トルコリラ円レポート月曜版
先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は政策金利発表での異変が無いとして「22.80レベルをサポートに23.70レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が22.43レベル、高値が23.52レベルと、予想を大きく下抜けする一週間となりました。
先週は最大の注目材料がトルコ中銀の政策金利発表で、コンセンサスは1.00〜1.25%の利上げ。多少割り引いて0.75%でも利上げされれば良かったのでしょうが、金利発表での異変が起きてしまいました。金利は予想を裏切り現状維持。それまでエルドアン大統領の娘婿である新財務相もトルコ中銀の独立性を言っていたにも関わらず、利上げを好まないエルドアン大統領の圧力があったとの見方も出て、トルコリラは対ドル、対円で急落しました。
対ドルで4.9387と7月12日につけたトルコリラの史上最安値4.9768レベルには及ばなかったものの短時間での急落です。当然対円でも大幅安となり、22.43レベルとこちらは7月12日の22.42とほぼ同じ水準まで下げました。しかし、その後のトルコリラは翌日以降急速に値を戻すこととなります。これは、トルコに拘束されている米国人牧師の一時釈放がきっかけによる反騰でした。
しかし、あくまでも一時釈放ということで自宅軟禁状態の、完全な解放を米国側は要求しています。トランプ大統領も米国人牧師を開放しない場合、トルコに対して大規模制裁を科すことを示唆しており、こうした米国の対応がその後トルコリラの上値を重くする動きに繋がっています。
トルコ側は米国人牧師を解放しないと言っていますので、今後両国の関係はますます悪化する可能性が出ています。トランプ大統領とエルドアン大統領のNATOサミット時における首脳会談の時には関係改善の方向だったはずですが、その後の両国、特にトランプ大統領の対応は、米中間の通商交渉の始めはよかったもののその後は・・という状況も思い起こさせます。ビザ発給問題以降の両国の関係は明らかに悪化しているとしか思えず、引き続き米国とトルコの間の問題には注意が必要です。
さて今週ですが、米国とトルコとの関係は引き続き材料となること、また経済指標も貿易収支やCPIなどトルコリラに影響を与える指標が多い週となっています。特に先週利上げを行わなかった後のCPIには注目が集まりそうです。前回は前年比で15.39%、今回の予想は16.32%と更なるインフレを示すものとなっています。予想よりも低くても前回よりも高い数字となってくると、次の中銀の金融政策決定会合での利上げを催促する相場になるでしょうから、全体としてトルコリラの地合いは悪くなりそうな一週間となりそうです。
4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
テクニカルには弱い流れが続いていますし、5月につけた史上最安値の22.27レベルは完全に視野に入ってきています。
ここ3週間トルコリラは対ドルでも対円でもリラの上値を抑えられる展開となっていて、トルコリラ円ではチャート内に示したピンクのレジスタンスラインの下で高値を切り下げる動きとなっています。また赤い水平線が史上最安値ですが、先週も12日もかろうじてその手前での反発となっていて、今回トライするとなると3度目のトライとなり抜けた場合のリラ売りが加速するリスクは高いと考えなくてはなりません。
チャートの形状も引き続き悪いため、今週の米国の対応あるいは経済指標など史上最安値更新を視野に入れたシナリオを立てることになります。今週は23.20レベルをレジスタンスに、史上最安値をトライし大台22.00レベルをサポートとする週を見ておきます。
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