もみあい上抜けるもEUサミット次第
〇ユーロドル9/25にいったん底打ち、以後英国EU協議を前に短期筋のポジション調整による買戻し継続中
〇EU側から英国が定めた15日という交渉期限は無視して月末まで交渉を継続するとの発言
〇市場参加者は見通し楽観、月末までに落としどころを見つけ臨時EUサミットで合意が市場コンセンサス
〇今週は1.1750レベルをサポートに、1.1870レベルをレジスタンスにする流れ
今週の週間見通しと予想レンジ
ユーロは9月1日に1.20の大台をつけて以降は達成感とECB関係者によるユーロ高懸念発言も重なって9月25日までは大きめの上下をしながらも下げ続け1.1612で底打ちしました。この間の値幅はちょうど400ポイントです。そして、その後は同様に大きめの上下をしながら上げ続けてきましたが、長期的にはユーロ高ポジションが続く中でいよいよ今週期限を迎える英国とEUとの協議を前に短期筋のポジション調整による買い戻しという見方でよいかと思います。
ECBは金融政策を効果的に実行するためにユーロ高に対する懸念は示しているものの、直近の水準は大台に乗せた頃に比べれば十分に低い水準と言え、一時期ほどユーロ高に対する警戒感はありません。それよりもブレグジット移行期間後の英国とEUとの間の協議が先週時点でも大きな進展が見られない中でのユーロ買いは、市場参加者は意外と楽観的に見ていることの現れにも思えます。先週はEU側から英国が定めた15日という交渉期限は無視して月末まで交渉を継続するという発言が見られました。
本来的には英国の定めた交渉期限までに事務レベルで合意の上でEUサミット2日目の16日にEUサミットで合意発表という流れが理想的でしたが、英国側が現状のままでは合意できないという姿勢を取っているため、少なくとも先週時点では平行線です。おそらくは今週16日までに決まるとも思えず、協議延長となり月末までに落としどころを見つけ臨時EUサミットで合意というのが今の市場参加者の見方であるように思えます。
そのためユーロは上昇トレンドとなってきましたし、ポンドも同様に緩やかに上昇トレンドを継続してきたと言えます。そうなると、今週の期限やEUサミットでは合意に至らず、ややユーロ、ポンドともに上値は重たくなるものの、その後の合意期待が残る限り大きくは下げないというのがメインシナリオ。逆に今月末までに合意の糸口が見えず結局は合意無き離脱と同じこととなり、ユーロ、ポンドともに値を崩すのがリスクシナリオという見方で良さそうですが、これは今週では無く来週以降に持ち越しのシナリオです。
今週は中銀関係者の発言や経済指標もありますが、重要度的にはそれほど高くありませんし、米国大統領選第2回TV討論会もトランプ陣営がオンライン開催を拒んだために中止となってしまったため、ユーロの大きな材料はEUサミットに向けての英国の動向のみと言ってもよいでしょう。ただ、上述の通りで結論が見えるのは月末まで持ち越される可能性が高いため、今週は警戒しながらももみあいとなる可能性が高いと考えています。
テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。
テクニカルには、先週引いたレジスタンスラインを上抜け、短期上昇チャンネル(ピンクの平行線)の中での動きとなっています。そして目先のターゲットとしては9月高値と9月安値の61.8%戻しとなる1.1859(青のターゲット)を目指していると考えられます。同水準は9月下旬までのもみあい水準とも重なっていますので、逆にここを明確に上抜ける動きには英国とEUとの合意が見えてくるといったニュースが必要です。
今週はこれまでの底堅い流れからもみあいへと動きが変化してくると考え、1.1750レベルをサポートに、1.1870レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
来週末はEUサミットですが、英国得意のギリギリまでごねる交渉姿勢にEUは先手を打った形で交渉期限は15日と考えず、それ以降も継続する姿勢を見せています。月末までの延長と考えることが妥当ですが、ひょっとしたらこの期限自体も延期してくる可能性もあり、実際に決まるのがいつなのかは正直なところ見当がつきません。
そこで、英国と言えばブックメーカーということで、ブレグジット関連の賭けの中から「UK And EU To Sign A Trade Deal In 2020」というものを見てみました。年内に通商協議に合意署名するという賭けです。当然ブックメーカー各社で掛け率は微妙に違いますので、ここでは平均的な現時点の状況をブックメーカーのまとめサイトOddsCheckerで確認してみました。
このサイトによると年内合意に賭けている人が56%、年内に合意しないほうに賭けている人が44%だそうです。賭けに参加している人も年内には合意すると考えている人が多いようで、このあたりの数字も市場参加者の見通しに影響を与えているように思えます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
10月12日(月)
**:** NY市場休場
15:00 ドイツ9月PPI
20:00 ラガルドECB総裁講演
25:00 英中銀総裁講演
10月13日(火)
08:01 英国9月小売売上高
15:00 ドイツ9月CPI
15:00 英国9月失業率
18:00 ドイツ10月ZEW景況感指数
18:00 ユーロ圏10月ZEW景況感指数
10月14日(水)
17:00 ラガルドECB総裁講演
18:00 ユーロ圏8月鉱工業生産
21:00 レーンECB理事講演
23:00 フランス中銀総裁講演
**:** G20
10月15日(木)
15:45 フランス9月CPI
22:00 英中銀副総裁講演
**:** 英国が定めた対EU交渉期限
**:** EUサミット(〜16日)
10月16日(金)
18:00 ユーロ圏8月貿易収支
18:00 ユーロ圏9月CPI
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月5日(月)
ユーロドルは、対ドル対円ともに買いが強い地合いが続きました。欧州市場に入ってからは強い欧州の経済指標もユーロ買いの材料となり、前週高値を上抜けるとストップオーダーも巻き込みながら、NY前場には1.1798レベルの高値をつけ、引けにかけてはやや押しての引けとなりました。
10月6日(火)
ユーロドルは東京市場では高値圏でのもみあいとなっていましたが、欧州市場に入りEU側が10月15日と英国が定めた協議期限を無視するとのヘッドラインにポンドとともに1.1765レベルまで下げました。その後NY市場では改めて買いが入り1.1808レベルの高値をつけましたが、1.18台では売りも根強く、引けにかけてはダウの下げがユーロ円の売りとなりユーロドルも1.1732レベルまで押しての安値引けとなりました。
10月7日(水)
ユーロドルは東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場序盤以降のドル円の上昇がユーロ円でも見られ、ユーロドルはその動きに引っ張られてのじり高。NY市場の朝方に1.1782レベルの高値をつけましたが。その後はユーロドルもドル円同様にもみあいのままで引けました。
10月8日(木)
ユーロドルは東京市場では買いが先行したものの前日高値を超えられず反落、欧州市場ではECB理事会議事録にユーロ高懸念への言及があったことからNY市場の朝方には1.1732レベルの安値をつけました。引けにかけては欧州時間に売られる前の水準までじり高となり方向感ははっきりしないままの引けとなりました。
10月9日(金)
ユーロドルは東京前場から一貫してユーロ買いの動きが続き、材料よりもテクニカルな面が強い一日となりました。前日高値の上抜け、週間高値更新と週末を前にした短期筋のストップを巻き込んでのユーロ買いが広がっての週末クローズとなりました。
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オーダー/ポジション状況
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