ドル円見通し 3日連続日足陰線で下落、4月23日以降の底上げパターン維持できるか試す(21/7/7)

ドル円は7月6日深夜安値で110.51円まで続落した。110.50円割れを回避して7日早朝にかけては下げ渋っている。

ドル円見通し 3日連続日足陰線で下落、4月23日以降の底上げパターン維持できるか試す(21/7/7)

3日連続日足陰線で下落、4月23日以降の底上げパターン維持できるか試す

〇ドル円、6日深夜安値で110.51まで続落、110.50割れを回避し7日早朝にかけ下げ渋る
〇6日は夕刻にかけ豪中銀による量的緩和縮小開始をきっかけに急伸した豪ドル高を先導役にドル安が継続
〇欧州の景況感悪化等からユーロ等が下落、豪ドルも急落に転じドル高感再熱したがドル円の下落は続く
〇6日のNYダウは5日ぶりに下落、ナスダック総合指数は2日連続で終値ベースの史上最高値を更新
〇6日発表の欧米の景況感は悪化、新型コロナ変異株の感染再拡大の影響が見られる
〇111円に届かないうちは一段安余地あり、110.41割れから110円台序盤への下落を想定
〇111円超えから7/2午前高値以降の下げ一巡による反騰入りの可能性ありとし111.25前後への上昇を想定

【概況】

ドル円は7月6日深夜安値で110.51円まで続落した。110.50円割れを回避して7日早朝にかけては下げ渋っているものの、7月2日午前高値111.65円からの下げ幅は6日深夜安値まで1.14円に拡大した。
7月6日は夕刻にかけては豪中銀による量的緩和縮小開始をきっかけに急伸した豪ドル高を先導役として7月2日の米雇用統計後からのドル安が継続してドル円も続落基調となったが、夕刻からは欧州の景況感悪化等をきっかけにユーロやポンドが下落、急騰していた豪ドルも上昇一巡から急落に転じてドル高感が再燃したがドル円の下落は続いた。米ISMサービス業景況指数の悪化や4連騰してきたNYダウの反落等もあって市場心理も不安感が拡大、VIX恐怖指数が前日比で9%を超える上昇となるなどリスク回避感が強まったことと安全資産としての債券買いで米長期債利回りが低下したことでドル円は下落基調を継続する展開となった。

【ダウは5日ぶり反落だがナスダックは最高値更新、米長期債利回は急低下】

7月6日のNYダウは前日比208.98ドル安と5日ぶりに下落したがナスダック総合指数は24.31ポイント高で2日連続で終値ベースの史上最高値を更新した。ダウは連騰に対する高値警戒感からの下落、ナスダックは米長期債利回り低下に反応した印象だが。株高に対する高所恐怖症もそろそろ出やすい時期に来ている印象もある。
7月6日の米長期債利回りは5日の休場明け取引だったが総じて低下した。10年債利回りは前日比0.08%低下の1.35%となり2月24日以来の低水準で6日連続の低下だった。30年債利回りも0.08%低下の1.97%と2%を割り込んだ。利上げ時期に敏感な2年債利回りも0.02%低下の0.22%となりFOMC後の急伸で付けた0.28%以降の低水準となった。

FOMCによる利上げ時期想定の前倒しと量的緩和縮小議論開始を受けて2年債利回りが急上昇する一方で10年債利回りは2年債や5年債との裁定で低下傾向に入ってきたが、3月31日に1.77%を付けたところをピークとした下落基調を続けている。2年債利回りもFOMC後の反応を消化して落ち着いてきている。7月2日の米雇用統計が大きな上ブレにはならずに失業率や平均時給伸び率等が低下したことで米連銀もテーパリングを急がないだろうと市場も落ち着いた結果と思われる。しかし、利上げ時期が早まり量的緩和も年末年始には始まるであろうという流れは変わらないため、米長期債利回り低下によるドル安効果はドル円において顕著となっているもののユーロ等の戻りは鈍く、6日夜の反落によりFOMCを材料消化として反騰入りへ進むきっかけを得ていない印象だ。
FOMCの議事録は7月8日未明に公開される。サプライズがなければ市場反応も限られると思われるがテーパリング姿勢が確りしているようだと市場も金融緩和政策の先行き終了を意識した動きへ進みかねないところだ。

【欧米景況感の悪化】

7月6日に発表された欧米の景況感は悪化した。独ZEWによる7月の独期待指数は前月比16.5ポイント低下の63.3となり、ユーロ圏の期待指数も前月比20.1ポイント低下の61.2となった。いずれも現況指数は改善していたが、変異株の感染再拡大等による先行き不安を反映している。
米サプライ管理協会(ISM)が発表した6月の米サービス業景況指数は60.1となり過去最高だった5月の64.0から低下して市場予想の63.5を下回った。構成指数では新規受注が5月の63.9から62.1へ低下、雇用も前月の55.3から49.3へ低下した。感染抑制からの景気回復による一時的な上ブレ状況も一服している印象だが、変異株拡大の影響も見られる。

6月末にかけては欧米共に景況感の改善傾向、主要経済指標の強めの数字が続いてきたが、ここにきてややトーンダウンしている印象もある。ナスダックの史上最高値更新を見れば金融市場全般の傾向としてはまだ楽観優先だが、昨年3月のパンデミック発生後の上昇再開からも1年を経過しており、大方の強気で楽観的な材料も織り込んできた状況にあるため、楽観の土台も崩れやすくなってきているかもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月30日夜安値を起点とした上昇が7月2日午前高値でピークアウトして下落期に入った。安値形成期は5日夜から7日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、7日夜にかけてはまだ一段安の懸念が残る。また5日夜安値の後にやや下げ渋ってから一段安しているため、5日夜安値を直近のサイクルボトムとしてすでに底割れから新たな弱気サイクル入りしている可能性もあるので、111円に迫る反騰がみられないうちは一段安警戒を優先する。強気転換は111円超えからとし、その場合は7日の日中から9日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では2日夜の下落で遅行スパンが悪化、5日夜の下落で先行スパンから転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを突破できないうちは遅行スパンが一時的に好転しても再び悪化するところからは下げ再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは突破へ向かう上昇再開と仮定して遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は30ポイント前後から50ポイント弱でのレンジ内推移が続いているので、50ポイント超えへ上昇できないうちは一段安警戒とし、50ポイント超えからは反騰入りとして60ポイント台への上昇を想定する。

ドル円は4月23日以降をジグザグの上昇で7月2日高値まで上昇基調を継続してきた。6月30日夕安値110.41円割れを回避するうちはジグザグ上昇の底上げパターンも維持されるが、30日夕安値を割り込むと底上げパターンも崩れ始め、6月21日以降の上昇チャンネルからも転落する。すでに年初からの上昇も26週を経過したことでの上昇一巡への警戒感もあるところと注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月30日夕安値110.41円を下値支持線、111.00円を上値抵抗線とする。
(2)111円に届かないうちは一段安余地ありとし、110.41円割れからは110円台序盤(110.20円から110.00円前後)への下落を想定する。110.20円以下は反騰注意とするが、110.50円以下での推移が続くようだと8日の日中にかけても安値試しを続けやすいとみる。また下げ足が速まる場合は6月21日安値109.70円に迫る流れとなる可能性もあると注意する。
(3)111円超えからは7月2日午前高値以降の下げ一巡による反騰入りの可能性ありとみて111.25円前後への上昇を想定する。111円到達後も110.85円以上での推移なら8日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/7(水)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI速報値 (4月 103.8、予想 102.7)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI速報値 (4月 95.3、予想 92.7)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -1.0%、予想 0.5%)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 26.4%、予想 17.7%)
23:00 (米) 5月 雇用動態調査(JOLT)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
28:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演

7/8(木)
08:50 (日) 5月 経常収支・季調前 (4月 1兆3218億円、予想 1兆8072億円)
08:50 (日) 5月 経常収支・季調済 (4月 1兆5528億円、予想 1兆5866億円)
08:50 (日) 5月 貿易収支・国際収支ベース (4月 2895億円、予想 2479億円)
11:15 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
14:00 (日) 6月 景気ウオッチャー現状判断DI (5月 38.1、予想 41.8)
14:00 (日) 6月 景気ウオッチャー先行判断DI (5月 47.6、予想 49.5)

15:00 (独) 5月 貿易収支 (4月 155億ユーロ、予想 151億ユーロ)
15:00 (独) 5月 経常収支 (4月 213億ユーロ)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 36.4万件、予想 35.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 346.9万人、予想 332.5万人)
24:00 (米) EIA週間石油在庫統計
28:00 (米) 5月 消費者信用残高 前月比 (4月 186.1億ドル、予想 182.5億ドル)


※ポイント要約は編集部

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