きな変化があったわけでも無く、106円台で上値を抑えられる動きが続くとこちらもまたドル買い短期筋のストップで結局は週初の水準へと押して引けた一週間でした。
前週もトランプ大統領の新型コロナ感染ヘッドライン前後の動きを除くと狭い値幅でのもみあいに終始していましたが、先週もドル円は週間レンジが63銭と冴えない動きが目立ちました。どちらかというと106円台前半の上値の重たさを感じさせる週となったため、前週に下値を固め、先週は上値も抑えと短期的には105円台でのレンジ相場を強めることになったと言えるでしょう。
今週の経済指標はそれほど重要度の高いものはありませんが、連日中銀関係者の講演があるため、何かこれまでと違ったことを言わないかどうかに注意をしておく程度です。また15日(日本時間16日10時)には第2回TV討論会が予定されていましたが、トランプ大統領が新型コロナに感染したこともあって実行委員会はオンラインでの開催に変更したところ、トランプ大統領が反対。結局第2回目のTV討論会は中止ということになっています。
最も注目度が高いイベントのひとつでしたし、前回の討論会では双方敗者という印象を与えた酷い内容でしたので、トランプ大統領が巻き返せないままにバイデン前副大統領にリードを許している状態での第2回となりそうでしたが、対面にこだわるトランプ大統領側は22日と29日への延期を要請しているため、現状ではどうなるかわかりませんが、今週は両陣営ともに独自のイベントを開く方向で動いている様子です。
今後の討論会で米国民の特に浮動票の行方が決まってくると考えられますが、トランプ大統領としては相当な苦戦が予想され、ここからの巻き返しは厳しいというのが多くの世論調査やブックメーカーなどの賭け率に表れています。金曜には民主党以上の支援金給付といった発言まで出ましたが、トランプ大統領の新型コロナ感染以降は警官による黒人に対する問題が起きた6月時点の差に近いほどリードが広がっていることから、残り3週間でこの差を縮めても逆転は困難そうです。
突然の中止となって肩透かしを喰らった感じですから、客観的に考えて今週もドル円はもみあい継続というのがもっとも可能性の高いシナリオです。テクニカルに考えてみましょう。日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
チャートを見るとわかりますが、7月高値と8月下旬の高値を結んだレジスタンスライン(ピンクの太線)が先週の高値圏でも効いていたことが確認できます。また10月高値は更新しましたので、値幅観測的には9月安値と10月高値のフィボナッチリトレースメント(青のターゲット)を考えることとなります。すると、上値はレジスタンスが位置する106.00レベルとなりますし、下値は値幅観測による半値押しとなる105.06というのがテクニカルな観点からは妥当なレンジとなります。
今週も引き続きもみあいを継続しやすいと見て、先週の上げに対する下げが入りやすく105.10レベルをサポートに106.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
10月12日(月)
**:** NY市場休場
15:00 ドイツ9月PPI
16:00 トルコ8月経常収支
16:00 トルコ7月失業率
20:00 ラガルドECB総裁講演
25:00 英中銀総裁講演
10月13日(火)
08:01 英国9月小売売上高
**:** 中国9月貿易収支
15:00 ドイツ9月CPI
15:00 英国9月失業率
16:00 トルコ8月鉱工業生産
18:00 ドイツ10月ZEW景況感指数
18:00 ユーロ圏10月ZEW景況感指数
21:30 米国9月CPI
10月14日(水)
08:30 豪州10月消費者信頼感
17:00 ラガルドECB総裁講演
18:00 ユーロ圏8月鉱工業生産
20:00 南ア8月小売売上高
21:00 レーンECB理事講演
21:30 米国9月PPI
22:00 クラリダFRB副議長講演
23:00 フランス中銀総裁講演
28:00 クオールズFRB副議長、ダラス連銀総裁講演
**:** G20
10月15日(木)
06:45 豪中銀総裁講演
09:30 豪州9月失業率
10:30 中国9月CPI・PPI
15:45 フランス9月CPI
21: 30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国10月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国10月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
21:30 米国9月輸入物価指数
22:00 英中銀副総裁講演
24:00 クオールズFRB副議長講演
24:00 週間原油在庫統計
**:** 英国が定めた対EU交渉期限
**:** EUサミット(〜16日)
10月16日(金)
06:00 ミネアポリス連銀総裁講演
10:00 米国大統領選第2回TV討論は中止
18:00 ユーロ圏8月貿易収支
18:00 ユーロ圏9月CPI
21:30 米国9月小売売上高
22:15 米国9月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感
23:00 米国8月企業在庫
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月5日(月)
週明けのドル円は日経先物が早朝から上昇する動きとともに円売りの動きが強まりました。前週末にドルを売った向きの買い戻しや仲値に向けての実需のドル買いが下支えする流れを作りその後も終日ドル買いの動きが続きました。海外市場に移ってからはユーロ円の上昇がドル円の買いにつながりNYの昼過ぎには105.79レベルの高値をつけた後に若干押して引けました。
10月6日(火)
ドル円は前日のドル買いに対する調整の1日となりましたが値幅は伴わず、105円台後半の狭いレンジの中での取引が続きました。NY後場にはトランプ大統領が追加景気対策の協議を選挙後まで中止との発言でダウが急落しましたが、ドル円の下げは105.47までと限定的な動きに留まりました。
10月7日(水)
ドル円は株高の動きとともに底堅いスタートを切りましたが、欧州市場序盤に月曜高値を上抜けると短期筋のストップオーダーも巻き込みながら106.11レベルの高値をつけました。その後は106円水準で一進一退のもみあいのまま引けました。
10月8日(木)
ドル円は106円を挟んで全く動きのない一日となりました。終日の値幅も19銭に留まり蚊帳の外の1日でした。
10月9日(金)
ドル円は朝方の株安の動きとともに円高が先行する動きで始まりました。その後はユーロドルが底堅く欧州市場に入り週間高値を更新する動きに引っ張られて全体的なドル売りの動きへと転じました。NY市場ではドル円も東京朝方の安値を割り込んだことで週末を前にしたポジション調整から105.58レベルへ押しての安値引けとなりました。
ディスクレーマー
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