トルコのインフレ率危険水準近くに上昇
2月3日に発表となった1月のトルコの消費者物価指数は事前予想の9.5%上回る年率9.58%に上昇しました。
この水準は中銀の目標とするインフレ率5%の約二倍となっています。
これに先立ち1月26日にトルコ中銀のバスチ総裁はこれについて「2018年までは中銀の目標値5%に到達しないだろう」と述べ、この第1四半期にインフレ率を10%に達しないよう腐心していると述べています。
今回インフレ率が上昇した要因は、年間のトルコリラの下落による輸入物価の上昇、食料価格の上昇、タバコ等への増税の影響などが挙げられています。
トルコ中銀も他の新興国中銀の多くと同様経済減速への対応とインフレ抑制の矛盾する二つの課題と取り組まざるを得ない状況です。
IMFの予想ではトルコは2015年には4.2%程度の経済成長となった模様。資源国でも中国が貿易の主要相手を占めるわけでもない同国は他の資源国とは異なり直接のダメージがない分比較的安定した経済成長が見込まれる反面、主要新興国中最大とされる財政赤字を抱え、隣国シリアやロシアとの政治問題、国内のクルド系トルコ人の独立問題等内外にも政治的リスクもあるなど、為替相場的にはネガティブ要因も多く先行きの見通しは難しい状況です。
2月3日の消費者物価指数発表後トルコリラは対ドルでは1ドル2.96リラ水準から一時は2.90われまで買い進まれ、現在は2.91台前半での取引です。しかしトルコリラ円に関しては、3日がドル円の急落のタイミングと重なったことからとるこの上昇が相殺され、発表前40.60近辺が現状は40.10レベルとむしろトルコ安となっています。
10月時点でのトルコ中銀のインフレ予想と実現値
(右は増税対象となった食品・タバコを除いたもの)
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