トルコ軍機によるロシア軍機撃墜のでトルコリラ売り
米国の12月16日利上げに加え、ECBの12月3日追加緩和までも既定路線となり、主要三極の通貨ペアは金融政策要因を十分に織り込んでの展開となってきました。ドルインデックスも100の大台を示現しましたし、明日からは米国が感謝祭休暇に入りますので、新たな見通しというほどの変化もありません。そんな中で、昨夕はトルコ軍機によるロシア軍機撃墜のニュースが出てきました。さすがに、ザラバのチャートではトルコリラ売りが入りました。
トルコでは、11月1日の総選挙で与党(公正発展党)が圧勝を収め、与党は中銀に対する批判を強めているものの、昨日24日の政策金利決定会合では中銀は政策金利(1週間物レポ金利)を7.5%の現状維持としました。政治的にも金融政策面でもいったん材料が出尽くしたこともあり、テクニカルには判断しやすい状態にあると言えます。まずは、トルコリラ円の週足チャートをご覧ください。
トルコリラ円週足
トルコリラ円は、2014年12月に54.129の高値を付けて以降は長期的な下落トレンドを
形成してきました。2014年5月から金融緩和に転換したことは高金利通貨のトルコリラにとって悪材料とされ速いペースで水準を切り下げる動きを見せました。
その後、一目均衡表を見てもわかりますが、テクニカルにも売りを考えるべきチャートとなり、今年5月以降はいったん持ち直したかに見えたのですが、夏に起きた中国初のリスクオフ相場で下げ足を速め、9月には38.855の安値を付け、28%も水準を切り下げることとなりました。
一般的に高金利通貨はリスクオフの流れに弱く、マーケットがリスクオフの状況の時には下げる動きが早まり、いっぽうでリスクオンの状況の時には上げる動きが強まります。10月以降FOMCメンバーも外部要因に対しての警戒感を緩め、中国株式市場を含め、主要株価指数は安定した動きとなっています。こうした時には、トルコリラ円もまた強い動きになりやすいと言えます。
次に日足チャートをご覧ください。
トルコリラ円日足
11月1日の総選挙開票直後に43.616という長い上ヒゲ高値はありますが、少なくとも10月以降は緑の線で示した上昇チャンネルの中にあると考えられます。11月以降は一目均衡表も強い地合いを支持する三役好転状態となっていることがわかります。直近のところでは20日に43.562の高値をつけ1日高値まであと一歩の水準まで迫りましたが、昨日のロシア機撃墜のニュースで目先では高値更新をお預けされている状態と言えます。
また、週足チャートに示したフィボナッチのターゲットでは、38.2%戻しが45円近い水準(44.69)に位置し、中国初リスクオフで下げる前の水準まで戻した現在、次のターゲットは44円台後半から45円の水準にあると考えらえます。
またリスクオンの状態では高金利の強みがフルに活かされてきます。今朝更新された昨日のスワップ金利を見ると買いで228円(1日あたり114円)となっていて、これを金利で換算すると約9.5%の金利差(*)となります。
*政策金利ではなく市場金利で計算されるため7.5%ではないことに注意。
現状では安値からの上昇トレンドが継続している最中でもあり、トリコリラ円の買いを考えてみるのも面白いのではないでしょうか。
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